鉄コーティングによる水稲栽培の適期収穫
前回は鉄コーティングによる水稲栽培における倒伏させない技術と題して、課題になりそうなポイントに絞って解説をさせていただきました。
ここでは適期収穫をすべき意味と時期の目安について説明します。
適期収穫の意義と目安
適期収穫とは、作物が最も適切な状態で収穫されることを指します。適期収穫は、高品質で良食味の米を生産するために不可欠な条件です。
早すぎる収穫は、青米や未熟粒の割合が増え、収量が低下する可能性があります。青米は加工時に不良粒として取り除かれることが多く、市場価値が低くなります。また、未熟粒は食味や粒の充実感に欠け、食べる価値が低くなります。
一方、収穫を遅らせると、着色米や胴割米の割合が増え、品質の低下を引き起こす可能性があります。着色米は色素の変化によって発生し、見た目の美しさや市場価値が損なわれます。胴割米は粒の形状が崩れ、食味が損なわれるため、食べる価値が低くなります。
適期収穫の目安としては、以下のポイントを考慮することが重要です。
収穫指標の確認
品種によって収穫指標は異なりますが、一般的には籾の充実感、籾の色や乾燥状態、稈の枯れ具合などが収穫の目安となります。農業技術者や専門家からのアドバイスを参考にすると良いでしょう。
収穫試掘の実施
収穫時期が近づいたら、一部の田んぼや植株から試掘を行い、籾の状態を確認します。籾が適切な色や充実感を持ち、稈が適度に枯れているかを判断します。試掘結果を基に、全体の収穫のタイミングを決定します。
地域の気候や栽培状況の考慮
地域の気候や栽培状況によっても収穫時期は異なる場合があります。地域の特性や気象情報を把握し、収穫時期を調整することが重要です。
適期収穫を実施することで、高品質な米の生産が可能となります。良食味や見た目の美しさを保ち、市場価値を高めることができます。適期収穫には慎重な判断と経験が必要ですが、農業技術の向上や情報収集を通じて、より効果的な収穫時期を見極めることができるでしょう。
適期収穫によって、おいしいお米を提供し、消費者の期待に応えることができます。頑張って適期収穫を実施し、良質な作物の生産に取り組んでください。
適期収穫の目安
適期収穫の目安についてご説明いたします。
まず、出穂後の登熟速度は気象条件に左右されます。特に温度が高い場合には、登熟が促進されます。このため、気温の影響を考慮しながら収穫時期を判断する必要があります。
一般的な目安としては、積算温度を利用する方法があります。積算温度とは、一定期間の平均気温を積算した値のことです。早生種の場合、出穂後から収穫までの積算温度が約975〜1,000℃、中生種の場合は約1,000〜1,050℃が適期収穫の目安とされています。この積算温度を参考にしながら、収穫の時期を判断することができます。
また、立毛胴割れ(胴割れ病)の発生が懸念される場合は、収穫開始を適宜早めることが推奨されます。立毛胴割れは、稲穂が胴部から割れてしまう病気であり、収穫時期が遅くなると発生しやすくなります。一般的な基準としては、立毛胴割れが発生する恐れがある場合、収穫開始を50℃(約2日)ほど早めると良いとされています。
これらの目安を参考にしながら、作物の状態や栽培環境、地域の気候などを考慮して、適期収穫の判断を行ってください。農業技術者や専門家のアドバイスも活用すると、より正確な収穫時期の把握が可能となります。適期収穫によって、作物の品質や収量を最大限に引き出し、良い結果を得られることを願っています。
収穫適期の目安
収穫適期の目安についてご説明いたします。
一般的な目安としては、一穂の黄化籾割合が85〜90%になった時が収穫適期とされています。この黄化籾割合は、稲穂の中に含まれる黄色い籾(熟した籾)の割合を示しています。黄化籾割合が一定の割合に達した時点での収穫が、品質や収量を最大化するために重要です。
直播栽培では、移植栽培に比べて収穫時期が7〜10日程度遅くなる傾向があります。これは、直播栽培において稲の生育が移植栽培よりも遅れるためです。そのため、直播栽培を行う場合には、移植栽培と比較して収穫時期を遅めに設定する必要があります。
また、苗立ち数が多い場合、主稈の総葉数が減少し、出穂期や成熟期が早くなる傾向があります。苗立ち数が多いと、株の資源が分散されるため、稲穂の形成や発育に影響が出ます。このため、苗立ち数の適正な管理が重要です。適切な苗立ち数を維持することで、収穫時期の調整や品質の確保に寄与します。
また、倒伏した場合には、追い刈りまたは早めに刈り取る必要があります。倒れた稲は風や雨によってさらなるダメージを受ける可能性があります。追い刈りや早めの刈り取りによって、被害を最小限に抑えることができます。
以上が収穫適期の目安となります。しかし、地域の気候や品種、栽培管理状況によっても異なる場合がありますので、実際の栽培現場での観察と経験も重要です。適切な収穫時期を判断するためには、農業技術者や専門家のアドバイスや地域の栽培指針を参考にしながら、慎重な判断を行ってください。
いよいよ鉄コーティングのお話も次回が最終回となります。
それではまたお会いしましょう!
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