1からデータ系エンジニア採用を始めるあなたへ|データ系エンジニア採用の教科書
こんにちは!ポテンシャライトの峯です!
近年、データエンジニアやデータサイエンティストなど「データ系人材」の採用がますます注目を集めています。私たちポテンシャライトも、スタートアップやベンチャー企業の採用支援を行っている中で、「データ系人材の採用に関する知見を貸してほしい」という相談が増えています。
実際に、わたしが担当させていただいている企業さまでも直近半年以内でのデータ系エンジニアの採用需要が高まり、現在、データ系エンジニアはまさにレッドオーシャンの市場へと変化しました。
ただ、「データ系人材」の採用活動をする上で、不明瞭なことが多いかと思います。
例えば、
などという疑問の声をいただくことも増えました。
そこで本ブログは、データ系人材採用に必要な前提情報や採用手法について説明いたします!データ系人材採用をゼロから始める方にも、本ブログを読んで全体感をご理解いただければと思っております!
※あくまで本ブログはポテンシャライトが日々採用のご支援をさせていただく中で感じた内容を書いておりますので、一視点として参考程度にご覧いただけますと幸いです。
では、早速参りましょう!
1. データ系人材採用市場がなぜ注目されているのか?
1-1. データ系人材の市場需要
「データサイエンティスト」という言葉を耳にする機会が増えてきた昨今ですが、実際にどれほどの求人があるかご存じでしょうか?
データ系職種にはデータサイエンティスト以外にもさまざまな役割がありますが、参考までに転職サイトGreenで「データサイエンティスト」という職種で検索してみたところ、「446社から872件」の求人が確認できました。
また、興味深いことは昨年との求人数の比較です。
先ほどの「446社から872件」という数字は去年検索した際のデータから引っ張ってきたのですが、直近調べてみると....
GreenのUIの使用が変わったこともあり、999求人以上はどれほどの求人数が公開されているのかは現在不明瞭になってしまいましたが、とにかく、昨年と比較してかなりの求人数が増えていることがわかります。
1-2. データ系人材が求められる背景
なぜこれほどのデータ系人材の需要が高まっているのでしょうか?一因として、技術の進化によりビッグデータ分析が可能になったことが挙げられますが、最も大きな理由は顧客ニーズの多様化と、それに対応するためのデータ主導の意思決定が注目されていることにあります。
以前は、ある程度可視化されたニーズに対してマス広告を活用できる企業が競争で有利な立場にありました。しかし、現代では便利なものが増え、生活やビジネスにおけるニーズが多様化したことで、従来の方法では経営判断が追いつかなくなっています。いわゆるVUCA時代(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性の時代)において、企業はより正確で迅速な意思決定を行う必要があります。そのため、データに基づいた定量的な意思決定を行うデータ系人材が重要視されています。
さらに、近年の技術発展により生成AIやチャットGPTのような自然言語処理技術の進化も、データ活用の幅を広げています。これらのAIツールは、膨大なデータを効率的に分析・解釈し、企業がより迅速に顧客のニーズや市場の動向に対応できるようサポートしています。たとえば、チャットGPTを活用することで、顧客からの問い合わせやサポート業務を自動化し、時間やコストを削減するだけでなく、顧客体験の向上も実現できます。
これらの背景から、単なるデータ分析にとどまらず、AI技術の活用を通じて、より高度な経営判断やサービス改善が求められるようになり、データ系人材に対する需要が一層高まっているのです。
2. データ系人材職種別採用手法
2-1. データ系人材の職種・採用方法を知る前に知っておくべき前提
データ系人材の需要を示す一例として、データサイエンティストの求人数を共有させていただきました。ただ、データによるビジネス上の意思決定は、データサイエンティストのみでは成立しません。
一般的に、データサイエンティストは「分析されたデータから意思決定をする職務」です。データを整備できる人やデータを資料にまとめられる人などがいて、初めてデータサイエンティストの職務が実行できるようになります。データサイエンティスト以外にもデータエンジニア・データアナリストなどのデータ系人材に注目が集まっています。
ただ、これらのデータ系ポジションは最近注目が集まり始めたポジションであるが故に、職域の定義がはっきりしていない印象を持ちます。各社が任せたい業務の幅(職域)によって自由に定義されているケースが散見されます。そのため、市場全体において職域の定義が曖昧になっている実情があります。
上記を踏まえ、本章では以下の代表的なデータ系職種の職域整理をした後に、データ系人材のおすすめ採用手法の紹介ができればと思います。
▼ 紹介するデータ系人材職種とその役割
一つずつ解析していきましょう。
2-2-1. データエンジニア
Forkwell上の10件のデータエンジニア求人から、「職務内容・必須要件」の一部を抽出したものが以下です。
▼職務内容
▼必須要件
