サイン入りの20万のスピーカーで聴く、久石譲のsummer
夏季休業中に完全に食生活が狂いまくっている小林です。
歳を重ねるにつれて、自分自身のいろんな変化を感じますよね。体力の衰え、食の好み、涙腺の緩み、などなど...
その変化にため息ついたり、落胆したり、抗うように頑張ろって思ったり、様々な感情が出てきますよね。
僕自身先日あったのは、驚きの感情でした。
自分こんな事言えるようになったんだ。昔じゃ考えられないみたいな。
どんな事だったのかと言うと、写部という2016年に結成した同級生の写真グループメンバーとのやりとりでの事です。
僕が今月の20日で現在勤めている美容室を辞め独立開業するのですが、そのお祝いがしたいから欲しい物を教えてくれと、メンバーの1人から連絡がきました。
真っ先に
インフィニティチェアが欲しいなと伝えたところ
あー求めてた答えと違うな
と言われました。
次の日、
改めて写部+αから開業祝い渡したいから20万くらいの予算で考えてくれと
+αは多分あいつだなと、最初にそこの人物当てに思考を巡らせた後
20万!?
ちょっと僕としては予想していなかった大きな金額だった為に、狼狽えながらもこれは真剣に考えなければいけないとなりました。
そして思い浮かんだのが、受付で使うパソコン。金額的にもちょうどいいなとなったのですが、壊れてしまったら使えなくなる。せっかくみんながくれるもの、僕の命ある限り残って欲しいと思うと却下です。
別候補をあれこれ考え、そういえばと思い出しました。
それは僕がお店に絶対に置こうと決めていたtransparent というブランドのスピーカーです。イメージは水槽。辺の部分がアルミフレーム。面の部分が強化ガラスで、音の出るところや電源部分がむき出しになっている感じです。
付いている部品が独立していて、簡単に取り外しできるので、故障部分だけを交換して、永続的に使える、サステナブルを謳った商品でもあります。
これしかない。
そして伝えました。
するとすぐに、注文したよと返事が来ました。
心のどこかで20万なんて嘘だよなと思っていたからか、マジかよと心の中で呟いていました。
その後、
最高すぎだよと送って、楽しみにしててと返事が来ました。
その返事に対して返した答えが、僕が僕自身に驚いたものでした。
そのスピーカーのガラスのところにみんなのサインを入れてくれ。
送った瞬間
え、自分すごい事言ってない?20万だよ?と
昔の自分じゃまず考えられなかった言葉です。
家族の教えもあったのか、貧乏性なのか、僕は昔から買った物をそのままに近い状態で使う人でした。金額が高ければ高い程。大事なものであればあるほど。
幼少期、マンガは帯をつけたまま。ゲームのコントローラーは手汗が付かないようティッシュを巻く。毎回箱に戻すなど徹底していました。
大人になるに連れてマシにはなってきましたが、今でも箱を捨てるのが許せなかったりします。
そんな僕から、20万もするスピーカーに有名人でも何でもない友達のサインを入れてくれという言葉が出てくるなんて、驚きでしかない。
昔ならきっと、やっためっちゃ大事に使おう。ありがとう止まり。
それが、物を大事にするから
友達に貰ったんだという証を大事にするに昇華したんです。
この変化に驚きの後
自分ちゃんと成長してるじゃんと感慨深くなりました。
そんなやり取りの後日、スピーカーの受け取りと僕の開業祝いを兼ねた飲み会がありました。
早い段階で今日日跨げるかなと体力の衰えを感じ、塩辛い料理に昔では考えられない、野菜を欲する食の好みの変化を感じながら飲み会を終え、友達の家でスピーカーの開封をしました。
20万のスピーカーはそれはそれは厳重に梱包され、取り出し用の白手袋が入っているくらい。
慎重に取り出して、サイン入れタイム。
みんなの緊張した様子を見ながら微笑み、全員書き終えた時には何だか泣きそうになるくらいの涙腺の緩みを感じ、嬉しくて最高でした。
何か聴きたい曲ある?
とBluetoothを接続しながら質問すると
久石譲のsummer
と発言がありました。
流した瞬間、そこにいる30オーバーのおっさん達は
とろんとした顔で、スピーカーから出る音に身を委ねていました。
こんなにも心地よい時間があるのか、こんなにも心地よい感情があるのか。
その心地よさを感じれる大人になれて良かったと思いました。
歳を重ねるに連れて感じる変化は、マイナスの部分に目が行きがちです。
しかし
自分でも驚くほどの変化が起きていたり、歳を重ねるのは悪くないなと思える部分も絶対あります。
そこに自分が気付いてあげれるか。
気づいてあげると、きっと人生は楽しくなると思います。
僕は何十年後
同じメンバーでこのスピーカーを囲み
久石譲のsummerを聴いた時
どんな変化をしているか、楽しみにして歳を重ねていこうと思います。