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五大シャトーを巡る旅に出ましょう。

ここから、ボルドーだけではなく世界の頂点として、ワインを愛する人たちから世界的に認知される5大とシャトーと呼ばれるワイナリーを紹介させていただきます。

これから紹介する5つのシャトーは、その歴史や特徴、評価など、ワインの魅力を存分に楽しむことができるポイントが盛りだくさんです。ワイン好きなら必見の情報ですので、ぜひお楽しみにしてください。

ワインの未来を切り拓く5大シャトーの歴史と哲学

これまでの長い歴史を誇りつつ、未来を切り拓く姿勢を持ち、栽培から醸造技術に至るまで常に進化を続けてきたことが、ワイン業界のトップランナーとしての地位を築いています。

これらの5大シャトーの歴史と哲学を深く学ぶことは、私たちに多くの示唆を与えてくれます。長い年月をかけて培われた伝統を尊重しながらも、新しいアプローチや技術の導入を通じて進化を続ける姿勢は、他のワイナリーや産地にも大きな影響を与えています。その哲学から学ぶことは、ワイン産業全体において革新的なアイデアや持続可能なプラクティスを発見し、今後の展望を明るくするのに役立つでしょう。

また、これらのシャトーが取り組んできた歴史や哲学は、ワインに対する情熱や独自のアプローチを理解する手助けともなります。ワイン愛好家やビジネス関係者にとって、彼らの物語はワインの魅力や多様性をより深く理解し、鑑賞する際の新たな視点を提供してくれることでしょう。


歴史に裏付けられた進化するグラン・ヴァン

『シャトー・ラフィット・ロートシルト』

ボルドーだけではなく世界の頂点として、ワインを愛する人たちから認知される5大シャトーについて、本連載では紹介します。ワイン好きな方々にとっては、特に注目すべき存在です。

シャトーごとに異なる個性や歴史、そして生産されるワインの特徴など、知っておくべき情報が盛りだくさんです。ボルドーを代表する5つのシャトーを通じて、グランクリュワインの魅力に迫ります。世界中で愛されるワインの世界に一歩踏み込んでみましょう。

ワイン産業において、伝統と革新のバランスは成功の鍵です。5大シャトーは、その見事なバランスを保ちながら、世界のワイン産業をリードしてきました。彼らの歴史と哲学には、ビジネスの世界でも活用できる教訓が詰まっています。

ワイン産地での栽培から独自の醸造技術まで、5大シャトーは積極的に進化し続けてきました。この積極性こそが、彼らをワインビジネスのトップランナーとし、世界中のワイン愛好者に感銘を与えています。

この記事では、5大シャトーの成功の背後にある要因に迫り、ビジネスの分野での応用に焦点を当てます。どのようにして伝統を守りながらも革新的なアプローチを取り入れ、世界のワイン業界をリードし続けているのか、その秘密を明らかにします。

標高の高く水捌けの良い土壌に恵まれたラフィット

「ラフィット」という名前は、ガスコン語で「小高い丘」を意味する「La Hite(ラ・イット)」に由来しています。この名前が初めて葡萄畑に付けられたのは、17世紀後半でした。セギュール家が資本を投じてブドウ畑を整備し、その評価が高まりました。そして、18世紀後半には、後の第三代合衆国大統領となるトーマス・ジェファーソン駐フランス大使が、このワインを好んで購入したことで知られています。

この歴史的な背景には、ラフィットの名前とその評判がどれほど栄えたかが示されています。セギュール家の熱意とジェファーソン大使の好みが、このワインの名声を高め、それが現代に至るまで続いています。ラフィットの成功は、単なるワインの生産に留まらず、その背後にある物語と熱意によって支えられています。この物語は、ワイン愛好家にとって魅力的で、その詳細に迫ることで、ラフィットワインの真の価値が浮かび上がります。

1955年の格付けにおいて、ワインの取引価格はクルティエによって決められていましたが、「シャトー・ラフィット・ロートシルト」はその中でも最上位に位置づけられていました。

