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アグリハックの具体例 ナスの防風対策

前回は「露地ナス栽培規模の制約要因」と題して一人当たりの適正規模から割り出すことで大まかな収益額を想定してみました。

今回は「ナスと農家に優しい畑のゾーンディフェンス」に話を戻して、防風ネットやソルゴーの配置やその他の施設の配置の考え方についてさらに深掘りさせていただきたいと思います。


防風ネット

畑の外周に防風ネットを設置することで、防風対策を強化することができます。

防風ネットの適切な高さは4mが推奨されていますが、「ナスと農家に優しい畑のゾーンディフェンス」では、2㎥の高さの防風ネットを二段に設置する方法も提案されています。
ただし、畑の規模によっては、20アール程度の小規模な畑であれば2mの高さでも十分な効果が得られるでしょう。適切な高さを設定する際には、現地の風の状況や農作物の特性を考慮し、最適な設置方法を選択することが重要です。

防風ネットは獣害ネットと異なり、網目が細かいため風の影響を受けやすいことに注意が必要です。

そのため、支柱にはイボ竹などの軽い材料ではなく、建築用資材の足場材などを使用してしっかりと固定する必要があります。このような頑丈な支柱を用いることで、風によるネットの損傷やたるみを防ぐことができます。適切な固定方法を選び、安定性を確保することが重要です。

単管パイプを使用する場合、防風ネットを支える支柱は1.5m間隔で設置しましょう。一方、足場材を利用する場合は3m間隔で支柱を配置することが適切です。

また、私の畑では防風ネットの内周に約1m程度の領域を確保し、ソルゴーの栽培を行っています。このソルゴーゾーンは防風効果だけでなく、病害虫対策にも役立っています。ソルゴーは天敵を引き寄せる効果もあり、ナスの栽培において重要な役割を果たしています。

アグリハックを実施することで、防風ネットの内周に栽培したソルゴーが天敵生物の繁殖地となり、ナスの薬剤防除が劇的に減少します。

さて、「足場材パイプは高価なんでしょ?」と思われるかもしれませんが、実は市場で比較的手に入りやすく、コスト面でも優れた選択肢です。足場材パイプは耐久性があり、しっかりと防風ネットを支えることができます。そのため、経済的で効果的な防風対策を実現する上でおすすめです。

コメリなどの購入先で1本あたり1,780円という単価で足場材パイプを手に入れることができます。予想外にお手頃な価格ですよね。

もし仮にあなたの畑が1筆50アールで、1辺が500メートルだと仮定すると、必要な足場材パイプの長さは2,000メートルになります。その場合、1本あたりの間隔を3メートルとすると、合計で667本が必要になります。

コメリなどの資材店で一括購入することで、割引価格を受けることができるため、クランプや補強材を含めても、120万円あれば必要な資材を調達できるでしょう。

組み立てについては、2人で丸2日あれば充分な時間だと考えられます。リライトしてください。

以前は、害虫被害を受けるために年に何度も薬剤を散布していました。しかし、現在は害虫の生理を利用して、交尾を阻害する効果がある黄色灯と組み合わせることで、無農薬栽培でもほとんど被害のない果実を収穫できるようになりました。

この方法により、害虫の生態や行動パターンに着目し、効果的な防除策となったようです。

黄色灯は害虫にとって引き寄せられやすい光であり、特に夜行性の害虫に効果的です。光源として夜間に設置することで、害虫が光に集まり、交尾を阻害されることで繁殖を制御することができます。

この組み合わせによって、無農薬栽培でも害虫の被害を大幅に減らすことができ、安全で健康な果実を収穫することができるようになりました。また、この方法には環境への負荷も少なく、生態系への影響も軽減されています。自然のバランスを尊重しながら、害虫の管理を行うことができるのです。

今後もさらなる研究と実践を通じて、より効果的な無農薬栽培の方法を追求し、持続可能な農業を実現していきたいと考えています。

このアグリハックの利用には電力供給が必要となりますが、環境に配慮した持続可能な電源として太陽光パネルの活用が考えられます。

太陽光パネルを設置することで、自然のエネルギーを利用して電力を供給することができます。農地や施設の屋根や周辺にパネルを設置し、太陽光を受けて発電することで、アグリハックの機器や設備に必要な電力を確保することができます。

太陽光パネルは環境にやさしい再生可能エネルギーであり、電気代の節約やCO2排出の削減にもつながります。また、メンテナンスが比較的簡単で耐久性も高いため、長期的な運用にも適しています。

太陽光パネルを利用することで、アグリハックの持続可能性を高め、経済的なメリットも享受することができます。これにより、環境負荷の軽減とエネルギーの自給自足を実現しながら、効果的な農業生産を行っていくことができます。

それではまたお会いしましょう!

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