転職先探しの極意は「人のため」


時が過ぎるのは早い。 とりわけ人生の選択肢を決められず、 葛藤している時は、あっという間だ。

転職先を見つけねば、と悶々としているうちに 年度替わりの春が近づいてきた。 ここで踏ん切らなければ、また会社のルーティーン という激流にのまれ、時期を逸してしまう。 この5年ぐらいの間、やりたいこと、 すなわち自分だけの「鉱脈」を見極め、 お金を稼ぐ妄想を何度もしてみた。 しかし思い浮かぶのは、夢物語の空想ばかり。 現実のこととしてイメージできない。

結局やりたいことはあっても、 転職先は東京で、地方から転居せねばならない。 その場合、持病のある妻や、思春期で情緒不安定な娘と離れて 暮らさねばならない。収入も大きく減る。 飛び出した先の道筋が見えず、一歩が踏み出せない。 仮にやりたいこと一本で起業できたとしても、 ノウハウが分からず、収益を上げられる保証はどこにもない。

今の会社はハッキリ言って給料はいい。 「心半分ここにあらず」の状態で、とどまり続ける ほうがよいのだろうか。 今の勤め先は人使いが荒く、無駄な会議が多く、業務のスクラップは進まない。ダメな会社のいい見本だ。 とにかく残業、残業で心身がすり減る。 心に余裕が持てず、社内の評価を気にしながら仕事に追われる日々とは、 もうオサラバしたい。

noteで転職した人の体験談をよく読む。 「よく転職できるな」と勇気と行動力に感嘆する。 みなさんは会社をいったん辞めているのだろうか。 それとも、手堅いライフプラン計画を立て、 転職先を確保してから退職しているのだろうか。

この3連休中に、ひとつの手がかりを得た。 元日本サッカー代表監督の岡田さん、通称オカちゃん。 今朝のNHKの番組で知ったのだが、 なんと彼は実業家になっていた。

障害のある人や老若男女問わず、誰もが 楽しめる「超バリアフリー設計」の競技場を 愛媛県今治市に建設していた。 起業家を志す高校生を全国から集めた起業家専門学校を 創設、幹部として運営している。

競技場の落成式のシーン。あいさつに立った岡田さんに、スタンドから拍手が湧き起こった。岡田さんは声を詰まらせ、涙ぐんだ。「みなさん、本当にどうも…」。達成感と感謝の気持ちが胸にどっと押し寄せ、言葉にならない。 インタビュアーに涙の意味を問われ、こう言った。 「みんなを喜ばせてやろうという思いでここまで走り続けてこられた。自分のためなら、ここまでできない」

このひと言に、私は胸を射貫かれたような気がして、目頭がじーんと熱くなった。 やりたいことが、人のためになる―。これだ。

自分がしんどくても、人のためになり、熱く楽しめるもの。それを理想の仕事、転職というのだろう。それに出逢えたとき、情熱に突き動かされ、清水の舞台から飛び降りることができるのかもしれない。
noteに転職体験記を寄せるみなさんも、そんな原体験があるのかもしれない。

転職先探しの指針のようなものが、キラッと見えた気がした。

3連休が終わり、あすからまた、ルーティーンという名のぬるま湯に身を浸す。このぬるさは、もはや、もどかしさでしかない。現状を抜け出すため、再びアンテナの感度を上げ、道を探ろう。  

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