エブエブとRRR
先週アカデミーが発表されました。「イニシェリン島の精霊」が何かの賞を取るかと期待しましたが、かすりもしませんでした。とても大切なテーマを扱っているとは思うのですが、あまりに救いようのない物語が敬遠されたのかもしれません。
一方「エブエブ」は、作品賞をはじめいくつもの賞に輝き、今回一番の評価を得たことになります。みなさんはご覧になりましたか? また、インド映画「RRR」は音楽賞をとりました。インド映画のエンターテインメント性が高く評価されたような気がします。ということで早速エブエブ、RRRを観てきました。
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』公式サイト (gaga.ne.jp)
まずはエブエブです。もちろん面白かったのですが、どうも私の肌に合わなかったみたいです。カンフー自体があまり趣味ではないので、積極的に観に行くことはあまりありません。それとナンセンスストーリーについても馴染めなかったというのが正直なところ。ランドリー店主の娘が“直美”に見えて仕方ありませんでした。
並行世界という考え方は結局「何でもあり」な物語を生み出すことができます。辻褄合わせが簡単で、自由度が増します。それだけに作り手のメッセージが、ダイレクトに伝わってくると思うのです。底辺の生活に嫌気がさしていた家族に奇跡が起こり、彼らは家族の大切さを知る…。ストーリーだけ見れば、どこにでも転がっているようなテーマかと思います。
しかし、B級映画によく使われるような荒唐無稽ともいえる世界観の中で、家族の存在の大切さを繰り返し描き続ける力技は、まさに称賛に値するものだと感じました。本当にバカげた物語を真剣に描き切った出演者、スタッフの強烈なエネルギーの賜物と言えるのではないでしょうか。
映画『RRR アールアールアール』|絶賛上映中! (rrr-movie.jp)
それともう一つ「RRR」についてですが、こちらも負けず劣らず“熱い映画”でした。全編にわたって流れるインド音楽は圧巻ですし、主人公たちのあり得ない大立ち回りは見ていて気持ちがいいです。さらに、無駄ともいえるCGの効果は絶大で、イギリス領事の館への突入シーンは思わず拍手したくなるほどぶっ飛んでいます。
こちらのストーリーもよくある話かと思いますが、オチが分かっていても熱くなってしまいます。勧善懲悪を絵にかいたような、まさにエンターテインメント超大作でした。観た後、ものすごく濃いものを味わったような感じになり、思わず笑ってしまいました。
キョーレツな二作品、ぜひぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。