![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/117863826/rectangle_large_type_2_bf2621547db7e2d5bb179047b290f177.jpeg?width=1200)
扉
扉を開けた。
扉を開くと、裏庭の桜の木が見えた。
約20年前の我が家の裏庭だ。
家を買ったばかりで、少しずつ手入れをしようと、まだ整備されてない裏庭に、初めて植えたのが桜の木だった。
小さな子供たちと夫で植えた小さな桜の苗木。
あの頃は、時間が永遠に感じたものだった。
笑顔がホースから溢れる水と一緒に輝いていた。
こんな幸せな時代がずっと続けば良いと思った。
私は何かあるといつも自然の中に逃げた。
そこにいれば、何もかも安全で、子供達も私も守られている感じがして安心した。
そうして、エネルギーをチャージしてまた日常に戻った。
小さかった桜の木は、20年経って太くごつごつごした幹になり、立派な大木になって秋風に吹かれている。
桜の木を背景に、帰省している娘がカウチで午睡をして寝息を立てていた。