その昔、作詞で一儲けしようと企んでいた時期があった。ライターのなかでは一文字あたりのコスパがバツグンに良いと思ったのがその理由である。
もちろんそんな邪な考えでつづくはずもなく、そうそうにやめてしまったのだが、そのころ作詞の練習でやっていたことがある。
替え歌である。
なんとなれば、ふつうに詩を書いていたのではメロディーへのことばの乗せ方が身につかない。すでにある曲をつかえば単語の子音をずらして異なる物語を拵えるだけでそれっぽくなる。そうした“ずらし”をくり返すうちに大作詞家になれると本気で信じていた。
今回はそのころの習作のなかから湘南乃風『純恋歌』の替え歌を公開しようと思う。
まずはオリジナルの歌詞を見てほしい。
インターネット上では「パスタ作ったお前」の一節でつとに聞こえるが、それ以外のところもそうとうおもしろい。あと、登場する男がなかなかのクソ野郎である。
替え歌ではべつのタイプのクソ野郎を目指した。以下、私の替え歌である。
ラップの入りのところの「大親友の彼女の連れ」を「上新宿の雑多な群れ」と書き換えた瞬間に男のそのさきの物語がパッと照射され、自動書記的に書きあげた。われながら見事な出来であるが、これでは複雑すぎて売れんのだな。
まあ、ぜひカラオケで歌ってください。