ZOOM R12で同期音源を流す(備忘録)
今回は、
「バンドセットで同期音源を再生する」
という宅録系バンドマンが一度は通るであろう道について、「ZOOM R12」の使用感を交えながら書いていきます。
はじめに
私の所属するバンド「SWIMMING SQUALL」(以後:SWSQ)は、作曲者である私の趣味と実用性の観点から同期音源(シーケンス)を導入しています。
趣味というのは、個人的にシンセサイザーやサウンドエフェクト等を音源に盛り込みたいというものです。
実用性というのは、現時点でギターが1人しかいないのに、バッキング2本とリード1本の合計3本分をライブで弾くなんて物理的に不可能ですよね。
また、コーラス(ハモリ)等のボーカルを支える音源もあるとかなり便利です。
ですので、ハンドを始めた段階から「同期音源を使用する」というのは確定していました。
同期音源の再生方法
同期音源を再生するには、最低2つの音源が必要となります。
クリック音源(ドラマーモニター用)
同期音源
インターネットにちらほら転がっていますが、同期音源を再生する方法は以下の3つに分けられます。
PCとオーディオインターフェースを使用する
MTRを使用する
スマホを使用する
PCとオーディオインターフェースを使用する
松竹梅でいうと松です。
PC(DAW)とオーディオインターフェースを接続して音源を再生します。
世間一般のバンドはだいたいこれです。宅録経験と機材がある人であれば導入難易度は低くなります。
ルーティングの自由度と拡張性が高いです。
MTRを使用する
松竹梅でいうと竹です。
「マルチ・トラック・レコーダー」という機材の一部機能を利用した同期音源再生方法です。
スマホを使用する
松竹梅でいうと梅です。
スマホから、音源をL(ドラム用)とR(同期音源)に分けて再生する方法です。
同期音源がモノラルになります。
私個人的に①②③すべて試しましたが、以下の項目がネックとなりました。
①:高価なPCを持ち込みたくない。
①:不具合時のトラブルシューティング項目が多くなる。
①:操作する人がDAWに慣れていない。
③:同期音源はステレオで流したい。
上記以外にも細かい好み等の問題もありましたが、知人からの勧めにより消去法的に②を採用しました。
以降の記述は、MAKE MY DAYのJulianさんの記事を読んでからだと分かりやすいと思います。
↑死ぬほど読みました。
ZOOM R12とは
前述の「②MTRを使用する」で該当する機材、それが「ZOOM R12」です。
MTRの代表機種である「R8(廃版)」の後継機的な位置付けです。
ZOOM R8はこの方の記事が参考にになります。
Julianさんの記事も必読です。
R12は、「①PCとオーディオインターフェースを使用する」の必要最低限の機能を備えていると解釈すると分かりやすいかと思います。
定価:34,000円(税込)と、比較的安価に同期を導入することができます。
USB接続、またはmicroSDで音源データをR12本体に保存することができます。
1プロジェクトにつき、ステレオで4ch(モノラルで8ch)のトラックを読み込み可能です。
つまり、PCが要らなくなるということになります。
また、「メインアウト」「モニター」をそれぞれ個別に出力、音量調整可能です。
同期音源とクリック音源をそれぞれ読み込み、それぞれルーティングを設定します。
モニターにメインアウトの音源をミックスすることができるため、ドラマーはクリック音源と同期音源の両方を聴くことができます。
要するに、R12があればOKということです。
コントロールがシンプルで、「再生」「停止」「次」「前」と、音楽プレーヤーの要領で操作できるので、この手のデバイスに不慣れでも最低限の操作が可能です。
ちなみに画面はタッチパネルです。
また、フェーダー設定をロックすることができるので、万が一フェーダーに当たっても設定値が変わることはありません。
↑R8から改善されたところでしょうか
セッティング例
ここでは、SWSQ(2024年1月現在)の接続をご紹介します。
書き出しデータ
44.1kHz/16bit/Stereo
同期音源(inst)
同期音源(chorus)
クリック音源
トラック管理
Track 1+2(Stereo):同期音源(inst)
Track 3+4(Stereo):同期音源(chorus)
Track 5+6(Stereo):クリック音源
Track 7(Mono):PAモニター(カエシ)
接続(配線)
OUTPUT → DI Box(→ PAミキサー)
PHONES OUT → ドラム用モニターイヤホン
INPUT 1(LINE) ← PAモニター(カエシ)
同期音源をインストとコーラスで分けているのは、見て分かる通り個別に微調整するためです。
音源とライブではやはり勝手が違うので、調整手段を残しておくに越したことはないです。
スタジオ練習の時は、10mの自作パッチケーブルを2本使ってミキサーに接続しています。
L(白)、R(赤)でテープを巻いてわかりやすくしておきましょう。
ライブではスタッフさんの指示に従ってください。
クリック音源は、R12のクリックではなく音源としてステレオで書き出しています。
これも単純に音量調節のためと、今後クリック以外の要素を盛り込んだり、テンポチェンジに対応したりするための余白でもあります。
MTRはレコーダーなので入力端子があります。
本来であれば別途ドラム用ミキサーを準備した方が良いのですが、現状R12のモニターをドラマーしか聞かないので、ドラム用のカエシをそのままR12に流し込んでいます。
ファンタム電源(+48V)はオフにしてください。
注意点
これは実際に起きたトラブルなので共有しておきます。
恐らくドラムの振動で動作が不安定になり、トラックが1小節進んだり戻ったりしました。
前日と当日のスタジオ練習で発生して肝を冷やしました。
ファームウェアを最新にしましたが、結局当日の練習で発生したので物理的な要因かと思われます。
本番では振動を拾わないように位置を調整したおかげか、問題なく動作しました。
これはR12に限った話ではないと思いますので、緩衝材やマットの上で操作すると安心かと思われます。
いずれにせよ、今後も起こり続けるのであれば使用を中止するかもしれません。
ひとまず経過を見守ることとします。
おわりに
最後にR12を数か月使用して分かった、良いところとイマイチなところをまとめます。
良いところ
メインアウトとモニターを個別で操作できる
フェーダー設定をロックできる
PAからのカエシをイヤホン経由で再生できる
USB Type-Cで給電(バスパワーで動作)
電池使用可
軽い
イマイチなところ
振動に弱い(可能性)
OUTPUTがフォンジャック(XLRじゃない)
最高44.1kHz/24bitまでしか対応していない ← 私は気にしていません
34,000円ということを考慮すると十分すぎる機能かと思います。
バンドメンバーで割り勘しても1万円切ります(スリーピースは我慢してください)。
私は、R8を知らない純粋なR12の民なので、MTRはこれがスタンダードだと思っています。
今後活動を続けていく上で必要になる機能、不要になる機能があると思いますが、備忘録としてこの記事を残しておくことにします。
メンバー各個人用のクリック音源やモニター音源が必要になった場合は、R12から卒業すると思います。
それではまた!
追記 (5/8)
注意点(前述)で記載している、バグ(?)か何かでトラックが1小節飛んでしまっている事象ですが、飛んでいるのはインストのトラックだけで、コーラスやクリックはズレていませんでした。
このことから、プロジェクト内での不具合ということがわかったので、一概に振動だけが原因とは言えなさそうです。
対処法としては、面倒ですが、同じトラックを再度作り直して試してみるほかなさそうです。
不具合の起こったプロジェクトを作り直した結果、現状音源が飛ぶことはありません。
参考までに。