マジな料理 番外編 献立表って役にたつ?
今回は番外編で、料理作りに関する悩み。
具体的にいうと、何を作るか決められないという悩みだ。
退職後にモーニャン(妻)に弟子入りして料理見習いを初めて、かれこれ1年半になる。
冷蔵庫にある食材をネットで調べたりして食事を決めているのだが、それなりにたくさんある選択肢の中から、悩みながら、「まっ、これで行こうか」という感じで決める。
しかし、この「まっ、これで行こか」に至るまでに意外と時間がかかってしまう。そもそも、調べる食材も一品じゃないので、どれをメインにするかとか、あるいはメインは決まったが、他の食材がない、とか。頻繁に代用品を使っているのは、このためだ。
ところで、この「決められない原因」は決めた後に作るという作業があり、その手間を考えるために、どれにしようかと悩むのだろう。事前に決めておけば悩むことなく、作る作業に入れるのではないか。そう考えた私は献立表を作ることにした。
(実は、料理日記をつけているので、)過去に作った料理を日記から拾って羅列し、それらをランダムに日毎に割り振って献立表を作ってみた。MacのNumbersを使って作ったのだが、過去のメニューを日記から拾う時間も入れると、作成には数時間を要した。
そして早速、出来上がった献立表を感慨深げに見ながら、さて今日は第3日曜日だから…と記載された料理名を見てみる。
しかし、食材はあるものの「それじゃあ作ろうか」という気持ちにならない。その理由はなんとなく今日食べたい料理じゃないから。
結局はそういうことなのだ。やはり、今日はこれが食べたいという気持ちがないと「よし、作ろう」という気持ちにはならないということがわかった。そして数時間もかけて献立表を作り終わるまでそんなことにも気づかない自分が情けなくなった。
しかし、そういうことだ。要するに根本的なところは、食べたいか食べたくないかで料理は決めていたのだ。
改めてモーニャン(妻)に聞いてみると彼女が一人で作っていた時も最終的には手元の食材を基本にして栄養のバランスを考慮し、食べてもらいたい料理、あるいは興味がある料理を作っていたとのこと。
私が黙々と献立表を作っているのを横目で見ながら、何か言いたそうだった彼女の胸中はそういうことだったか、と後から知った。
「でも、過去に作った料理を献立表としてまとめておくと、大いに参考にはなるわよ」と言われて、費やした数時間がむだではなかったのだと少し慰められた。
ところで前職で、管理栄養士の資格を持っている途中入社の女性社員のメンタリングをしたことがある。彼女は転職するまでは管理栄養士として働いていたのだが、資格をいかした有意義な職を辞して一般企業の事務職に就いた理由を尋ねると、「色々あるんですよ、管理栄養士という仕事も」と言って、微笑んだ。
もちろん責任の重さもあるのは当然だが、その中には献立を決めるという作業に疲れた、ということはないだろうかと、ふと思った。しかし、そんな単純なことよりもやはり食事に対する衛生、栄養における管理という重積に耐えられなかったのだろうなと考え直したのを思い出した。
そんなわけで、我が家の日々の食事は料理の基本である、「栄養のバランスを考えた、食べたいもの」を作ろうということに落ち着いた。
さて、そんなことより今日の夕食は何にしよう….。結局、悩むことに変わりはなかったのだった。この悩むことも含めての「料理」なのかもしれない。料理見習いが言うのものなんですが….。