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ゴミ捨ての旅


片麻痺の母にとって、週2回のゴミ捨ては「大仕事」らしい。

不燃ゴミ・プラスチック・缶・新聞やダンボール等の嵩張る物は、私が車で持ち帰り処分している。
小さい袋に収まる燃えるゴミのみ、母が自力で出していた。
体調や天気が悪い時は無理しないように何度も話していたが、昨日ついに音を上げた。


薬の残が無く内科へ行く為に訪ねたが、どうもテンションが低いので「大丈夫?」と聞くと、今朝ゴミ捨てに時間がかかり、血圧が下がってしんどかった。これまでもゴミ捨ての時は毎回身体が強張り、前夜から緊張している…と。

オートロックのドアが歩行器では開け難く、杖でゴミ捨てに行っていた。
距離は短いが坂道で凸凹が多く、特に下りが怖いので、物凄くちょっとずつ歩いており、色々な人が心配して声を掛けて下さっていたそうだ。
お隣さんにも「一緒に捨ててあげるから、置いてていいよ」と言って貰ったそうだが、リハビリと思って、自分で捨てると話していた。

しかし昨日は心底疲れたようで、弱音を吐いた。
一番大事なのは「家の中の暮らし」も既に一人では辛いのか?」

とにかく、そこを何度か聞いてみたが「家の中では大丈夫。誰かと一緒で歩行器があれば出掛ける事も大丈夫。オートロックのドアも新聞や郵便物を取りに行くのは大丈夫」と聞き一安心。
内科の診察でも「運動すると血圧は下がるので大丈夫」と言われ、母もようやく安心したそうだ。

ゴミ捨ては、ケアマネジャーさんから介助を頼む事が可能と言われているし、私自身が持ち帰って処理する事も出来るので、これからの相談事項だね…と話し、まずは「ゴミ捨てには自分で行かない事」を決めた。


知らないうちに、沢山の人に心配をかけて申し訳ない…と思うと共に、ヨチヨチ歩く母を思い遣って下さる温かい気持ちが嬉しかった。
優しい人が多い街は、誰にとっても住み易い。
私もそう在りたいな。

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