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🐤【2025年 外部生向け】東京大学情報理工学科数理情報学専攻の院試について

この記事は私が2024年8月に受験した2025年度 東京大学大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻 入学試験の体験記です。

はじめに

この記事では院試システムの概要筆者の受験までの過ごし方について触れます。
以下が受験での私の状態です。

  • 私立大情報工学科

  • 東大の授業資料を持っていない

  • 数学物理系のサークルで数学を中心に学んだ

  • 2年前にTOEFL 81点取得済

参考になったサイト

以下の2つは一次情報です。試験の案内や規則が書かれています。

数理情報学公式の勉強のアドバイスです。

以下は試験期間中お世話になったサイトです。特に、過去問の分析はこれらのサイトを見たほうがいいと思います。これらに加えて私が言うとすれば、結構勉強の参考となる図書から出題されているということくらいです。


院試の流れ

まず、院試のシステムについて軽く紹介します。院試は以下の4つの選考段階からなります。

  • 書類選考・TOEFL

  • 一般教養数学

  • 専門数学

  • 口述試験

私の対策の比重は以下のようでした。
    専門数学 ≧ 一般教養数学 > TOEFL > 書類選考 > 口述試験
軽くそれぞれについて説明します。

書類選考・TOEFL

出願と同時に提出する、志望動機やTOEFLの成績をもとに自動的に専攻が行われます。

一般教養数学

出題範囲は大学受験の数学 + 線形代数 + 確率統計 + 複素関数 といった印象です。

専門数学

  • 統計でよく現れる行列や、確率を用いた数理モデルの予測といった、何かしらの分野での有名な話が多い印象です。特に、勉強の参考となる図書の中から多く出ている印象です。ただ、ここで公開されている本はとても多いので、先に過去問で傾向を見てみるのがおすすめです。

口述試験

書類選考で提出した資料などを基に教員から質問を受け、口頭で答えます。私の場合は5分かからず試験が終了しました。

筆者の受験体験(時系列)

以降でてくる「勉強時間」とは、研究室調べなどを除いた試験対策の時間です。

2月: 院試を意識し始める

勉強時間: 1時間/日

11月の研究室訪問で過去問を入手していたので解いてみました。その結果、私の学部のカリキュラムは数理情報学の出題範囲とほとんど被っていないことが分かったので早めに対策を始めました。

このころは線形代数を完全に忘れていたので、復習に教科書をパラパラ見ていた気がします。

3月: 研究室調査

勉強時間: 1時間/日

このころはどこの研究室訪問に行くか決めるため、いろいろな大学院の研究室を調べていました。他の研究室とこんなに自由にやりとりできるチャンスは人生で今しかないと思い、いろいろなところに訪問のお願いを出しました。対面が多忙でだめでもZoomならOKという先生もいらっしゃるのでお願いしてみましょう。

結果的に訪問した研究室は以下のようです
- 11月: 対面
- 4月: 対面、説明会
- 5月: 対面、Zoom、Zoom、説明会

4月

勉強時間: 1時間/日

研究室調べ、自分の大学の出願などと並行して試験勉強をしました。
数理情報学の公開する勉強の指針となるキーワード勉強の参考となる図書を中心に自分の知らない分野 (統計、数値解析、最適化)を学びました。

5月: 入試説明会、出願

勉強時間 : 2時間/日
書類選考課題: 12時間

5月中旬には東大情報理工の入試説明会に行きました。当日は教室の中が研究室ごとのブースに分けられ行きたいところに生徒が行くと言う形式でした。私は志望研究室に事前に訪問していたのでこの日は各研究室の人気度を調査したり他の研究室の活動をのぞいたりしました。

5月末には出願があるので、1週間程度テスト勉強はお休みして書類選考課題に取り組みました。出願の準備は思ったより時間がかかりました。

説明会ではTwitter見つけた同じ数理情報学志望の人と合流してお話ししました。彼とはこの後長い付き合いになるので、以後「同志」と呼びます。

書類選考

課題の内容は興味のある研究テーマをテンプレートファイル2ページにまとめるというものでした。この課題の回答は口述試験でも聞かれます。参考文献を読みつつ修士で挑戦したいことについて大風呂敷を広げて書きました

TOEFLの提出

私はすでにTOEFLを取得済みでした。点数と合否に関して「80点あれば問題ない」、「点が高くても対してアドバンテージにならない」などの話を記事で見かけたため私は81点で提出しました。噂では60点台でも通る人がいるようです。
ただし、昔に取得した成績を用いる人はTOEFLの成績は2年程度で失効してしまうことに注意して下さい。

6月: 過去問を解き始める

勉強時間: 2時間/日

同志と共に週1で過去問を1年分を答え合わせする生活になりました。1年分を解くのに5時間、解答を読むのに5時間、足りない分野の補充に4時間という一週間を理想としましたが、だいぶ守れていなかったと思います。

