気象予報士試験 気象業務法 法規 学科一般 予報と警報その2 Vol.7
過去問で、どのようなポイントが問われいるのか見ていきましょう。
令和3年度第1回(第56回)学科一般知識 問15
(1)警報とは、重大な災害の起こるおそれのある旨を警告して行う予報をいう。⭕️
👉警報の定義通りです。このまま覚えましょう。
(2)特別警報は、予想される現象が特に異常であるため重大な災害の起こるおそれが著しく大きい場合に発表される。⭕️
👉特別警報の定義通りです。このまま覚えましょう。
(3)気象庁から特別警報に係る警報事項の通知を受けた都道府県の機関は、直ちにその通知された事項を関係市町村長に通知しなければならない。⭕️
👉特別警報の通知を受けた都道府県の責務です。このまま覚えましょう。
(4)特別警報の基準を定めようとするときは、気象庁は、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聞かなければならない。⭕
👉規定のとおりです。このまま覚えましょう。️
定義通りに出題されることが多いです。ただ、通知しなければならないという義務と通知するように努めなければならない(努力)の場合の区分けを覚えておきましょう。
令和元年度第2回(第53回)学科一般知識 問14
(1)気象庁は、気象、地象(地震にあっては、地震動に限る)、津波、高潮、波浪及び洪水についての一般の利用に適合する予報及び警報をしなければならない。⭕️
👉気象庁の責務です。法§13① そのものです。気象庁は予報及び警報をしなければなりません。
(2)気象庁は、津波、高潮、波浪及び洪水以外の水象についての一般の利用に適合する予報及び警報をすることができる。⭕️
👉気象庁の責務です。法§13② ここでいう予報及び警報は、「海面水温予報」「海流予報」「海氷予報」「浸水予報」「浸水警報」です。こちらの規定は義務ではありません。今後、「予報及び警報をしなければならない」という引っ掛け問題が出てくるかもしれません。
(3)気象庁は、気象、津波、高潮及び洪水についての水防活動の利用に適合する予報及び警報をしなければならない。⭕️
👉水防活動の利用に適合する予報及び警報をしなければなりません(法§14の2)
(4)気象庁は、気象、地象(地震にあっては、地震動に限る)、津波、高潮及び波浪についての航空機及び船舶の利用に適合する予報及び警報をすることができる。❌
👉「することができる」ではなく「しなければならない」です。
特に警報は気象庁の専管事務です。できる規定となると、では、気象庁以外の誰が警報をするの?ということになります。この基本を覚えておけば、上記(2)の例外を除けばこの種の問題は確実に得点できると思います。✌️
平成29年度第2回(第49回) 学科一般知識 問15
(1)気象業務法及び気象業務法施行令に基づいて気象庁が直ちに警報事項を通知すべき対象機関は、気象庁が一般の利用に適合する気象、高潮、波浪の警報をしたときも、気象庁が気象、高潮、波浪の特別警報をしたときも同じである。⭕️
👉一般警報も特別警報も気象庁からの通知先は同じです(ただし、水防警報は国土交通省が追加となります)。
(2)気象庁から警報事項の通知を受けた都道府県の機関は、警報、特別警報いずれについても直ちにその通知された事項を関係市町村長に通知しなければならない。❌
👉特別警報:通知しなければならない。
警報:通知するように努めなければならない。
(3)気象、高潮、波浪の特別警報は、府県予報区のほか地方予報区に対しても発表される。❌
👉特別警報は府県予報区単位で発表されます。ちなみに地方予報区を対象に発表されるのは次の4つのみです。
①天気予報、②週間天気予報、③季節予報、④波浪予報
(参考)地方予報区と府県予報区(気象庁ウェブサイトから)
平成27年度第2回(第45回)学科一般知識 問14
(1)警報事項の通知を受けた東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の機関は、直ちにその通知された事項を関係市町村長に通知しなければならない。❌
👉通知するように努めなければならない。努力規定です。
(2)警報事項の通知を受けた国土交通省の機関は、直ちにその通知された事項を航行中の航空機に周知させなければならない。❌
👉周知するように努めなければならない。努力規定です。
(3)警報事項の通知を受けた海上保安庁の機関は、直ちにその通報された事項を航海中及び入港中の船舶に周知させるように努めなければならない。⭕️
👉規定の通りです。このまま覚えましょう。
(4)気象の予報業務の許可を受けた者は、当該予報業務の目的及び範囲に係る気象庁の警報事項をその範囲内にある市町村長に迅速に伝達しなければならない。❌
👉このような規定はありません。
平成27年度第2回(第45回)学科一般知識 問15
(1)気象、地象、津波、高潮及び波浪についての特別警報のうち、気象特別警報の種類は、気象についての警報と同じく、暴風、暴風雪、大雨、大雪の四種である。⭕️
👉このまま覚えましょう。
(2)特別警報の基準を定めようとするときは、気象庁はあらかじめ関係都道府県知事の意見を聴かなければならない。⭕️
👉このまま覚えましょう。基準を定める際の手続きです。地域特性によって基準が異なっています。
(3)気象庁は、特別警報をする場合は、報道機関の協力を求めて、公衆に周知させるように努めなければならない。⭕️
👉このまま覚えましょう。気象庁が義務として警報・特別警報を通知しなけばならないのは下図のとおりです。NHK以外の報道機関は入っていませんよね。NHKは警報・特別警報を住民等に伝達する義務があります。確認しましょう。
(コラム1)緊急地震速報
気象予報士試験では出題されませんが、震度6弱以上の緊急地震速報は「特別警報」として位置付けられています。報道機関の協力を求めて特別警報をするように気象庁は努めていますが、昨今は携帯電話の便利なアプリで、直接携帯電話に警報が入る時代になりましたね。
(コラム2)JETTとは?
法律事項ではないので、この部門での出題は多分ないと思いますが、
災害発生前や災害発生時に都道府県や市町村の災害対策本部へ
気象庁防災対応支援チーム(JETT)が派遣されるようになってます。
実績も積み上がってきたので、そろそろ出題の出番があるかも????
JETT:JMA Emergency Task Team
JETTは国土交通省の緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の一員です。
(コラム3)勝手に考えた問題です。特に(a)は気象予報士として必須な知識ではないと思われるので出題されないと思いますが、番外編として考えてみました。
次の文の正誤を答えなさい。
(a)緊急地震速報は大きな揺れが来ることを前もって知らせるもので特別警報として携帯電話事業者が利用者に伝達を災害対策基本法で義務付けられています。
(b)災害発生時には緊急消防援助隊など各省庁・地方公共団体から職員が派遣されるが、気象庁防災対応支援チームは、国土交通省のTECーFORCEとは全く関係がない。
最後までお読みいただきありがとうございました。