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気象予報士試験対策 学科 一般知識 過去問 混合比 凝結など

過去問
平成27年第1回(第44回)一般知識
問1 地球大気の組成についての正誤問題
(1)対流圏内では、窒素と酸素を合わせたものが乾燥空気にしめる比率(容積比)は約97%である。❌
 👉窒素(78%)と酸素(21%)を合わせると99%になります。実際の大気には水蒸気がありますが、環境省のウェブサイトを確認しても水蒸気の大気組成の割合は「不定」と書かれています。問題文では「乾燥空気」について問うていますので、窒素78.1%、酸素20..96%、アルゴン0.93%(環境省ウェブサイトによる数字)に従って、乾燥空気における窒素と酸素を足した割合は約99%となるので、97%という記述は誤りということになります。

(2)成層圏では、安定な成層のために鉛直方向の混合が起こりにくく、成層圏上部においては軽い気体が占める比率(容積比)が大きくなる。❌
 👉大気の組成は地上から中間圏界面(高度約80km)までは、概ね同じ組成となっていますので、問題文は誤りということになります。

(3)中間圏界面付近では、大気の主な成分はヘリウムや水素となり、窒素と酸素を合わせたものが占める比率(容積比)は30%以下となる。❌
 👉これも、上記(2)のところで記載した解説の通りとなります。

問2 空気を断熱的に上昇または下降させたときの物理量の変化に関する正誤問題。

(1)水蒸気を含む空気塊を上昇させてもその内部に含まれている水蒸気が凝結しないときには、空気塊の水蒸気密度と混合比はいずれも保存される。❌
 👉凝結しない限りにおいて、混合比は保存されます。水蒸気密度ですが、断熱変化で空気塊を上昇させると、体積が膨張します。凝結がなく水蒸気量が変化していない中で体積が増えると単位体積あたりの密度は減少します。

(3)湿潤断熱減率が乾燥断熱減率よりも小さいのは、飽和した空気塊を上昇させたときに発生する凝結熱が空気塊を加熱するからである。⭕️
 👉水蒸気は空気を構成している分子のように空間を活発に動き回れますが、凝結して水滴になるとその動きは鈍くなります。動きが鈍くなった分、持っていた運動エネルギーを放出します。このエネルギーによって周りの空気塊が暖められるので気温の下降は小さくなります。
 実技問題では、乾燥した空気層を落下する雪片が昇華するとこの雪片が熱を奪って空気が冷却されるという現象に基づいて解答をしなければならない問題があります。固体である粒子から自由に動き回れる水蒸気に戻るには多くのエネルギーを必要とします。熱エネルギー自体はエネルギー保存の法則によるので、奪った熱量分だけ気温が下降するということになります。

平成28年度第2回(第47回)問3
問3 水蒸気を含む未飽和空気塊が凝結せずに上空に上昇するとき、その空気塊の相対湿度、水蒸気密度、比湿はそれぞれどのように変化しますか。(組み合わせ選択問題)

⚪︎相対湿度   増加する
⚪︎水蒸気密度  減少する
⚪︎比湿     一定

 👉相対湿度 凝結せずに上昇すると気温が下がります。気温が下がると飽和水蒸気圧も下がります(飽和水蒸気圧は温度のみに比例)。凝結しないので水蒸気量は一定ですが、飽和水蒸気圧が下がるので、わずかな水蒸気でも飽和してしまいます。つまり、温度が下がることによって飽和水蒸気圧が下がり相対湿度は上昇します(増加します)。

 👉水蒸気密度 凝結せずに空気塊が上昇すると気圧が下がるため体積が増えます。水蒸気量は凝結がないために変化しませんから、単位体積あたりの水蒸気量は減ります。よって水蒸気密度は減少します。

 👉比湿 (比湿)=(水蒸気質量)/(空気塊質量)
         =(水蒸気質量)/(乾燥空気質量+水蒸気質量)
   混合比のこと。凝結しなければ混合比は保存されるため「一定」となります

⭐️最後までお読みいただきありがとうございました。

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