あcolaと諦めない理由と。


オムナオト「なんで折れないんだ……!」
ミーヤー「俺が1番強い!」

九龍篝火でのこの2人のセリフは、僕の心魂を震わせた。


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いつ、辞めるか、考えていた。
配信もTwitterも、大会の主催も。

辞めるタイミングを考えていた。

僕は、
僕自身に魅力があるわけでも無ければ、
競技者としてプレイが上手いわけでも無い。

結果も出ているわけじゃ無い。

匿名での誹謗中傷リプライやDM。
知り合いからの期待や応援に応えられていないこと。
人間関係のすれ違い。

正直もう、疲れていた。

そのうち考えるようになっていた。

何でやってるんだっけ。

答えが出ないと気づくと代わりに次は、
メリットを考えるようになった。

配信は?
数人にチヤホヤしていただいて、
(いやコレは、コレだけは本当にありがたいんだけども!!)
そして時々スーパーチャットいただく。

大会は?
機材にお金を投入し過ぎて大赤字だ。60万円以上マイナス!!

そして何より自分は朝から晩まで、設営やイベントを進行して、一度もコントローラーを触れない。

競技としての実力は?
一年半経って、なんとかVIPにしがみつくレベルだ。
理解度も、精度も満足なレベルには程遠いし、
それどころか、Cクラストーナメントですら一勝もできない事がほとんどだ。


とにかく、自分のやってる事は、
メリットに見合っていなかった。

どんなバカでも、やらない。
そして、続けるのはもっと大馬鹿者のする事だった。

もう一旦区切りにして、辞めた方が賢いのは、本当はずっとわかっていた。


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九龍篝火。
大型のスマブラ大会に初参加してきた。

えびちゃんも一度は参加した方がいいと周りに勧められての参加だった。

結果は本線0-2、Cクラストナメ1-2で負け越しだった。

ゲームの内容を語るまでもなく、精度がボロボロだった。(もちろん理解度や駆け引きもできてないんだけど)

本当は二日目をブッチして、行くのを辞める予定だった。

けど、Cクラス、接戦で勝利して、二日目が確定した。(もちろん戦いには全力で取り組んだ!)

二日目の参加は、辞めても良かった。
辞めたかった。

でも、僕に負けた対戦相手が少し目を潤ませて、
逃げるように対戦台をあとにする後ろ姿をみて、

彼は僕だったかも知れない。
僕は彼だったかも知れない。

そう、思った。

きっと彼が勝ったら二日目も全力で戦うのだろう。

そう思ったら引くに引けず、二日目も参加する事にした。

夜中ギリギリまでトレーニングモードをこなした。

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二日目はとにかく辛かった。

魔鏡5〜卒業、1500前後のルフレが対戦相手だった。
内容は物凄く悪い、とは言わないけど、やっぱり明確な差があった。

トレモのおかげか、
初日ほどの動きの悪さは無かったけど、
だからこそ、理解度の差が浮き彫りだった。

負けた後はトーナメント観戦だった。
全く楽しめなかった、とは言わないけど、
所々 上の空だった。

いつ辞めるか、考えていた。
今やってるもので終わり?早いか??
大宮でイベント企画するぞってグルコースさんがやる気だ、それをやってから??

##

状況が変わったのは、あcola vs Sparg0だった。

あcola が前回sparg0にやられてしまった事は、僕も知ってた。

ぽけーっと見てると、あcolaはメインのスティーブではなく、ホムヒカをピックした。

「何で。」

微弱だけども。
僕の心が震え始めるのを感じた。

「たかがゲームで。」

sparg0は間違いなく世界で1番クラウドが上手い、世界でもトップクラスの競技者だ。

そのsparg0に勝つには、並々ならない努力が必要だ。
メインキャラクターではなく、ピンポイントでキャラ当てるとすれば、なおのこと努力は必要になる。

相手は確かに世界一のクラウドで、クラウドは比較的スティーブに強く出れる。

でも。
たった1人を倒すためにサブキャラを??
スティーブだって強いやん、スパーゴになら負けてもカッコつくやん。

そんなの、あまりに馬鹿げてる。
理屈が通らない。

でも、僕の気持ちとは裏腹に、
あcolaはsparg0クラウドの上Bに、ホムラの上Bを先出して合わせるという対策を決めて勝利した。

「たかだかゲームで、くだらない!!!」
そう思ったら、何だか涙が溢れてきて、
会場で泣いてしまった。

金か??地位か?名誉か??
スポンサーがつくためか??

くだらない!!!
くだらないね!!!ぜーんぶしょうもない。

そう思ったらボロボロと涙が溢れた。

##

決勝はあcola vs ミーヤーだった。

あcolaが勝ったら、もう少しだけ、もう少しだけ続けよう。
何となく、そんなことを泣きながら思った。



そんな中、解説のオムナオトが言った。

「なんで折れないんだ……!」


ハッとさせられた。

なんで。
なんで、折れないんだ。

みんなみんな。

実力関係ない。
僕のフォロワーの人たちは本当に実力様々、
トーナメントに参加する。

あcolaやミーヤーに、勝てるわけでも無いのに。
有名でも無い。
配信をしてるわけでも無い。

誰にも知られず、負けていく。

なんで、折れないんだ。

そう思ったらどんどん涙が溢れて、止まらなかった。

試合は、僕の小さな願いも虚しく、
ミーヤーが勝って優勝した。

ステージで、ミーヤーは言った。
「3連覇でいう事ないよ……!」

そして、少し間を空けてから叫んだ。

「オレが1番強い!!!!」

僕は堪らなくなって声を殺して涙を流した。

本当は、わかってた。
全部、わかってた。


僕は、僕らは、駆け引きが好きで。

このスマブラってゲームがたまらなく大好きで。
そこに集まる人たちの事が好きで。
同じ共通点を持つ奴が好きで。


意味なんか一つも無くて。

ただそれだけで、良かったんだ。

それはメリットとかデメリットじゃなくて。
お金とか地位とか名誉とか、そんなくだらないものでもなくて。

ただ一つでも多く勝ちたくて。
少しでも今の自分より強くなりたくて。
少しは勝てたぞって小さな充足感の為だけに。

僕ら、みんな。
プライドを賭けて、戦ってた。

##

会場でボコボコに泣いてしまったので表彰式の後はそそくさと家路についた。
(しょーぐんさん、オムナオトさんと話せる機会作れそうだっけど泣き顔が酷すぎるから辞めた)

僕はスマブラがうまくない。

それでも競技を続けたいと思ってる。
少しでもうまくなりたいと思ってる。

そうやって、僕と同じように、
本当に大馬鹿で、
一つでも勝つ為にやるなんて、到底、志とは呼べないような意地を張ってるバカなオタクどものためにイベントをやらないといけない。


結果が出てないとか。
メリットが無いとか。
あcolaが勝ったらとか。

そんなの関係ない。

真剣に戦うのが好きだから、
真剣に戦う人達が好きだから。

やることにする。

ツライにはツライんだけどね。

そんな風にしてたら、
「何で折れないんだ……!!」
って、いつか画面の前のキミにも、
言ってもらえるかも知れない。

九龍篝火、貴重な経験をありがとう。

(了)

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