ケリー
時は昭和のどん詰まりのバブル時代・・・
世の中は かつてない好景気に沸いていた。
町工場のバカ息子だった俺は 世の同業者と同じように 毎日飲み歩いていたのであった。
その日 2軒目の馴染みの店に顔を出すと 高校、大学ともに後輩のK村が仲間と飲んでいた。
(こいつ なかなかのイケメン君で派手好き・・・ 仕事は デパートの宝石売り場の責任者をしていた。当時の景気を肌で感じていた職業であろう)
K村 「あっ!? 先輩 久しぶりです。 何軒目ですか?? ブヒョヒョヒョ・・・」
俺 「おっ K村・・ またまた こんなところで作戦会議か?? お前のところは世の中の景気と連動して 宝石も飛ぶように売れてるんだろ!?」K村 「宝石は飛んでませんけど・・ お客さんのオーダーに仕入れが間に合わないぐらいですから まあまあですかね!??」
俺 「仕入れが間に合わないって 凄いな!!」
K村 「ええ・・ もともと うちの売り上げのほとんどはオーダー品なんですよ! 店に飾っているのは見本みたいなもんで・・ それを参考に デザインを変えて 石の大きさを大きくして・・・ とかいろいろです」
俺 「そうだったの?? いわゆる一品ものってヤツ???」
K村 「ハイ! 景気がいいと 他の人と同じものを身に着けるのがイヤって言う人が多いんですよ!!」
俺 「そんなもんなのかな!? 洋服なら分かるけど 宝飾品の世界もそうだったんだ??」
K村 「こんな田舎でも お金を持ってる人はたくさん居ますから・・・」俺 「そうだろな・・・ 俺の会社のようなちっぽけなところでも 結構景気がいいんだから!! ギャハハハハハ・・・」
世界的に有名な総合電機メーカーの企業城下町・・・
その当時は絶頂期を迎え、市の人口も今の1.5倍は居たのである。
しかし バブルが終わって30年以上経つ現在は その当時の見る影もないのであった。
その後、 小一時間ほど仲間と飲んで かなり出来上がって来た俺・・・
時計を見ると10時を少し回っていた。
まだまだ帰るのには早過ぎた。
一緒に飲んでいた仲間たちは それぞれお気に入りの子が働く店に行くと言う・・・
それじゃ俺は 久しぶりに新規開拓と行くか・・・(ときどき知らない店に行かないと 毎日飲み歩くのに不自由する!? ぶひょ!)
知り合いから噂を聞いて なんとなく気になっていた店が有ったので そこに行こうかと思ったのだった。
お勘定をして 立ち上がろうとした時 たまたま近くのテーブルのK村と目が合った。
俺 「違う店に行くけど 良かったらお前も行くか???」
K村 「いいですよ! こっちもそろそろお開きなので・・・」
俺 「そうか!? 初めての店なんで 一人で行くには敷居が高くてね!」K村 「じゃ おつきあいします。なんていう店ですか???」
俺 「え~~と・・・ 確か 『スナック純』とか言ってたな・・・!?」K村 「ハッ!?『純』ですか 弁天町の???」
俺 「たぶん その辺かな!? 聞いた話じゃ ママを始め オネエチャン全員が可愛いらしいぞ!! ブヒャヒャヒャヒャ・・・」
K村 「はあ・・・ 全員可愛いですか??? 」
俺 「何だよ? その奥歯に物が挟まったような言い方は・・・」
K村 「俺も同業者から聞いた話なんですが あそこはちょっと評判が悪いんですよ!!」
(こいつは仕事柄 セレブや水商売などのご婦人方の情報が多かった!?)俺 「ボッタくるのか???」
K村 「いや そんなじゃなくて・・・ 先輩 ピアスって片耳ずつ作れるって知ってましたか??」
俺 「何だよ いきなり・・・ そんなこと知らねえよ!!」
K村 「実は あの店は・・・」
その後 彼の口から聞いた話は????
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?