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「世界における和食の現実」日本再生は、生産性向上しかない!

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What's up,people⁉ 鎌田です。それでは編集者目線で気になった本をご紹介させていただきたいと思います。

今回、ご紹介させていただくのはこちら、「デービッド・アトキンソン 日本再生は、生産性向上しかない!」でございます。

デービッド・アトキンソンさんの書籍はビジネス書籍の範疇にはいるのだろうと推察されます。

デービッド・アトキンソンさんは日本文化を愛しているといって憚らないイギリス人です。

まったく個人的な話ですが、イギリス人は苦手です。

大学時代に著者と同じ、オックスフォード大学からの留学生とは犬猿の仲といいますが、ディベートのセッションでいつもコテンパンにやられていました。

ファーストキャリアのレコードレーベルは、イギリス企業だったので愛憎が入り混じる複雑な思いのなか、二人目の妻と旅行でホノルルビーチを歩いていたら、突然イギリス人紳士に腕を掴まれ、「女性を後ろに歩かせるな」と罵られました。

「レディーファーストについての思いは、それぞれなんだよ…こっちは妻を守ってるんだ。お前の隣にいるイタリア人からな!」と、アメリカ英語で汚らしく罵ってあげました。

今思えば、そのイギリス人とイタリア人はどのような理由があって一緒にいたんでしょうか笑 そして私の器量のなんと狭いことかっ!

デービッド・アトキンソンさんの爪の垢でも煎じたいと思います。

本書の著者であるデービッド・アトキンソンさんは、戦後の日本というのは、先進国のなかで最も国民の数が増加した国であって、人口大国でもあったのだと主張しておられます。

その人口ボーナスという恩恵を受けて、非常に経済的に恵まれ、驚くような成長を遂げて、独特な護送船団方式等を含む日本型資本主義や日本型財閥経営等を含む企業経営のやり方、あるいは政府による国の運営方法が生まれ育まれてきたと説明されています。

これらは日本固有の文化であるかのようにメディアで伝えられてきたと思います。しかし、それがただ単に人口激増時代の副産物に過ぎず、日本経済は他の先進国と違うんだというマインドは、いまや日本経済の成長を阻害する要因になっていると見ておられるようです。

デービッド・アトキンソンさんの故郷であるイギリス経済史と対比しても、経済が成長しない時期には、国の制度のすべてが否定される傾向があったといいます。

やはり、経済が成長しないと、なんでもマイナスに映ってしまう傾向があるようです。デービッド・アトキンソンさんはそれを否定的な評価ではなく、事実として指摘しているのです。

イギリスでは、さまざまな歪みを調整し直すことによって、世界の笑いものになっていたような「英国病」から、大きく回復したのだといいます。

私より上の世代というのは往々にして、日本の制度に歪みが生じていることを認めたがらないものですし、「別に経済はもう伸びなくてもいい」などと考えている人も少なからずいらっしゃいます。

しかし、日本経済は20年以上も成長してこなかったことによって、世界10位の「生産性」大国から、先進国最下位の「生産性」に落ちぶれてしまったのです。

さまざまなデータが示す現実からは、日本経済は盤石で、歪みがないとする根拠はもはや失われています。

本書では6人に1人とされていましたが、いまの日本は子供の7人に1人が貧困状態におかれていて、国も借金と社会保障費の増大に苦しんでいるのです。

これでも経済の歪みを直す必要がない、経済は成長しなくてもかまわないという人は、この二つの事実を重視していないか、勉強不足のどちらかだと思います。

どこかで不都合だからといって、いくら無視しようともこれは厳然たる事実であることに変わりはないのです。

日本経済の高度成長という成功体験はあくまで過去のことですから、それにしがみつないで、若い人の潜在能力を活かして、日本の生活水準を必要なレベルまで速やかに引き上げるべきだと思います。

ここからは、本書のトピックにあった「和食ブームは本当か」にフォーカスを当ててみたいと思います。

私も著者と同じく、近年の「和食ブーム」の報道については訝しげに見ています。2013年、和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、メディアで取り上げられることも多くなりました。

