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ドミノ・ピザの景表法違反事例に学ぶ広告コンプライアンス
2023年6月27日、ドミノ・ピザの配布したチラシに消費者に対する有利誤認の表示があったとして、消費者庁は株式会社ドミノ・ピザジャパンに対し、景表法違反の消費者への告知や再発防止策を命ずる措置命令を出しました。
企業法務と景表法
企業法務の仕事をしていると、マーケティング部門から実施を検討しているマーケティング施策に問題はないか、という質問を受けるのは典型的な仕事の一つです。
特に消費者を対象としたマーケティング部門において最も重要な法律の一つが「景表法」です。
今回のドミノ・ピザの事例のように、マーケティングの手法が一歩でも行き過ぎてしまうと、一発で措置命令を受けてしまうリスクをはらんでいます。
ドミノ・ピザ事案の概要
それでは、ドミノ・ピザのチラシのどこが問題だったのでしょうか?
消費者庁によれば、ドミノ・ピザのチラシには、「あたかも、チラシに表示された価格又は同価格からクーポンによる割引を適用した価格で料理の提供を受けることができるかのように表示していた。」とのことです。
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上記の通り、チラシにはピザの金額しか記載されていません。
しかし、実際には、「サービス料」と称して、「お持ち帰り」又は「デリバリー」 と称する表示価格に、同価格に同表「料率」欄記載の料率を乗じて得た額が、299円を上限として加算されるものであった、とのことです。
※なお、ドミノ・ピザは、4月24日に価格改定を行なった際にサービス料を撤廃しています。
景表法違反のリスク
これまで、大幸薬品のウイルス除去商品やスシローの期間限定商品をはじめとして、消費者の判断に誤解を与えかねない不適切なマーケティングに対して、措置命令や課徴金命令が出されてきました。
特に、最近の景表法違反事例をみていると、景表法を管轄する消費者庁の目は厳しくなっていると言わざるを得ません。
マーケティング部門が自社商品・サービスをアピールしたいがために、「ナンバー1表示」をはじめとする強調表現を使ったり、今回のドミノ・ピザの事案のように、サービス料といった付加的な金額の表示を明記しないという判断をしてしまうことは十分にありうることです。
マーケティング部門はいかに巧みに商品・サービスを消費者に訴求するかが仕事なのですから。
しかし、一度、景表法違反で措置命令を受けてしまうと、ニュースで取り上げられるなどして拡散し、消費者からの信頼を失ってしまいます。
それだけでなく、その命令は消費者庁のHPにずっと残り続けることになり、企業のコンプライアンスにとってマイナスのイメージがついてしまいます。
景表法違反は、思った以上にダメージが大きいのです。
まとめ「マーケティングにおける企業法務の重要性」
このような事態を避けるために、企業法務パーソンとしては、今回のドミノ・ピザ事案といった消費者庁による景表法の運用実態を正確に理解し、打消し表現等が機能しているかを的確にチェックすることが求められます。
法務部門がマーケティング部門と一体となって、企業にとって効果的かつ法的に安全なマーケティング活動を実施することが重要なのです。
そのためにも、普段からマーケティング部門といつでも相談してもらえる信頼関係を築いておくことも重要ですよね。
今回の記事が皆さまの仕事のお役に立てば幸いです。