2回目起業 訴訟問題
微々たる額ながらマネタイズした最初の事業です。
大学時代の友人N氏と2人でコンサルティング会社を立ち上げます。資本金は2人で割りました。
N氏はサラリーマンを退職し専業、私はサラリーマンを続けながらのダブルインカムでのスタートです。
なぜこの構図かというと、まず2名がフルタイムで飯を食えるほど売上や仕事がなかったためです。
あとは、2人には微妙な主従のような関係がありました。
口下手で真面目。コツコツ手を動かすタイプのN氏。
戦略を立案やプレゼンテーションが私の役割です。
今だから言えますが、私は弱くズルかったとのだと思います。いえ、もう少し正確に言えばN氏を利用していたのでしょう。
友人は全てを投げ打って先行き不明な漆黒の大海原にダイブしたのですが、
私は収入と安全を確保しながら裏で糸を引いていたのです。
そこには、この事業の継続可能性や伸長性が乏しく自身の興味をそこまで引きつけなかったことも理由に加えられます。しかし、それ以上にN氏をどこかで軽視にしていた自分の愚かさがあったのです。
「戦略やプレゼン資料はPCあればどこでもできるからね!でも電話や来客はオフィスがないとできないよね?だからお互い適材適所で頑張ろうぜ!」
創業時に私が彼に何度も言い含んだセリフです。
あと、創業期に獲得した案件がほとんど自分だったという慢心もありました。
Nくん全然稼いでないじゃん!という態度物言いが随所にあったのだと思います。
もちろんそのような不平等な関係が続くわけもなく、
2年ほど経過したあたりから、私が会社に寄り付かなくなりました。
そのような私にとって都合の良い状態を見かねたN氏は、自分に辞めてほしいことを伝えてきました。
結婚以上に、お金が絡む他人同士が別れる時ほど大変なものはありません。まず、資本金を継続経営する彼に譲渡しました。
あとは資産をどうシェアするかです。会社に多少の余剰金がありましたので、そちらを役員賞与という形で分配することにしました。数百万程度だったと思います。
この辺りでは、N氏の方は完全に対立から嫌悪に変わっていた気がします。
オフィスを片付けて、明日にはいよいよ解任です。
しかし、私は悪気もなく軽はずみな行動をとってしまいました。
解任前日に残務整理を兼ねて出社し「顧客データ」を持ち出したのです。
この顧客データは私も協力して作成したものでした。しかも、データが売却できるほど価値もなく、次の職場で使う目処がないのにも関わらず、この会社で唯一作った成果という理由での何も考えずに持ち出した程度の意識でした。
そして翌日、N氏から受電。
「オフィスに勝手に忍び込んで会社の資産を窃盗した」
との言い分です。さらに警察にも電話しようかと思っているとのこと。
「警察には黙っているので、解任に際して支払う役員賞与を放棄するように」
結果、N氏の提案一旦受け入れてこの日は終わりました。
今思えば、確実に仕組まれていたし、そこまでやるとは思っていなかったのですが、彼の恨みつらみは相当のものだったのでしょう。
その後は、場所を東京地裁に移して争いは続きます。
役員賞与の未払いで民事訴訟を起こしました。
裁判ですので経緯結果の詳細は避けますが、最終的に裁判所が間に入り和解という形に収まりました。
私は裁判官の前に立ち証言しましたが、向こうは本人が出廷することはなく終始代理人弁護士が対応していました。
もう私の顔を見たくもなかったのでしょう。
今思い返せば、本当に申し訳なかったと思います。空疎なオフィスで1人悶々と苦しい時間を過ごしたのでしょう。
その後、私も1人経営者となってみてわかったことです。
裏切ったのは彼ではなく、”私が最初に裏切った”のだと思います。
20代後半の失敗談です。
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