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中秋の名月が少し欠けたころ
リンリンリン。
リンリンリンリン。
秋の風にのって、鳴いている虫の声に気がついた。
気がついたら、もうずっと虫の声が聞こえる。
リンリンリン。
リンリンリンリン。
今まで全然聞こえなかった。
そんなところに、虫の世界があったこと、全然気がつかなかった。
夏の終わりの深緑の葉蔭で、たくさんの虫たちは美しい音で鳴いていた。
誰に聞かれても、聞かれなくても、ただそこで、鳴いていた。
あったのに、なかった世界。
なかった世界が、私の中に今はある。
頭の中がリンリンリンに変わった。
一瞬にして、世界が変わる。
中秋の名月が少し欠けたころのことでした。