見出し画像

『ウマフリ』執筆裏話 ―「メイデイレディの来日に寄せて」編


1.はじめに

 今回は『ウマフリ』に寄稿した「寺山修司が加賀武見に見た「現代批評」 ― メイデイレディの来日に寄せて」の執筆裏話をお届けします。

 最初にお詫びから…。アグネスデジタルコラムの裏話にて、秋の私の寄稿スケジュールはグローリーヴェイズ・アグネスデジタル・マンハッタンカフェの計3本と書いておりましたが、こういう形で別のエッセイが掲載と相成りました。投稿時点でマンハッタンカフェのコラムも執筆中ですので、もしそちらを待っておられる方がいらっしゃいましたら、ご安心ください。

2.執筆まで

 そういう事態になった経緯なのですが、元々このエッセイはnoteに投稿する予定でした。メイデイレディの来日が決まったタイミングで、寺山修司の「加賀武見論」に引っ掛けて何か書きたいな、と思ったのですが、余りにも趣味に寄りすぎていて「競馬コラム&ニュースサイト」である『ウマフリ』で掲載するには適さない、と考えたのです。読んでいただいた方はお分かりと思いますが、このエッセイの主眼は「寺山修司」にあり、メイデイレディはモチーフの一つです。

 しかし、オリジナルのエッセイをnoteに投稿するのは初めてのこと。あくまでも『ウマフリ』ライターとして投稿している本noteですから、事前に緒方きしん代表にご連絡するのが筋と判断しました。そのメッセージの最後に、「もしご興味がありましたら、『ウマフリ』さん用の記事ネタのストックとして置いておいた方が良いですかね?」と書き添えていたのですが、正直に言って、「ウチのサイトだと難しそうですし、是非noteで投稿してください。公開、楽しみにしています!」的な返事を期待してのものでした。しかし、緒方代表からは「ぜひウマフリでお願いしたいですね…!!!」という滅茶苦茶前向きな返答が。予想外でした。

 そしてコラムの方向性を相談する中で、緒方代表に「寺山修司の記事で大丈夫だと思います!」という心強い(?)後押しをいただき、腹を括りました。需要があるかは分からないけれどもやれるだけやってみよう、とプロット作成に取り掛かることにしました。

3.プロット作成

 「寺山修司の記事で大丈夫」とは言われたものの、自己満足的な記事になってしまっては『ウマフリ』で掲載する意味がありません。ポイントは、加賀武見先生とメイデイレディを重ね合わせる意味を読者の皆様に感じていただくこと。そこでまずキーワードにしたのが「現代への新鮮な批評」という寺山の言葉でした。寺山が語った「現代」は半世紀前のこと。2024年とは大きく状況が異なります。しかし、加賀騎手が当時示した「新鮮さ」は、今メイデイレディの来日によって感じる「新鮮さ」に通じるものがあるのではないか。そこを糸口にコラムの枠組みを作っていきました。

 「家出のすすめ」を引用してみよう、と考えたのはこのタイミングです。加賀騎手を寺山が気に入った理由が寺山の人生観にあることは推測できていたので、そこに軽く触れる気ではいました。しかし、『ウマフリ』に掲載する以上、しっかりとした引用の形が良いだろう、と判断。引用箇所を探すべく「家出のすすめ」を読み返していると、「新しい価値」という言葉に惹かれたのです。この言葉は加賀先生とメイデイレディを繋ぐもう一つのキーワードになるかも知れない。そう思ってプロットに組み込みました。

 加えて加賀先生の事績を歴史的に振り返るために島田明宏先生の『ジョッキーズ』を、現代日本競馬における潮目の変化に着目するために『Idol Horse』の記事を引用、と引用部が増えていき、プロットの時点でどのくらいの字数になるのか、予想できないコラムになりました。

 本来はマンハッタンカフェのコラムの前にサクッと書いてnoteに投稿する予定のものが、そこそこの大作になりそうで、ちょっとゾッとしましたね…。

4.執筆

 書き始めたら、案の定字数が膨らんでいきました。まず、1000字くらいのつもりだった導入部が1700字を超えました。この時点で緒方代表に進捗報告をお送りしたのですが、その時私は「4000字くらいになりそうな見通しです」とアマアマなことを言っていました。そんな訳はなかった…。

 草稿が締めの直前まで進んだ段階で行った第2回の進捗報告で、「4500字あります。どう考えても5000字を超えます…。いつもすみません…。」と謝罪。草稿が完成した段階で送ったメッセージでは「文字数は5700字ほどになりました。このテーマで6000字弱の記事が果たして読んでもらえるのか?というのは不安になります。」と泣き言を言い出しています。ここまで分量の予測が立てられないコラムは初めてでした。それだけ思い入れ強く書いた、ということかも知れませんが…。

5.おわりに

 改めまして、名馬紹介でも出走馬紹介でもない趣味全開のエッセイを読んでくださった方々、ありがとうございます。そして執筆の後押しをくださった緒方代表にも改めて感謝を申し上げます。

 そして何よりも、今回の挑戦を決断したメイデイレディ陣営の皆様がいなければ書けなかったエッセイでした。またリー調教師が手掛ける競走馬の来日があることを願っています。

 



いいなと思ったら応援しよう!