最近もテレビで豆腐としらたきが海外でブームになっていると特集を組んでいましたが、メディアが煽る「和食ブーム」は、はたしてどこまで本当なのでしょうか。

本書では外務省調べで、欧州には和食レストランが約5,500店舗ほどあるとされていました。しかし、2019年の食糧庁の調べでは約12,200店となっておりました。

本書では、和食ブームと言えるほど多い数字でないとしていましたが、伸び率をみるとブームといっても差し支えないと思います。

ただし、健康的な食生活のなかに和食というカテゴリが認知され始めたにすぎず、実際にはマイナーな食べ物です。

今後、海外で広く受け入れられるにはいくつか問題があるとデービッド・アトキンソンさんはいいます。

そのひとつに、海外の人間には健康のためとはいえ、ヘルシーな食べ物をわざわざ外に出かけてまで食べるという考えは少ないということです。

これは当たり前の話で、基本的に外食というのは贅沢志向だし、油っこくて濃厚な体に悪いものを食べに行きたいものなんですよね。

もうひとつは、欧州の人からすると和食は「同じような味」に感じる点だといいます。

たとえば醤油や味噌、豆腐、納豆などの原料はみな大豆ですから、海外の人たちの味覚からすると味が似ているということになります。

しかも和食は、味付けのベースが「さしすせそ」(砂糖・塩・酢・醤油・味噌)ですから、これまた海外の人はどうしても平べったい味に感じてしまうのです。

和菓子にも同じことが言えて、素材はほとんど同じなので、味が似てしまいます。

季節感の移り変わりを愉しむなんて、海外で受け入れられるにはまだ時間がかかると思います。

そして根本的に、量の問題があります。例として著者のエピソードを引用させていただくと、

ゴールドマン・サックス時代のこと、アメリカ人のお客さんを和食のお店に連れて行くと、彼らは決まって物足りないというんです。懐石料理を全部平らげても彼らにとっては前菜程度にしかなりませんし、焼き鳥屋や鮨屋に連れて行っても一品の量が少ないので、満足感が得にくいのです。

結局、お客さんを洋食の店に連れて行くことが多くなったそうです。

海外で和食は「盛り付けが繊細」で「旬の食材を使う季節感」などが評価されているとメディアは喧伝しているものの、そういう評価は実際は確認できません。

私も世界中で仕事をしてきましたし、日本食といえば「鮨」と「ラーメン」だけです。天ぷら?それも世代に因るのかな?全然聞きません。

だから日本のマスコミの想像なんじゃないのと、どうしても懐疑的にならざるを得ないのです。

直近のデータでインバウンド(訪日外国人)が日本に来て食べたい料理、トップ7は次のとおりだったそうです。

1.鮨
2.しゃぶしゃぶ
3.すき焼き
4.天ぷら
5.焼肉
6・焼き鳥
7・カツ丼

このラインナップを簡単に分析すると、鮨を除いて多くが肉料理ですよね。

日本のメディアが言っているような、「繊細」「季節感」などの和食の評価はズレていることがわかりますよね。

この「鮨」のブームだって、著者は疑問を呈しています。

著者が会社のお客さんと高級鮨屋へ行ったときのこと、隣で外国人が三人、食事をしていました。彼らは どのようなネタを頼むのだろうと観察していると、驚きました。マグロを食べたあとマグロを頼み、またマグロを頼んだかと思うと次にサーモンを頼み、またマグロを頼んでいる。

つまり、マグロとサーモンの二種類をひたすら食べているだけなんですよ。

海外の鮨屋では、日本では使わないような食材を使ったわけのわからない巻きずしとか、フランスの「Planet Sushi」のように網の上にソースをかけた独創的なものが受け入れられています。

これでは、鮨が海外で正しく評価されているとは言いがたいですよね。

このようにメディアが根拠やデータなしに、一部の現象を切り取って「ブーム」と言ってしまうことで、誤った認識や対外戦略につながってしまうことを懸念しているということをデービッド・アトキンソンさんはいっているんです。

私はそうしながらも、食文化の伝統は国内で守っておいて、ローカライズされた和食がどんどん海外に出ていくことを期待しています。

それではまたお会いしましょう!

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