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鉄コーティングによる水稲栽培の生育調整

前回は、鉄コーティング栽培における病害虫防除について解説させていただきました。

鉄コーティングの導入は大成功と言えるでしょう。しかし、私たちは品質向上と収量アップをさらに追求するため、生育調整に取り組む必要があります。


目標穂数(必要茎数)

目標穂数(必要茎数)を達成するためには、早期の生育調整が重要です。特に直播栽培では、茎数が過剰になりやすい傾向があるため、注意が必要です。

苗立ちにムラがある圃場では、生育に合わせて一筆内での茎数を調整します。一般的には、地点ごとに茎数を50〜100本/㎡(コシヒカリの場合は40〜80本/㎡)とすることが目標となります。

このような生育調整により、目標穂数を達成し、より効率的な栽培を実現することができます。積極的な生育調整を行い、品質向上と収量アップを目指しましょう。

生育調整の方法

溝切り・中干し

溝切りと中干しは、生育後期の稲体を健全に保ち、登熟を良好にするために実施されます。

まず、生育調整を行い、目標穂数の80%を確保したら、直ちに落水します。落水によって水田内の水位を下げ、稲の根元部分が露出するようにします。

その後、溝切りと中干しを行います。溝切りは、水田内に溝を掘り、稲の株を支えるための溝を作ります。中干しは、稲を直接日光にさらして乾燥させる作業です。

これにより、稲の根元部分が通気性を持ち、病気や害虫の発生を抑える効果があります。また、登熟が良好に進み、稲穂の発育や実りが促進されます。

溝切りと中干しは、収量アップや品質向上を目指すために重要な作業です。適切なタイミングで実施し、効果的な生育管理を行いましょう。

溝切りと中干しには多くの効果があります。

まず、無効茎の発生を抑制し、適正な生育量を確保します。これによって、作物の生育が均一になり、収量の向上につながります。

また、下位節間の伸長を抑制することで、倒伏のリスクを軽減します。倒伏は収穫時に問題を引き起こすだけでなく、作物の品質や栄養状態にも影響を与えるため、これを防ぐことは重要です。

さらに、溝切りと中干しによって土壌への酸素供給が促され、根の健全な成長を促します。これによって根系が発達し、作物が栄養や水分を適切に吸収できるようになります。

溝切りはまた、収穫時に機械作業をスムーズに行うための地耐力を確保する役割も果たします。地耐力が十分であれば、収穫作業が効率的に行え、作業時間の短縮や収穫物の損傷を最小限に抑えることができます。

さらに、溝切りは緊急時のかん水や秋の長雨による停滞水の排水にも役立ちます。これによって畑の排水性が向上し、作物が水に浸かることなく健康的に成長することができます。

以上の効果によって、溝切りと中干しは作物の生育管理において重要な役割を果たし、品質向上や収量アップを実現する手段となります。

実施時期

溝切りと中干しの実施時期は、本葉7葉期に行います(移植では8葉期)。この時期は移植栽培よりも早めに行う必要があります。なぜなら、直播栽培では作物が茎数過剰になりやすいためです。

溝切りと中干しを早めに実施することで、作物の生育を適切に調整しましょう。また、中干しの後も一定の間断かん水を行うことで、土壌の硬度を維持します。これによって、作物の根がしっかりと地中に張り、栄養や水分の吸収を促進することができます。

溝切りと中干しは、作物の生育管理において重要な手法です。早めに実施し、適切な栽培環境を整えましょう。これによって、作物の品質向上や収量アップを実現することができます。

理想生育相とは!?

理想的な生育相を実現するためには、以下の要点に注意しましょう。

適期の稲穂形成を徹底すること
各地域の出穂晩限を正確に把握し、稲穂の形成を適切なタイミングで行うことが重要です。例えば、新潟コシヒカリの平坦地では、出穂晩限を8月25日としています。

籾数の調整
コシヒカリの場合、㎡当たりの籾数は26,000粒程度が理想的とされています。適切な籾数を確保するためには、生育初期の株間調整や生育後期の生育調整を適切に行うことが必要です。

これらの取り組みによって、安定した品質向上を図ることができます。適切な稲穂の形成と適正な籾数は、収量や品質に直結する重要な要素です。地域や品種に合わせた生育管理を行い、理想的な生育相を実現しましょう。

多肥栽培や生育調整の遅れは、注意が必要です。これらの要素が不適切な場合、以下の問題が生じる可能性があります。

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