職務内容・必須要件を抽象化してみると、データエンジニアの職務内容は「データ分析をするための基盤作成」が中心であることがわかります。
また、上記の職務内容・必須要件の中でも頻出したものが以下でした。
パブリッククラウドの利用経験があり、且つPython、SQLでの開発経験・BIツールなどの管理経験がある方であれば、過去にデータエンジニアを経験された方が最も要件に該当する方かと思います。ただ、SREを経験した方でも類似した開発経験があるため、この層はポテンシャル採用になるかと思います。
2-2-2. データアナリスト
Forkwell上の10件のデータアナリスト求人から「職務内容・必須要件」の一部を抽出したものが以下です。
▼職務内容
▼必須要件
職務内容・必須要件を抽象化してみると、データアナリストの職務内容は「ビジネスサイドとデータ開発サイドとのコミュニケーションの橋渡し役やダッシュボード開発」が中心であることがわかります。
また、上記の職務内容・必須要件の中でも頻出したものが以下でした。
様々な求人を拝見しましたが、基本的なプログラミングスキルとビジネスの現場のヒアリングをし、課題解決につながりうる示唆を洗い出すことをデータアナリストに求める傾向があるため、類似経験があるプリセールス・PjMの方はデータアナリスト採用におけるポテンシャル層となりうるかと思われます。
2-2-3. データサイエンティスト
Forkwell上の10件のデータサイエンティスト求人から「職務内容・必須要件」の一部を抽出したものが以下です。
▼職務内容
▼必須要件
職務内容・必須要件を抽象化してみると、データサイエンティストの職務内容は「データエンジニア・アナリストが分析したデータに基づいたビジネス課題解決・需要予測などのモデル開発」が中心であることがわかります。
また、上記の職務内容・必須要件の中でも頻出したものが以下でした。
データエンジニア・データアナリストに求めるデータ整理に近しい業務ではなく、どちらかというとビジネス課題解決をデータサイエンティストに求めている傾向があるようです。ビジネス課題解決という目標を見失わず、専門的な統計分析スキルなどを歓迎要件とする場合、Webマーケ・UXデザインの上流設計経験がある方などがデータサイエンティスト採用におけるポテンシャル層となりうるかと思われます。
2-3. データ系人材のおすすめの採用手法
ここでは、有効求人倍率と、それぞれの職種のユーザーの人数 (前提:直近ログイン1ヶ月以内、転職意欲の高い求職者さま) のバランスで相対的にどの媒体が相性が良いのかを表しています。
データ系人材を採用する際の採用媒体は、それぞれに特性があり、採用ターゲットとなる職種や企業のニーズに合わせた媒体選びが重要です。
以下では、「データサイエンティスト/機械学習エンジニア」「データアナリスト」「データエンジニア」の3つの職種に対して、各媒体の有効性を分析しました。
2-3-1. データサイエンティスト / 機械学習エンジニア
この職種は、高度なスキルセットを持つ専門人材であるため、需要が非常に高くなっています。たとえば、WantedlyやGreenのような媒体では比較的掲載費や採用経費を抑えられるメリットから、多くの企業が掲載していることから求人倍率が非常に高い傾向にあります。登録者数に対して求人数が多いため、競争が激しい市場であることがわかります。そのため、これらの媒体での採用は、特にリソースの少ないベンチャー企業にとっては少々チャレンジングな領域になるかもしれません。
一方、ビズリーチやFindyなどの媒体では、求人倍率が比較的低いことがわかりました。掲載している企業に対して登録者数がまだ少ない状況のため、より効率的な採用活動が期待できます。特にビズリーチは、ハイレイヤーの人材をターゲットとした求人が多く、データサイエンティストや機械学習エンジニアのようなポジションの登録者数も多いことから現状穴場な媒体といえます。Findyはスキルに基づいた評価システムを持ち、エンジニアの技術力を可視化できるため、精度の高いスカウト活動が可能です。
2-3-2. データアナリスト
データアナリストは、ビジネスサイドとデータサイドの橋渡し役としての役割が求められます。前提として、データアナリストとして活躍している母数がそもそも少ない上に、現在在籍している企業さまから「転職しよう」と動いている方も少ない傾向があります。
その前提がある中で、WantedlyやGreenなどの媒体ではあまり掲載にお金をかけられないベンチャー/スタートアップ企業が掲載しやすい媒体であることから求人倍率が非常に高く、企業の需要に対して登録者が少ないため、このポジションでもやはり少々チャレンジングな領域になります。これらの媒体を利用する場合、企業は競争力のある求人条件を提示する必要があります。
ビズリーチでは、データアナリストの求人倍率は低く、求人数に対して適度な登録者が登録していないため、比較的効率的な採用が見込めます。また、Findyでは求人数に対して登録者数が豊富であり、他の媒体に比べて競争が少ないため、採用の成功率が高いと言えます。特に、Findyはデータ分析のスキルを客観的に評価するシステムがあり、企業が適切な人材をスムーズに選定できる点が強みです。