この時代の格付けは、ワイン産地ごとに評価され、各ワインにランクが与えられました。そして、シャトー・ラフィット・ロートシルトはその中でも最高ランクに認定されたのです。この栄誉ある評価は、ラフィットの品質と評判がいかに高かったかを示しています。

一流のワインとして認識されたことは、ラフィットの歴史において重要なマイルストーンであり、その後の成功に繋がりました。この格付けの評価は、ワイン愛好家やコレクターにとっても重要な要素であり、ラフィットの品質と価値を一層高める一因となりました。そのため、この格付けはラフィットの名前に欠かせない要素となっています。

1868年、フランスの分家トップであるジェームス・ド・ロスチャイルド男爵が、パリのオークションでシャトーを落札したことで、ロスチャイルド家の歴史に深い印象を刻みました。

この出来事は、ロスチャイルド家がワイン産業に本格的に関与し始めた重要な節目でした。ジェームス・ド・ロスチャイルド男爵は、ラフィットの価値と潜在能力を認識し、その魅力的なワインを手に入れました。これにより、ラフィットはロスチャイルド家の所有となり、彼らのワインへの情熱と専門知識が注がれることになりました。

ロスチャイルド家の参入により、ラフィットは更なる品質向上と国際的な評判の確立に向けて大きく前進しました。彼らは伝統と革新を結びつけ、シャトー・ラフィット・ロートシルトを世界的なワインのシンボルとして確立する一助となりました。

このエピソードは、ラフィットの歴史において欠かせない要素であり、ロスチャイルド家との縁がラフィットの成功に大きく寄与したことを物語っています。

ちなみにこの時代は日本は幕末期に当たり、先日の書評でご紹介したロシアなどは帝国時代となっております。その歴史を感じていただけると思います。

大戦中、シャトー・ムートン・ロートシルトはドイツの支配下に置かれましたが、終戦後、エリー男爵の指導のもとで立ち直り、1960年代に入るとアメリカ市場を積極的に開拓しました。この過程で、シャトー・ムートン・ロートシルトは価格と品質の向上に取り組み、同じボイヤック村に位置する格付け第4級の「シャトー・デュアール・ミロン」を1962年に購入しました。

この時期のシャトー・ムートン・ロートシルトは、地道な努力と投資によって品質を飛躍的に向上させ、ワイン愛好家やコレクターの注目を集めました。アメリカ市場への進出は、国際的な評判の向上と市場の多様化に大いに貢献しました。

シャトー・デュアール・ミロンの取得は、ラフィット家のワインへの熱意と情熱の表れであり、同じ村に位置する異なる格付けのシャトー同士が切磋琢磨し、お互いに高め合っていった象徴です。この協力と競争の中で、ワインの価格と品質が向上し、ボルドーワイン産業に新たな活力をもたらしました。

シャトー・ムートン・ロートシルトの歴史は、戦時中の試練からの復興と、国際的な市場での成功を経て、今日まで続く豊かな伝統と革新の物語なのです。

シャトー・ムートン・ロートシルトの栄光と再生

実は、シャトー・ムートン・ロートシルトは1960年代中盤から1970年代にかけて売上が低迷していました。しかし、1974年にエリー男爵の後継者であるいとこであるエリック・ド・ロスチャイルド男爵が経営の改善に本格的に取り組んだことで、ブドウ畑とワイナリーの管理が大幅に改善されました。

エリック男爵の指導のもと、シャトー・ムートン・ロートシルトは除草剤の使用を制限し、植え替え作業を積極的に行い、圃場の改修を進めました。これにより、ブドウの品質が向上し、ワインの評判も徐々に高まっていきました。特に1987年には、印象的な円形のカーブ内に最大2,200の樽を配置するワイナリーの建設プロジェクトを開始し、1988年にその完成を迎えました。この円形のワイナリーは非常に荘厳で美しいものであり、シャトー・ムートン・ロートシルトのワイン製造の品質向上に寄与しました。

エリック男爵の経営手腕と情熱は、シャトー・ムートン・ロートシルトの再生に大いに貢献し、ワイン愛好家からの高い評価を受けることとなりました。この時期の改善と投資は、シャトー・ムートン・ロートシルトがワイン産業においてトップクラスの地位を確立する礎となりました。

