葉巻デビュー
皆さんはかっこいい大人と言えば何を思い浮かべるでしょうか。
私は葉巻を思い浮かべます。
葉巻にエレガントに火をつけて、ゆっくりと煙を吸い込み、吐き出す。
それだけで気品、経済力、草臥れた色気を表現できる気がしているのです。
というわけで、かっこいい大人になるべく、今まで手を出していなかった葉巻を購入してみました。
葉巻は「世界のタバコ」という通販サイトで購入しました。
似たような見た目のフリマサイトで詐欺を喰らいそうになったことがあり、しばらく安全性をネットで検索していたのは内緒です(既にエレガントではない)
葉巻はどれを選ぶか悩みましたが、私のニコチン歴は、タバコは人から貰って吸ったことがある。シーシャはハマって通っていた時期がある。その程度です。
なので正直、吸いなれてない。
そんな奴がいきなり高い葉巻を購入しても味もわからんだろう、ということで初心者セットを購入。
4本入りでシガーカッターもついて3000円程度でした。
一本一万円とかすると思っていたので、意外と葉巻って安いんだなーという印象。
1週間程度待ち、ブツが届きました。
バレンタインのチョコレートぐらいの小さな包みを早速開けてみます。
おお、葉巻だ……映画で見た感じのぶっといやつが2本、ちょっと細いやつが1本、なにこれ笛?という細くてプラスチックの吸い口がついているやつが1本。
失敗を想定し、ちょっと細いけど葉巻だ!って感じの形状をしているものをファーストチョイス。
同封の説明書を読み、吸うまでの流れを把握します。
ふむ、葉巻には上(ヘッド)と下(フット)があり、まずはヘッドをシガーカッターでカットして吸い口を作り、そしたらフットにゆっくりじっくり火をつける、と……
なるほど……
手に持った葉巻を眺めます。
どっちがヘッドだよ……
説明書には巻き紙の閉じ口があるほう、と書いてありますが、「こ、これか…?」という感じで自信がありません。
しかし、ここで日和っていてはかっこいい大人にはなれません。
ゴッドファーザーのアルパチーノなら葉巻をしきりにひっくり返して説明書と見比べたりはしないはずです。
男は度胸!女は愛嬌!オカマは最強!勘でヘッドを決め、シガーカッターで切り落とす!
切り落とす!切……
切れない!クソ!なんでだ!なんかグニッてなって切れない!切れ味が良いって商品評価で書いてあったのに!
再びくじけそうになりますが、どうやらシガーカッターというのは思った以上に力を入れないと切れないらしいです。
シガーカッターで指を切り落とすヤクザがいますが、あの人の指圧力はバキの指の力だけで脱獄した囚人に匹敵するに違いありません。
なんとかヘッドを落とし、吸い口を作りました。
さて、ではエレガントに火をつけましょう。
エレガントに火をつける、というのがどういうものか正直分かりませんが映画のうろ覚えなイメージを元に火をつけます。
……。
………。
…………。
ついてんのか?これついてんのか?
タバコだと火が付いたら煙が出るはずです。
シーシャは装置から煙は出ませんが、店員さんが吸えるようになった状態で渡してくれます。
しかし葉巻は煙が出ないようです。そしてここには己しかいない。
ええいままよ、と葉巻を口にくわえました。
そして驚きます。
甘い!吸い口がスイーツのようだ。
葉巻には味があるのか。フレーバータイプを選んだからだろうか?
いいな……と思いながらゆっくりと吸い上げます。
どうやら火は無事についていたようで、煙が口の中に広がりました。
香りを感じた後、モワ~と吐き出します。
そして思いました。
葉くずがめっちゃ口に入る……。
一口吸うごとに4つぐらいの葉くずが口に入るので、そのたびにティッシュに吐き出すことになります。今の私は絶対にエレガントではない。
え?やっぱり切り落とすところ間違った?と思いながらネットで調べてみると、合ってる。
どうやら、葉巻を口に咥えるコツがあるようで。
唾液が付かないように、咥える際は本当に軽く。唇を内向きに巻き込み、そこに当てる形で咥えるようです。
確かに、映画でもそんな口の形をしていたような気がする……。
もう遅いけどね。
吸い口唾液でベッタベタだけどね。
葉巻をかっこよく吸うのって、大変なんだなァ……
そう思った休日の午後でした。
なお、換気扇を回していたにも関わらず部屋中がタバコ臭くなり、クローゼットの服も全て洗う羽目になったことをここに記しておきます。