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中国における現地法人の各形態の特徴

前回は「中国で中国で会社設立するのに必要な最低資本金と事業計画の策定」と題して、中国進出における資本戦略の概要を共有させていただきました。

今回は中国で法人を設立する際の選択肢とその特性について詳しく解説していきます。外資系企業が中国市場に参入するための主要な手法を以下に挙げます。また、それぞれの手法が持つ独特な特性について深く探りたいと思います。

独資企業

「独資企業」とは、その名の通り、資本の全額を外資(個人を含む)が出資し設立される中国の法人です。中国の投資環境が整備されるにつれて、外資企業が中国市場に進出する主な形態として、この独資企業が増えているのが現状です。

具体的には、2016年末時点での外商投資企業の総数は約50.5万社で、そのうち独資企業が半数以上を占めるという、圧倒的な存在感を示しています。

例えば、大手技術企業の一部は、中国でのビジネス拡大に向けて独資企業を設立する選択をしています。このような企業にとって、独資企業という形態は、自社のビジネス戦略や方向性を自由に決定できるという利点があります。

ただし、注意すべき点として、全ての業種が独資企業での進出を認めているわけではないということがあります。そのため、進出を検討している企業は、先に「ネガティブリスト」を確認し、自社の業種が独資企業での進出が認められているかを確認する必要があります。

また、独資企業の場合、その企業形態は有限責任会社(有限公司)となります。これは、企業の責任範囲がその資本金額に限定されるという意味で、企業のリスクを管理する上で重要な観点となります。

このような特性を持つ独資企業は、その企業のビジネス戦略やリスク管理により、最適な進出形態となることがあります。進出を検討している企業は、これらの特性を理解し、自社の状況に合わせて適切な形態を選択することが重要です。

合弁企業

「合弁企業」とは、外国企業と中国企業が協力して設立する有限責任会社の形態を指します。「会社法」や「中外合資経営企業法」のもとに設立され、その特性上、出資比率に基づいて企業の責任とリスクが分担されます。これはつまり、企業が出資した金額に応じて、その企業の責任やリスクが決定されるということです。また、企業が得る利益も、出資比率に応じて分配されます。

例えば、自動車産業の分野では、数々の外資企業が中国の企業と合弁企業を設立しています。こうした例の一つに、アメリカの自動車大手General Motorsと中国のSAIC Motorによる合弁企業があります。この合弁企業では、両社が共同で出資し、その出資比率に応じて利益を分配しています。また、リスクや責任も出資比率に応じて分担されています。

合弁企業を設立するメリットとしては、中国市場に詳しいパートナーとの共同経営により、市場への適応やビジネスの拡大が容易になるという点があります。また、合弁企業によっては、中国政府からの規制緩和や優遇措置を受けられる可能性もあります。

しかし、合弁企業はパートナーとの間で経営の方向性や意思決定について合意を得る必要があるため、意思決定プロセスが独資企業と比較して複雑になる可能性があります。また、技術移転や知的財産権の保護などの課題も存在します。

したがって、外資企業が中国で事業を展開する際には、これらの特性を理解し、自社のビジネス戦略やリスク許容度に基づいて、適切な進出形態を選択することが重要となります。

合作企業

合作企業は、合弁企業と大きな違いはありませんが、契約に基づいて利益配分を決めたり、損益の分配や精算、配当についても当事者間で取り決めることができます。

例えば、飲食業界における一例として、アメリカのファーストフードチェーンであるマクドナルドと中国の地元企業である華南集団が設立した企業、華南瑪當拿食品有限公司を挙げることができます。

この合作企業では、マクドナルドと華南集団が共同で経営を行い、契約に基づいて利益の配分を行っています。具体的には、それぞれが出資した資本金の割合に応じて利益が配分されます。このような契約により、当事者間での利益や損失の分配、精算、配当などの詳細な取り決めが可能となります。

また、合作企業は、各出資者が出資比率に応じたリスクと報酬を受け取ることを可能にします。これにより、出資者は自身の出資額とリスク許容度に合わせて、経営に関与することが可能となります。

しかし、合作企業は契約の詳細によりますので、契約内容を理解し、適切な法的アドバイスを受けることが重要です。合作企業の設立や運営には、契約法や商法などの知識が求められ、適切な法的アドバイスが必要となります。

出資を行わずに、所有権の移転や貸与のみを行う形態としては、「会社法」や「中外合作経営企業法」に基づく有限会社として登録を行うことが可能です。しかし、このような形態の企業は必ずしも法人格を持っているとは限らない点が特徴的です。

具体的な例としては、著名なアパレルブランドであるZARAを運営するスペインのインディテックス社が、中国市場への進出に際して選択した方法を挙げることができます。

インディテックス社は直接的な出資を行わず、中国の地元企業に対してZARAの商標権とノウハウを提供する形で中国市場へ進出しました。これにより、ZARAの商品は中国全土で販売されるようになりましたが、法的にはインディテックス社は中国に法人格を有する子会社を設立していません。

