旅と金

　お金はかなりの重荷となった。航空券だけで、往復25万程度かかると判明した。また、十日程度アメリカに滞在するとすれば、一泊五千円、食費が１日五千円、N B Aチケット代で5万円、その他雑費で十万円くらいかかるだろうという試算をアメリアで留学している友人が教えてくれた。すなわち、概算であるが総額50万円程度になるということだ。円安が憎たらしくなる。

　　

　この金額は、バイトを半年頑張ってなんとか貯まるという金額だった。頑張れば、なんとかはなるだろうが、大学生にとっては、悪魔のような金額である。私はたじろいでしまった。だが、私がヨボヨボのじいちゃんになって持つ50万円と、二十歳の50万円は、数字は同じでも、価値があり得ないくらい違うという通説を信じてみることにした。狂っているのかもしれないが、やらない後悔よりやった後悔と自分に言い聞かせて、金をなんとかする心に決めた。

　幸い、私には、貯金があった。その額およそ一万円。スマホで口座残高を確認すると、そう書いてあった。そう、貯金はないに等しかった。だが、私には秘策があった。

　それは、大学生の味方、奨学金。かくかくしかじかで、ちょっぴりお金が余っていたのだ。あと先を考えない暴走機関車となった私は、その悪魔の契約で得た財産をぶっこむことにした。