シャトー・ムートン・ロートシルトは、その卓越したワインづくりの歴史を紡いできた伝説的なワイナリーです。この魅力的なエステイトは、ボルドーのワイン産地で最も優れたテロワールの一つに恵まれており、その美しいブドウ畑は独自の魅力を持っています。

まず、シャトー・ムートン・ロートシルトのブドウ畑は、合計で112ヘクタールにも及び、三ヶ所に分かれて広がっています。これらの畑はそれぞれ異なる特性を持ち、ワインづくりにおいて多彩な要素を提供しています。シャトーを囲む丘陵地帯や、西側に広がるカリュアド大地は、ブドウ栽培に最適な条件を提供しています。標高27メートルに達する丘陵からの日照りや排水性の良さは、ブドウの成熟に理想的な環境を提供しています。一方、サン・テステフ村に位置する4.5ヘクタールの圃場は、異なる土壌と気候条件を持ち、ワインの複雑性に貢献しています。

これらの畑は、シャトー・ムートン・ロートシルトのワインのユニークな味わいや個性に影響を与えています。畑ごとのブドウの特性を最大限に活かすため、丹精込めて栽培が行われ、ワインづくりのプロセスにおいてもそれぞれの畑の特徴を生かす工夫がされています。

シャトー・ムートン・ロートシルトのワインは、その畑地の多様性と美しいテロワールから生まれる独自の個性を持っており、ワイン愛好家にとってはその秘密がますます魅力的です。

このテロワールも、そのワインの品質と独自性に大きく寄与しています。この美しいエステイトの土壌は、ワイン愛好家にとって特別な興奮をもたらす特徴を備えています。

この土壌は細かな4メートルもの厚みのある礫で覆われており、地質学的には第三紀の石灰質とされています。この組み合わせは、根に優れた排水性を提供し、ブドウの根が深く成長し、豊かな栄養を吸収できる環境を創り出しています。また、土壌中の礫が日光を反射し、ブドウに温暖な環境を提供する役割を果たしています。こうした条件は、ブドウ栽培において理想的な状態を作り出し、ワインの品質向上に寄与しています。

特に注目すべきは、「カリュアド」と呼ばれるエリアです。このエリアは2つの区画に分かれており、セカンドワインとして知られる「カリュアド」はその名前の通り、セカンドラベルに使用されます。しかし、実際には、この区画のブドウが、シャトー・ラフィット・ロートシルトのグラン・ヴァン(最高級ワイン)の生産に使用されています。ここで育つブドウは、エレガンス、女性的なテクスチャー、ミネラル感の表現に特に適しており、シャトーの最高級ワインに深みと独自性を与えています。

ラフィットのテロワールは、ワイン醸造における秘密の要素であり、その品質に寄与する重要な要素の一つです。土壌からの栄養、日照、水捌け、そしてブドウの品質に対する情熱的な世話が、シャトー・ラフィット・ロートシルトのワインを世界的に有名なものにしています。

サン・テステフ村の貴重なブドウと栽培の秘密

サン・テステフ村はシャトー・ラフィット・ロートシルトのブドウ畑の一部であり、そのブドウはシャトーの歴史と品質を築く重要な要素となっています。ここでは、この村のブドウについての興味深い事実と、その栽培に関する秘密についてご紹介しましょう。

まず、サン・テステフ村のブドウは、格付けが行われた1855年からシャトー・ラフィット・ロートシルトのワインに使用されています。この村は、ムートンと隣接しており、その地理的位置がワインに独自の特性をもたらしています。この地域のブドウは、シャトーのブレンドに活かされており、その影響はワインの複雑性と深みに表れています。

ブドウの品種に注目すると、カベルネ・ソーヴィニヨンが70%を占め、メルローが25%、カベルネ・フランが3%、プティ・ヴェルドが2%という栽培比率が使用されています。また、グラン・ヴァン(最高級ワイン)に使用されるブドウの樹齢は10年未満のものは選ばれません。シャトーは品質を追求し、樹齢のあるブドウから最高のワインを生み出すため、慎重に樹齢を管理しています。

