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従順

夕方、あたりは薄暗い。

恵美は養女だった。

母と父を亡くしこの家に来た。

「脱いで」

義理母が言った。

訳は分からないが恵美は従った。

少しビクついている。

衣服を脱ぐと母は身体をペチンと叩き始めた。

恵美は黙っていた。

さかしあまりにも叩かれ続けるので恵美は嫌われているのかと不安になってきた。

そっと母の顔を見ると優しい顔ではなかった。

恵美は涙ぐんだ。とたんに寝そべった。

「何よ」
母が言う。

「訳が分からないので寝ます」
恵美は答えた。

「寝ちゃダメよ」
母は強く言った。

「だって意味が分からないもん。体が寒くなってきたし。。。」
恵美は泣きながら言った。

「ならね。」

母は私を放って別室に行った。

恵美は急いで服を拾った。

その服を布団替わりに泣きながら寝ていった。

10くらい年の違いがある大きな体のお兄さん達といる。

恵美は7歳だ。黒髪の少し内巻きなボブ、いわゆるおかっぱだ。

母がお兄さん達に何か話している。その後、この小屋に恵美は連れてこられた。

恵美はあった布団に寝かされると

「下着脱いで」

と大きな体のメガネのお兄さんに言われた。

恵美は従った。

するとお兄さんはプラスチック製の丸い筒のような玩具のようなものを恵美の陰部にグイッと押し入れた。

恵美はビクッとした。

それからやけに冷静になって周りを見てみると男が3人いた。
8ミリフィルムを回している。

それからは恵美は記憶になかった。

帰り道、
「お兄さん」
と恵美が小さな声で言うと

「なつくなよ。」
とお兄さんがぼそっと言った。

夕日が暮れる頃だった。

恵美は親戚の家に行った。

昼間なのに親戚のお姉さんがお風呂に入ろうと言ってきた。

恵美は従った。

すっぽんぽんになってお風呂に入るとお姉さんは下着のまま湯船に立っていた。

ゆっくりブラジャーを恥ずかしそうにとる。

少しお湯で濡れてパンティーから陰毛が透けている。

なんだか恵美は気持ちが悪くなった。

すぐに身体を洗って

「先に上がるね」

と風呂からでた。

しばらくするとお姉さんが風呂からあがってアイスバーをもってきた。

お姉さんは長い髪を扇風機にたなびかせて乾かしていた。

恵美、8歳の頃だった。

母と2人きり、母の部屋にいる。

「お兄ちゃんの方が大事だから」

いきなり言われた。

恵美には兄がいる。

この間、池に兄を突き落とした。

母は血相を変えて兄を助けた。


兄の方が大事と告げられたのはその直後だった。


恵美は少し俯いた。


飾ってあるドライフラワーが綺麗と少し思う余裕があった。


「通帳6本」


母が何やら言っている。


「お兄ちゃんは大事な跡取り息子だからね」


母はそう言ってから私を部屋にかえした。


部屋に帰る途中、廊下で義理父に会った。


「お母さん、疲れてるから迷惑かけるなよ」

と恵美は頭を叩かれた。


恵美は少し涙が出たがぐっとこらえた。


「泣いてなんかないもん。」

くりかえし恵美は言った。






恵美の実父母の遺産相続金数億円。



恵美の手元には届かなかった。



祖父の書斎の革ソファーの革クッションには複数の鉛筆で刺した跡があった。


兄か恵美かどちらの仕業だったのだろうか。




恵美は義務教育が終わったらこの家を出ると心に決めた。

















おわり

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