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ビジネス法務・2023年8月号

まだ6月ですが、2023年8月号のビジネス法務が発刊されたので、法務パーソンとして注目すべき3つの記事の概要を紹介し、簡単な感想を述べていきたいと思います。

注目記事① 「特集 会社法の歩き方 軌跡と展望」

もともと現在の会社法は商法の一部に編纂されており、現行会社法として独立して制定されたのは2005年です。

会社法は、民法と並んで企業法務パーソンにとっては最も重要な法律の一つです。

この特集では、「株主平等の原則」や「株主代表訴訟」といった会社法の典型論点から、「社外取締役の今昔」「社外取締役の役割・実効性」といった記事において、最近では、スズキの社外取締役にマラソン・金メダリストの高橋尚子さんが就任したことで話題になっている、社外取締役が取り上げられています。

会社法に精通する錚々たる実務家がそれぞれのトピックを執筆しており、会社法の復習に役立つ特集です。

注目記事② 「創刊25周年記念特別座談会 変化の時代の企業法務(下)」

ビジネス法務の創刊25周年を記念して、日本の企業法務を代表する弁護士である久保利英明先生、野村修也教授、芦原一郎先生の座談会の後半です。

企業内弁護士としてどのような心掛けをもって業務に臨むべきか、御三方の考え方に学ぶべきものが非常に多い特集記事でした。
特に印象に残ったのは久保利先生の以下の発言です。

これからもっと弁護士は増え、競争は厳しくなると思います。だけど、高みももっと高くなります。結局、視野が狭いと、高みも低い。
(略)
競合が激しくなっていくなかで、弁護士が生きていく道は何か。僕は、専門性と広い視野の複合力だと思います。法分野に限らず、何か得意分野が1つあったうえで、あと1つ、2つ、支えが見つかったら強い。自分はこれ一筋と最初から近視眼的にならずに、いろんなことを学んで、いろいろなものに手を出して。起業をして、自分が経営者になったらどんなところに、どう困るのかを考える機会があっても良い。

ビジネス法務・2023年8月号より

法務パーソンは、法務という専門性があるがゆえに法務領域に縛られてしまうジレンマを抱えることが多くあると思います。

しかし、法務はビジネスの一部に過ぎません。

久保利先生の上記見解の通り、自分自身が所属するビジネスを発展させるために、法務の専門性を活かしながらも、広い視野をもって仕事に取組み、法務という領域に囚われることなく、自分の専門性や強味を身に着けていくのがキャリアップへつながっていくのだと感じました。

注目記事➂ メタバースビジネス参入の実践法務

WEB3.0、NFT、DAO…新たな技術がどんどん出てきます。

「え?メタバース?何それ?」という方も多いのではないでしょうか。

「メタバース」という言葉に統一的な定義は存在せず、最も広義なもので「オンライン上の仮想空間」などと定義されている。そこに、論者によって、「三次元」「自己投影性(アバターの存在)」「大規模性」「同時接続性」「没入感」といったさまざまな要素が構成要素として盛り込まれているが、本特集においては、各記事に特別な定義がない限り、最大公約数的に、「ユーザーがアバターを介して同時かつ相互に接続可能な三次元空間」を、「メタバース」と呼ぶことにする。

ビジネス法務・2023年8月号

最新のテクノロジーを取り扱うIT企業の法務パーソンとしては、法改正や判例のアップデートだけでなく、最新のテクノロジーを理解しなければ、ビジネスサイドと対等に会話するのが難しい状況になっています。

この特集記事では、「メタバース」を題材に、知的財産権や契約実務、メタバースの周辺問題であるNFT(Non Fungible Token【非代替性トークン】)やDAO(Decentralized Autonomous Organization【分散型自立組織】)の解説がなされています。

NFTやDAOは概念自体を理解しなければ、それに関連する法律問題を検討することすらできません。
直ちに今のビジネスに関わっていない場合でも、新規事業で関わる可能性は十分にあると思います。

第一歩として、メタバースの基礎知識、そして、メタバースに関する法律のインプットにオススメできる特集です。

おわりに

以上、最新のビジネス法務(2023年8月号)の紹介でした!
法務パーソンにとって必須である会社法の特集から、企業法務の重鎮である久保利先生らの座談会、メタバースビジネスという最新ビジネスにまつわる法律問題まで、読み応えのある記事ばかりです。

最新の法律知識・ビジネスのインプットにぜひ役立ててくださいね。

なお、ビジネス法務は最新の法務知識や法改正をインプットするのにおすすめです(以下のリンクの記事に取り上げています)。

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