その代わり、インディテックス社と中国の企業との間で独自の契約を結び、商標権の使用やノウハウの提供に対する報酬を得ることで、事実上の事業展開を実現しています。このような形態は、資本投下を最小限に抑えつつ、自社のビジネスモデルを新たな市場に展開する方法として有効な場合があります。

しかし、このような形態を選択する際には、所有権移転や貸与に伴う契約の詳細な内容について理解し、適切な法的助言を受けることが重要です。

また、合作期間満了時にすべての固定資産が中国側の所有となる旨の条項が契約書に記載されることが多いです。実務的にも移設だのは費用の掛かることですから、概ね問題はないといえます。

これは事業活動を円滑に行うための一部の実務的な取り決めの一つです。実際には、移設や移転は費用と時間がかかるため、多くの場合この条項は問題を引き起こすことはありません。

この種の条項を持つ契約の具体的な例としては、自動車業界の合作企業が挙げられます。例えば、ドイツの自動車製造会社であるフォルクスワーゲンと中国の自動車メーカーである上海汽車集団が設立した合作企業、上海フォルクスワーゲン汽車有限公司は、その一例です。

フォルクスワーゲンが上海汽車集団と共に生産設備を建設し、自動車の製造と販売を行っています。しかし、合作契約の期間が満了した場合、その生産設備はすべて中国の上海汽車集団に移るという取り決めがされています。

これは、もしフォルクスワーゲンが中国から撤退するという事態が発生した場合、移設や移転の複雑な手続きや費用を省くことができるという利点があります。また、中国のパートナー企業である上海汽車集団にとっては、長期的な事業運営の安定性を保証する重要な条項となっています。

ただし、このような条項を契約に含める際は、各企業のビジネス戦略やリスク管理の観点から詳細な分析と検討が必要です。そのため、適切な法的な助言を受けることが重要であると言えます。

外商企業

「外商企業」とは、原則として外国側の出資比率が25%以上の企業を指します。経営機関の形態については、業種によって異なる規定が存在します。また、合弁企業が解散した後には、出資者間でその出資比率に応じて余剰財産を分配します。

具体的な事例として、かつてホンダと広州汽車集団が設立した広州本田汽車有限公司を挙げることができます。この合弁企業では、ホンダが出資比率50%を保有していました。したがって、原則として外国側の出資比率が25%以上である要件を満たしており、外商企業として認可されました。また、この企業では、出資比率に応じて利益を分配し、経営に参画していました。

そして、もしもこの企業が解散することになった場合、ホンダと広州汽車集団はそれぞれの出資比率に応じて余剰財産を分配します。つまり、ホンダはその出資比率50%に応じた割合で余剰財産を受け取ることになるでしょう。

このように、外商企業として進出することは、合弁企業に参加する企業にとって、市場進出の手段の一つとなります。しかし、出資比率や分配比率などを適切に管理し、また合弁企業が解散する際の余剰財産の分配についても事前に十分に考慮しておくことが求められます。

外商企業

中国における外国資本による投資を定義した一般的な用語で、独資企業(WFOE)、合弁企業(JV)、合作企業など、さまざまな企業形態を含むことがあります。したがって、「外商投資企業」は企業の具体的な形態ではなく、一般的な枠組みまたは分類です。

独資企業、合弁企業、合作企業は、それぞれ特定のビジネス構造と運営形態を示しています。例えば、独資企業は外資100%の企業を指し、合弁企業は外資と中国の企業が共同で設立した企業を指し、合作企業は利益とリスクを契約に基づいて分担する企業を指します。これらはいずれも「外商投資企業」のカテゴリに含まれます。

したがって、誤解を避けるためには、具体的な企業形態(独資企業、合弁企業、合作企業など)を指定することが重要です。

整理すると「外商企業」とは、原則として外国側の出資比率が25%以上の企業を指します。経営機関の形態については、業種によって異なる規定が存在します。また、合弁企業が解散した後には、出資者間でその出資比率に応じて余剰財産を分配します。

具体的な事例として、かつてホンダと広州汽車集団が設立した広州本田汽車有限公司を挙げることができます。この合弁企業では、ホンダが出資比率50%を保有していました。したがって、原則として外国側の出資比率が25%以上である要件を満たしており、外商企業として認可されました。また、この企業では、出資比率に応じて利益を分配し、経営に参画していました。

そして、もしもこの企業が解散することになった場合、ホンダと広州汽車集団はそれぞれの出資比率に応じて余剰財産を分配します。つまり、ホンダはその出資比率50%に応じた割合で余剰財産を受け取ることになるでしょう。

このように、外商企業として進出することは、合弁企業に参加する企業にとって、市場進出の手段の一つとなります。しかし、出資比率や分配比率などを適切に管理し、また合弁企業が解散する際の余剰財産の分配についても事前に十分に考慮しておくことが求められます。

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