ナスは収穫のたびに切り戻しするのがコツ
前回は「ナスのアグリハック 管理のポイント」でオススメの管理手法や灌水のポイントについて紹介させていただきました。
今回は、この連載も早いもので20回目を迎えることができましたので、これまでの栽培方法を簡単な「まとめ」とさせていただきます。
夏秋ナス栽培まとめ
農業においては、「苗八作」とも呼ばれる方法がありますので、成長具合が揃った苗を用意して定植することがおすすめです。「苗八作」とは、同時期に苗をまとめて植えることで、収穫時期や生育の揃いを図る手法です。
定植時に苗の成長具合が揃っていると、同時期に収穫が可能となり、効率的な作業計画や管理が可能となります。そのため、購入苗を用意して、成長具合が揃ったものを選別して定植することが重要です。
これにより、作物の生育や収穫時期のバラツキを最小限に抑え、一定の収穫量や品質を確保することができます。また、苗の購入においては、信頼できる苗業者から良質な苗を選ぶことも大切です。
「苗八作」を実践することで、作物の生育状況や収穫時期を調整し、より効率的な農業経営を実現することができます。
定植のタイミングは、作物の一番花が咲いた時期に行うのがおすすめです。
この時期にはまだソルゴーも育っておらず、また強風の日が多いため、定植後はトンネルなどで作物を保護することが重要です。トンネルは風を遮り、作物を直接的な風害から守る効果があります。
また、トンネル内は温度や湿度が保たれるため、作物の生育環境を安定させることもできます。強風による損害や気象条件の変化によるストレスを最小限に抑え、健全な成長を促すためにも、トンネルなどの保護施設を活用しましょう。
このような保護措置を行うことで、作物の安定的な生育と収穫量の確保が可能となります。
農業経営においては、適切な保護対策を講じることで、気候や環境の変動によるリスクを軽減し、作物の生育と収穫の安定性を高めることが求められます。
一カ月が経過すると、初めて収穫できる「一番果」は通常可販果としては適当ではないため、捨てることが一般的です。しかし、私はこれらの一番果を集めてピクルスとして販売しました。
マーケティングの視点から見ると、「一番果」という特別な存在は魅力的です。例えば、キリン一番搾りのように「一番」という言葉には特別感や優越感があります。
捨てることなく一番果を活用することで、ティザー広告としても機能します。「これからウチのナスの出荷が始まりますよ〜」というメッセージを伝えることで、消費者の興味を引きつけることができます。
このような仕掛けは重要であり、一番果の活用方法やその特別性をアピールすることで、消費者の関心を喚起し、商品の魅力を高めることができます。
マーケティングの観点からは、一番果を捨てるのではなく、その特別さを生かした販売戦略を展開することで、競争力を高めることができます。
一番果の販売においては、商品の特徴や付加価値を的確に伝える広告やプロモーション活動が重要です。消費者にとって特別な存在であることを認識させ、商品への関心や期待を高めることが目指すべきです。
このようなマーケティングの仕掛けによって、一番果の活用に成功し、ウチのナスの出荷を盛り上げることができるでしょう。
その後は、ナスの樹が疲れないように注意しながら収穫を進めます。収穫する際には、実のなっている枝の手前から切り戻すことで、わき芽から新たな花が咲くよう促します。
このようにナスを収穫するたびに切り戻していくことで、各枝に十分な日光が当たるようになります。また、この方法を実践することで、秋ナスのために大規模な切り戻しを行う必要がなくなります。
枝ごとにバランスを保ちながら収穫し、切り戻しを行うことで、樹の健康な成長を促し、収量や品質の向上にもつながります。
また、この方法によってナスの生育を適切に管理することができ、樹の疲労を最小限に抑えることができます。
ナスを切り戻す際には、慎重に行い、健全な枝や花を残しながら行うことが重要です。
このような方法を実践することで、ナスの生育状況を適切に管理し、より良い収穫を得ることができるでしょう。
また、私の畑では、ナスの栽培に黒マルチを使用しています。黒マルチは土壌温度を上げる効果があり、ナスの生育に適した環境を作り出すのに役立ちます。
さらに、かん水チューブを二本埋め込んでおり、液肥を流すことで栄養を効果的に供給しています。液肥の流し方については、「ナス栽培に日射制御型こけら落とし自動灌水装置」を参考にされることをおすすめします。
この自動灌水装置を導入することで、液肥の供給を自動化し、省力化につなげることができます。定期的な液肥の流し込み作業を自動化することで、労力や時間を節約することができます。
また、自動灌水装置には日射制御型こけら落とし機能も備わっており、適切な日光量を調整することができます。これにより、ナスの生育に最適な環境を維持することができます。
省力化や効率化は農業経営において重要な要素です。自動化された灌水装置の導入は、作業効率の向上やリソースの効果的な活用につながることでしょう。
また、尿素を使用する際には、通常の施肥量の50倍の割合で混用することで、ナスの栽培において秋までに色合いや実の品質を向上させることができます。
尿素は窒素を豊富に含み、植物の成長に必要な栄養素として重要な役割を果たします。適切な割合で混ぜ込むことで、ナスの生育を促進し、色合いや品質の向上に寄与します。
ただし、施肥の際には過剰な施用には注意が必要です。施肥量を適切に調整し、植物の成長状態や土壌の状態を考慮しながら施肥を行うことが重要です。
尿素の使用に関しては、地域や環境条件によっても適切な施用量やタイミングが異なる場合がありますので、現地の農業専門家や指導機関のアドバイスを参考にすることをおすすめします。
尿素の適切な使用は、ナスの生育や収量の向上に寄与することが期待されますが、施肥に関するバランスや管理の面でも注意が必要です。十分な知識と経験を持った専門家との相談や適切な施肥計画の策定が重要です。
以上のような施肥の取り組みにより、ナスの品質や収量を向上させ、より良い収穫を得ることができます。
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