「共用部だからこそ、みんなが関わっていい」(前編)

今回はマンションの「共用部」に関するお話です。
マンションの住民の方にとって、共用部というと「管理組合(または管理会社)に任せている」というイメージを持つ方が多いかもしれません。
普段はその感覚で問題なく過ごすことはできていますが、管理会社に頼れないというケースがあります。

管理会社に頼れないケース

今回取り上げるケースは、「豪雨時」です。
近年日本全国で異常気象が見られ、夏期になると、過去にはなかったレベルの豪雨が発生するようになっています。
マンションに関連付けてお話をすると、低い土地に立地していたり、水はけが良くない場所にあるマンションでは館内が浸水し、共用部にある備品やマンションの設備に被害が及びます。

浸水したマンションのエントランスホール


管理組合で止水板や土嚢を購入し、浸水を抑えるといった対策はできます。
しかしながら、こういった豪雨はいつ発生するかの予測が難しく、また豪雨が発生してからでは、道路も冠水する状況であるため管理会社も駆けつけることができません。(止水板や土嚢の設置箇所の多くは通路に該当する部分であるため、管理会社であまりにも前もって設置をしすぎるとクレームになってしまいます)
このように止水板等の設置については、マンション住民で行うことが現実的となります。これが管理会社に頼れないケースです。

道路が冠水すると管理会社も
駆けつけられません

居住者としての自分の失敗談

上のパラグラフでは、管理会社目線で偉そうに書いてしまいましたが、
マンションの住民自身が共用部でアクションを起こす難しさについては、
私自身もよくわかっています。
ここでは、居住者としての自分の失敗談について触れたいと思います。
私が住むマンションには通用口があるのですが、ある時その通用口のシリンダーの回りが悪くなっていることに気が付きました。
分譲マンションの場合はマンション館内にシリンダーの予備や潤滑剤を
常備しているケースもあるのですが、そういったものは見当たりません。

「この通用口が使えなくなったら、他の方も不便するだろう」という思いや、職業柄「あの潤滑剤を使えば改善しそう」という当てはありました。
しかし、通販サイトでその潤滑剤の購入をクリックする画面で不安がよぎってしまったのです。「自分が共用部で勝手なことをして、もしシリンダーが悪化したらどうしよう」と。
管理会社は県外の会社のため、「こんなことで県外から駆けつけてもらうのは申し訳ない」というためらいもありました。
そして十数日後、その通用口のシリンダーは壊れてしまいました。

実は壊れると困る通用口のシリンダー


「共用部だからこそ、みんなが関わっていい」。
そう思える体験が「自分たちのマンションを自分たちで作り上げていく」という意識につながっていくことを信じて。

続く後編では、業務で担当しているマンションの事例を基に書きたいと思います。


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