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ナスの生育ステージを分解して再構築

前回は「ナスの秀品率アップが利益率アップにつながる」と題して、秀品率を上げていくことが農家にとっての中庸をいく戦略ですよという話をさせていただきました。

今回はナスを初めて栽培する人にも分かりやすいように、ナスの生育ステージごとに分解してナスの「見える化」をはかりたいと思います。


収量は果実の数に比例

収量は、株数と一株当たりの収穫量の積で計算されます。

千両ナスの場合、適正な大きさで収穫をせずに放置すると、果実は肥大化し、約500gほどの重さになることがあります。

私は出荷するナスの一個の重さを、大体120〜150g程度の範囲で収穫しています。収穫量は果実の数に比例するため、果実の数が分かればおおよその収量を推測することができます。

例えば、株数が100で、一株当たりの収穫量が平均的に10個の果実とすると、収量は1000個の果実になります。そして、各果実の重さが平均的に130gであれば、収穫量は130kgになります。

このように、果実の数と重さを考慮して収量を把握することで、効果的な収量管理や出荷計画を立てることができます。

したがって、一株当たりの果実数は主枝になる果実と側枝になる果実の合計となります。

果実の数は、開花した花の数から結実せずに落花した花の数を引いたものです。そのため、花の様子を詳しく観察し、解析することでおおよその収量を予測することができます。

例えば、開花した花の数が100個で、結実せずに落花した花の数が20個だった場合、果実の数は80個となります。

このように、花の結果を観察し、結実率を把握することで収量を予測することができます。そして、予測された収量をもとに適切な栽培管理や出荷計画を立てることができます。

枝の成長と開花をステージ別に追跡

主枝の開花は、5月下旬に二番花が咲き始め、その後上方向に順次開花していきます。

最終的な開花は、定植後約55日後の7月下旬ごろになるはずです。

側枝の花も低い位置から咲き始めますが、低い位置では早く、先端に行くほど遅くなる傾向があります。

その結果、低い位置の開花数は主枝の第五節までが最も多いようです。

一方、六節目以上では開花数が減少し、最先端では主枝の中間の節位よりも開花数が多いことが分かりました。

摘心の時期は、7月23日から25日に設定していますが、このタイミングで摘心することで、主枝の伸長に必要な光合成養分を適切に供給することができます。

しかし、主枝の伸長に伴って若干の影響があり、側枝の花の数がやや減少する傾向が見られます。

以上のように、摘心時期を適切に決定することで主枝と側枝のバランスを保ち、光合成に必要な養分を確保できることが分かります。

全体を見ると、落花は少なかったのですが、8月中旬になると成り疲れにより花の数が急激に減少しました。その結果、9月中旬まで樹勢や気温の低下により収穫に至らない花が多くなった年もありました。

このような栽培のリズムやパターンを把握しておくと、農業経営においてスタッフの雇用などを行っている方々にとっても役立つことでしょう。適切なタイミングでの作業計画や労働力の調整が可能となり、効率的かつ効果的な経営を行うことができます。

例えば、花の開花状況を把握することで、収穫時期や収穫量の予測が可能となります。これにより、必要な人手や収穫用の容器などの準備を事前に行うことができます。

また、摘心時期の決定や樹勢の管理により、側枝と主枝のバランスを保つことができます。これにより、光合成に必要な養分を効果的に供給し、作物の成長を最大化することができます。

さらに、成り疲れや気温の変動による花の数の変化を把握することで、収穫時期や収穫量の調整を行うことができます。これにより、適切なタイミングでの収穫を実現し、作物の品質と収益性を向上させることができます。

以上のように、ナスの栽培において農業経営者はリズムやパターンを把握し、それを経営戦略に活かすことが重要です。適切な計画立案とリソースの最適な活用により、効率的かつ持続可能な経営を実現することができるでしょう。

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