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母と月見バーガー

今年もやってきました。月見バーガーの季節。

この季節、必ず一回は月見バーガーを食べることにしています。

柔らかいふわふわのバンズに、
ジューシーなベーコンとパティ。
そして間には、
お月さまに見立てた分厚い目玉焼き。
お肉とソースのガツンとした塩気の中に、
優しい卵の味。

よく、お肉がメインでトッピングに卵、
みたいな料理がありますが、
個人的には月見バーガーは逆だと思っています。

お肉を引き立てるための卵ではなく、
卵を引き立てるためのお肉。
目玉焼き乗せハンバーグではなく、
牛肉入りオムレツみたいな。

お肉の味がしっかりしているからこそ、
薄味の目玉焼きが際立ってるのかなと思います。

また、最近は色々なお店で月見バーガーが売られていて、
お店によって味や具が違うのも魅力です。

ケンタッキーなら、
ハンバーグの代わりにフライドチキン。
バーガーキングは、
目玉焼きの代わりにパイナップルなど。

色々あると、片っ端から制覇したくなるようなわくわくがありますよね。
季節限定なので、余計に食べなきゃ!という気持ちになります。

語りすぎました。

前置きが長くなりましたが、
そんな月見バーガーを母と食べながら、
色々と感慨深くなった話です。

うちの家族は、母と父と私。
父は朝早起きして、テニスに行くのが日課です。
なので、朝は家には母しかいません。

母と朝食を一緒に食べようと思い、
「何か食べた?」と聞くと、
「いや、家に食べるものがないからどうしようと思って。」との返事。
たしかに、冷蔵庫を開くと、
家に食べるものがありませんでした。

「天気もいいし、せっかくならドライブがてら何か買いに行こう、月見バーガーの季節だし、マックでも食べちゃおう。父には内緒で。」
と、車を走らせ、近所のマックへ行きました。

まだ朝マックの時間帯だったので、
月見バーガーマフィンになりましたが、
むしろ初めて食べられてラッキーでした。

車内でバーガーを食べながら、
たわいもない話をして笑ったり、
今の本心やこれからのことを話し合ったり、
そんな何気ない時間を過ごすことができました。

大人になってからのほうが、
母と話すのが楽しくなった気がします。
子供の頃は、親は何でもできて、何でも知ってる、自分より上の遠い存在だと思っていました。

特に、うちの母は過保護です。
私が何かをしていてもたついていると、
親が横から入ってきて全て片付けてしまう。
夏休みの自由研究も、
私にやらせるつもりが最終的にはほとんど自分がやってしまう、みたいな母でした。

親の言うことには説得力があるし、
私も自分に自信がなくて、
あまり自己主張ができず。

自分でやりたいのにやらせてもらえない、
そんな不満から、
思春期は反抗しまくっていました。

そんな、絶対的な存在だった親ですが、
成長してからは、
仕事で辛かった話や母の過去の話など、
色々と話せるようになりました。

親も人間なんだなと思うようになって、
それが少し嬉しかったです。

そうして、段々と母のことが好きになってきたときの出来事。
母が体調を悪くしてしまい、
救急車で運ばれて行ってしまいました。

本当は前々から苦しんでいたけど、
私が社会人になって苦労をしている手前、
無理をさせてしまっていたのかもしれません。

母はなかなか体調のことを言い出せず、
気がつくと一人で歩けないくらいまで悪化してしまっていました。

しばらく入院し、帰ってきたのは今年の冬。
一時期はどうなるかと思い、
不安で眠れない日々でしたが、
今はかなり回復してきています。

少しの間なら外出したり、
運転したり、料理をしたり、
だいぶ普通の生活ができるようになりました。

そんな母とドライブしながら、
車内でマックを食べるなんて、
もう二度とできないと思ってた。

私にとって、今日食べた月見バーガーは、
今までで一番美味しくて、
思い出の詰まった月見バーガーです。
多分、一生忘れません。

母との楽しい時間を作ってくれた、
月見バーガーに感謝です。
また一つ、食を通じて思い出ができました。

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