2-3-3. データエンジニア
データエンジニアは、インフラの設計やデータのパイプライン構築を担う技術的役割が強い職種です。この職種も、特に高い技術力を求められるかつ、これは想像ですが、データエンジニアの需要が現在高いことから現在在籍している企業さまから転職しよう、というユーザーがあまりいらっしゃらないことも現状あるかと思います。
とはいえ、WantedlyやGreenはそもそも掲載している企業さまが少なかったのは意外な結果になりました。故に、求人倍率が比較的低いですが、他媒体に比べ登録者数が多いため、企業にとっては多くの候補者にアプローチできる可能性があります。しかし、Findyは求人倍率が最も低く、登録者数と求人数のバランスが非常に良いため、精度の高い採用活動が行える可能性が高いです。Findyのスキルベースのマッチングシステムは、データエンジニアの技術的適性を評価する際にも非常に有効です。
また、ビズリーチはハイレイヤー人材をターゲットにした媒体であり、データエンジニアの採用にも適していますが、他の媒体に比べ掲載している企業さまも多いことから少々採用競合の割合が高い傾向の可能性があります。
2-3-4. まとめ
今回の分析から、データ系人材の採用には各媒体の特性を理解し、求人数と登録者数のバランスを見極めることが重要であることがわかります。特に、データサイエンティストやデータアナリストの採用においては、求人倍率が高いため、ビズリーチやFindyのようなマッチング精度の高い媒体を選ぶことが成功の鍵となります。
また、データエンジニアに関しては、技術的なスキルセットが重要であるため、Findyのようなスキルベースの採用システムを活用することで、より良い結果を得ることができるかもしれません。
ここでは、これからデータ系人材の採用を考えるベンチャー企業の皆さまに向けて、弊社のクライアントさまがよく直面される課題を簡単にまとめました。特に「データ系人材の採用が本当に必要か?」とお考えの企業さまにも、ぜひ最後までご覧いただければと思います。
3. ベンチャー企業におけるデータ系人材採用のポイント
3-1. 売り手市場の現状
リーマンショック後の10年以上、IT業界の採用市場は非常に活発な状態が続いています。以下のようにさまざまな領域で、ITやデータ系人材のニーズが高まっています。
このように多くの分野で「データ系人材」の需要が増加しています。実際に、データ系人材はこれからも必要とされることが予測されています。
みずほ情報総研の調査によると、先端IT人材(データ系人材を含む)はすでに2万人以上不足しており、この不足は年々増加しています。また、日本データサイエンティスト協会の調査では、データサイエンティストが1人以上いる企業は全体の約29%にとどまっていることもわかっています。このような背景から、データ系人材の採用には時間とコストがかかることを理解していただければと思います。採用はすぐに実現するものではなく、長期的な取り組みが求められます。
3-2. 大手企業との競争
市場におけるデータ系人材の少なさに加え、大手企業との採用競争も課題の一つです。大手企業は多額のIT投資を行い、年収面での優位性を持っているため、ベンチャー企業がその面で競争するのは難しいかもしれません。
このような状況でも、年収以外の部分でデータ系人材を惹きつけることが可能です。データ系人材は、次のような要素に魅力を感じやすい傾向があります。
そのため、企業としては自社のデータ環境や任せる職務の内容をしっかりブランディングし、場合によっては外部顧問を招いて優秀な環境を整えることが重要です。
ポテンシャライトでは下記のようなインサイト表を作成しました。
よくデータ系のエンジニアを採用している企業さまやデータエンジニアの方がどんな理由で転職を考えるのかを想像しながら、そのインサイトに沿ったメッセージングで心を惹かせることが重要です。
3-3. 事業成長の停滞リスク
多くのベンチャー企業では、初期段階では売上を優先し、データ系人材の採用やデータの蓄積にコストや工数を割くのが難しいと感じるかもしれません。これは自然な流れですが、データをしっかりと蓄積し、いつでも活用できる状態にしておくことが、後の事業成長に大きく寄与します。
実際に、初期の成長期を過ぎた後、データが十分に蓄積されていないために、有効な意思決定ができず、成長が停滞してしまうケースも見られます。こうした事態を避けるためにも、データ系人材の採用を先行投資と捉え、可能な限り早期から確保に動くことをおすすめします。
4. 最後に
いかがでしたでしょうか。
データ系人材採用に必要な前提情報や採用手法に触れてきました。データ系人材採用に悪戦苦闘している方々に読んでいただき、何かの助けになる資料となっていたら大変嬉しく思います。
私自身、データ系人材採用について勉強中ですし、これからさらにトレンドになってくる領域だと思いますので、引き続き情報をアップデートしていきたい思いが強いです。ぜひデータ系人材採用を主導されている方、データ系人材の方、情報交換しましょう!
長文でしたが、最後までご覧いただき、ありがとうございました!
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