足りない分野の補充は「勉強の参考となる図書」で行うといいと思います。過去問はこの図書の内容に似ているものが多かった印象です。

7月: 試験範囲を網羅

勉強時間: 2時間/日

週1の過去問生活は継続です。
7月の始めに勉強の参考となる図書の全ての図書に目を通しました。このころには過去問の傾向も何となくわかってきたので、院試で出そうな章や問題を見つけては解くというのを繰り返していました。

8月: 試験直前

勉強時間: 6時間/日

一般教養数学が15日、専門数学が19日にあったので、2日で1年分のペースで問題を解き、同志との答え合わせ会をほぼ毎日行いました。

8月15日:【一般教養数学当日】

いよいよ試験当日です。会場は本郷キャンパスでした。
試験直前になって、一緒に過去問に取り組んできた同志がエナジードリンクを試験会場にぶちまけてしまったので、拭くもの探しに奔走しました。こころなしか会場全体にエナジーの匂いが漂っていた気がします。おかげで私もエナジーを吸入できました。

試験は半分(大問1.5個)程度しかできませんでした。今までの過去問の出来から9割程度を目指していたので気分は最悪でした。敗因は漸化式を立てるだけの簡単な問題でつまずいてしまい、大問1個まるまる落としたことです。この日はここ5年間でトップクラスに悔しかった日でした。帰り道に同志も簡単なミスをしてしまったと言う話を聞き、お互い専門数学まではやり切ろうと誓いました。

8/16, 17, 18【専門数学直前】

毎日過去問を毎日解きました。私はとても計算ミスやよくわからないミスをするので、今まで取ったミスの統計を見ながら「ミス確率の高い作業では起こるエラーを予見して長めの作業時間を割り振り、確認作業を強化する」という動きを重点的に練習しました。

8月19日【専門数学当日】

試験当日は一般教養数学にくらべかなり小さい試験会場でした。時計が置いていない部屋だったので注意が必要です。

試験結果は大問3問のうち、小問2つ以外は解けました。計算ミスなどがあるので開示まで結果はわかりませんが、問題自体の難易度は一般教養数学よりも随分簡単だったように思います。例年は大概専門数学のほうがとても難しかったので今回は拍子抜けでした。周りもみんなポカンとしていたのでそういう年だったのでしょう。

試験中、同志が直前に教えてくれた行列の式変形で大問1個の証明問題がまるまる解けるという珍事がありました。同志はエナジーだけでなく証明のカギもくれるのかと感嘆しました。

8月22日【口述試験】

専門数学が終わった後は書類選考課題で提出したレポートの周辺情報を調べて口述試験対策を行いました。そして迎えた当日。なんと口述試験は5分足らずで終わってしまいました。聞かれたことは、

1. 書類選考課題のレポートで触れた技術の説明 
2. 第2志望の研究室の志望理由
3. 第2志望の分野に関しての質問(全然答えられなかった)

程度です。質問2に関して私は第1志望と第2志望の研究室でどちらを第1に出すかとても迷っていたので即答でYesでした。もしかしたら筆記試験で第2志望に通ったのかもしれません。とはいえ、この口述試験で何を測ることができたんだろう?と疑問を持つくらいに簡潔に終わりました。

試験後

屋久島に行きました!最高です

遥かなる孤島、屋久島。

試験結果

オンラインで試験結果が発表され、第2志望の研究室に受かっていました。分野は数理脳科学です。教授には受験前に2回ほどお会いしていましたが、10月初めに合格後の挨拶に伺い、知っておいた方がいい知識、読んでおいた方がいい本、数理脳科学分野の問題意識や研究室活動の方向について詳細を教えていただきました。

そして、無事同志も受かっていました!今後も長い付き合いになりそうでなによりです。

筆記試験の総括

私が今回の筆記試験で参考にした資料は以下のようにまとめられます。

  • 勉強の参考になる図書 (この中から出るが、範囲が広すぎて特定できない)

  • 勉強の参考になるキーワード (確実に主要概念が紹介されている)

  • 過去問 (うっすら傾向は見えてくるが、類題やパターン化できるほどではない)

  • 他の方の体験記 

加えて、噂によると

  • 授業資料

もとても役に立つようなので、あるに越したことはないと思います。私は分野が異なることもあり他の人よりも多めに勉強時間を取ったのですが、院試のスケジュールを組むときは試験勉強時間で失われる研究時間や社会活動時間と行きたい研究室という2つのトレードオフよく考えることが大切だと思います。

最後に

時系列で長々と書きましたが、お読みいただきありがとうございました!
特に、初めて院試を受ける方や外部院試を受ける方はスケジュール感がわからず不安を抱えると思います。そういった方の指針になれば幸いです。

皆さんの願いが叶うことを祈っています!🙏
応援しています!





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