ナスの秀品率アップが利益率アップにつながる
前回は「ナスは連作障害なんて問題じゃない」と題して連作障害を避ける方法などを共有させていただきました。
今回の記事は、ナスの栽培によってさらに事業の安定化をさせるために、秀品率を上げることで粗利を上げるポイントを取り上げます。
秀品率を上げる二つのポイント
夏秋ナス栽培において、同じ面積で同じ株数を栽培しても、作り手によって利益率が大きく異なることがあります。そのため、農家にとっては「利益の最大化」を考えることが重要です。
利益の最大化を実現するためには、以下のポイントに留意する必要があります。
生産コストの管理と削減
労働力の効率的な活用や資材の適切な選定により、生産コストを最適化します。また、機械や設備の効果的な活用によって作業効率を向上させ、生産コストを削減する取り組みも重要です。
品質の確保と付加価値の創造
品質の確保に努め、消費者のニーズやトレンドに合わせた付加価値を創造することが重要です。有機栽培や地産地消など、特定の市場ニーズに応える取り組みを行うことで、価値の高い作物を提供することができます。
生産計画とマーケティングの戦略的な立案
市場の需要予測や競合状況を考慮しながら、生産計画を立てることが重要です。また、マーケティング戦略を練り、販路の開拓やブランドイメージの構築にも取り組むことが利益の最大化につながります。
これらのポイントを考慮しながら、効率的な経営と品質の確保を両立させることで、夏秋ナス栽培における利益の最大化を図ることができます。
不良果・奇形果をつくらない
ナスの栽培や運送に関わるコストは、きれいなナスと傷がついたり変形したナスに関しては同じです。したがって、利益率を上げていくには「秀品率の向上」がもっとも有効な手段となります。
秀品率の向上を実現するためには、以下のポイントに留意する必要があります。
まず、栽培管理を徹底します。適切な栽培技術や管理方法を用いて、ナスの健全な成長を促進します。病害虫の予防や早期発見・対策を行い、品質に影響を及ぼす要因を最小限に抑えます。
収穫時には注意が必要です。適切な収穫時期を把握し、ナスが最も良い状態で収穫できるようにします。傷つきや変形が生じないように、丁寧な収穫作業を心掛けます。
また、適切な仕分けと出荷も重要です。収穫後にナスを品質やサイズに応じて仕分けし、優れた品質を持つナスを選別します。出荷時には適切な包装や取り扱いを行い、ナスの品質を維持します。
これらのポイントに留意しながら、秀品率の向上を図ることで、利益率の向上が期待できます。
傷果に対する防風対策や害虫対策に加えて、ナス栽培においては「ツヤなし果」や「日焼け果」などの不良果、そして曲がるや首が細いといった奇形果と呼ばれる障害も注意が必要です。
これらの果実の不良や形の異常は、果皮に障害が生じたことによるものです。
ナスが人の顔に似ているなど面白い形状の果実は最初の一個だけで楽しむものとしましょう。
これらの障害の原因を追求し、適切な成長段階で適切な対策を行うことが重要です。
例えば、ツヤなし果や日焼け果に対しては、適切な遮光や日除け対策を行い、果皮を保護します。
曲がるや首が細いといった奇形果に対しては、栽培環境や栄養バランスの調整、適切な摘心や支柱などの栽培管理を行うことで、形状の安定性を向上させることができます。
これらの対策を適切な成長段階で行うことにより、傷果や奇形果の発生を減らし、品質の良いナスの収穫を目指しましょう。
気象災害に対応し病害虫を予防する
夏秋ナスの栽培において、最も被害の大きい気象災害は強風害です。
夏秋ナスは葉が大きく、風の影響を受けやすい特徴があります。また、実の表面も非常に柔らかく傷つきやすいため、風による損傷を防ぐ対策が必要です。
このため、栽培時には必ず防風ネットやソルゴーといった風除けのための資材を用意します。
防風ネットは強風からナスを保護し、風圧を軽減して植物が安定した成長をすることができます。
また、ソルゴーと呼ばれる透明なフィルムを使用することで、風の通り道を制限しつつも日光の透過を確保できます。
これらの対策を行うことによって、強風によるナスの被害を最小限に抑え、健全な成長と収穫を実現できます。
害虫の被害を効果的に回避するためには、適切な対策を講じることが重要です。
天敵温存植物を活用することや、天敵に影響の少ない殺虫剤を選択することで、害虫の被害をかなり減らすことができます。
私のおススメは、ソルゴーを育成して防風と害虫被害の抑制に役立てる方法です。ソルゴーは風除けだけでなく、害虫の寄り付きを防ぐ効果もあります。
これらの対策を組み合わせることで、害虫被害を効果的に回避し、健全なナスの栽培を実現することができます。
ソルゴーの育成方法や利用方法については、本マガジンにて詳しく紹介していきますので、ぜひご参考にしてください。