さらに、「ラ・グラヴィエール」と呼ばれる区画は、非常に限られた面積を持ち、その植栽密度はヘクタールあたり約8500本前後です。この区画では有機肥料のみを使用し、持続可能な農業の実践が行われています。こうした環境で育ったブドウは、品質と風味において卓越したものとなり、シャトー・ラフィット・ロートシルトのワインに独自の個性をもたらしています。

サン・テステフ村のブドウとその栽培方法は、シャトー・ラフィット・ロートシルトのワインに不可欠な要素であり、その品質と独自性に寄与しています。

ボルドーのフィネスとエレガンスの象徴

発酵において、大型の木樽ステンレスタンク、そして小型のコンクリートタンクが、異なる区画ごとやブドウ品種ごとに使用されています。特に、マロラクティック発酵は小型のステンレスタンクで行われており、グラヴィティー・フローは導入されていません。

この醸造プロセスでは、は全て自社の樽工房で製造されており、品質にこだわりがあります。これらの樽は、新樽100%で選ばれ、18ヶ月〜20ヶ月の間、ワインが熟成されます。

この方法により、ワイナリーは品種や発酵方法ごとに異なる特性を引き出し、高品質のワインを生産しています。

「カリュアド・ド・ラフィット」の生産量は約15,000〜20,000ケースほどで、このワインはボルドーで誕生し、1850年代に初めて造られた歴史あるセカンドワインの一つです。

この特別なワインは、ボルドーの伝統と歴史を背負っており、その製造過程は非常に注意深く管理されています。ブドウ品種や土壌の特性を最大限に引き立て、品質へのこだわりが際立ちます。

カリュアド・ド・ラフィットは、長い年月をかけて熟成され、その結果、洗練された風味と複雑さを持つワインとして知られています。その歴史と伝統は、ワイン愛好家にとって魅力的な要素であり、このワインの独自性を強調しています。

「ムーラン・ド・カリュアド」として再登場し、その後 「カリュアド・ド・ラフィット」 として名を馳せたこのワインは、1960年代からの軌跡をたどります。

このラフィットは、その特徴的なデリケートさと、エレガンスに富み、フィネスを極めた味わいで知られています。ワイン愛好家にとって、これはまさにテクスチャーが滑らかで、タンニンがしなやかなワインの極致と言えるでしょう。

特筆すべきは、良年においてカベルネ・ソーヴィニヨンの比率がほぼ 100%に近づくことです。これにより、ラフィットはその力強さと女性的な繊細さを見事に融合させ、真に印象的なワインとなります。この絶妙なバランスが、その品質と魅力を際立たせています。

このように、カリュアド・ド・ラフィットはその名前の由来から現代まで、品質と独自性を追求し続けています。

ワイン評論家のロバート・パーカー氏は、2003年ヴィンテージに対して驚異的な100点の評価を授け、その卓越性を高く評価しました。

しかし、2018年に迎えた150周年を機に、カリュアド・ド・ラフィットは新たな経営体制への移行を果たしました。そして、新しい女性リーダーの下で、これからの展望に世界中の注目が集まっています。

この変革が、ワイン愛好家や業界関係者にとって興味深いものであり、カリュアド・ド・ラフィットがどのように進化し、新たなる高みを目指すのかが注目の的となっています。新たな経営陣が持つビジョンと情熱が、これまで以上に魅力的なワインを生み出す鍵となるでしょう。

このような状況下で、カリュアド・ド・ラフィットの歴史と未来が交差し、ワイン業界に新たな波をもたらす可能性が広がっています。

以上、ボルドーのワイナリー紹介を通じて、ワインの魅力と世界のシャトーの歴史をお伝えしました。これらのシャトーの取り組みや哲学は、ワイン業界や他のワイナリーにとって大きな影響を与えています。私たちも彼らの姿勢を学び、新しいアプローチや技術を取り入れることで、ワインへの情熱や理解を深めることができます。ぜひ、他の記事やnote更新もチェックして、ワインの学びと愉しみを広げてください!


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言の葉を綴じる杜
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