【極超短編小説】で、どうする?
僕らが座っているベンチと向かい合って、公園の反対側のベンチには若い男女が肩をくっつけて座っている。
燕が公園の真ん中の空間をスーッと横切った。
「‥‥乾いた」
煙草を足でもみ消しながら彼女は言った。
僕はその吸殻をつまみ上げポケットに入れてコンビニへ向かった。
彼女の横、僕と彼女の間に缶コーヒーをトンと置く。
僕が自分の缶コーヒーに口をつけると、彼女の缶コーヒーが向かいのベンチへ一直線に飛んで行くのが見えた。
一気に飲み終えた僕はコンビニへ向かう。
コーラを置く。コーラは向かいのベンチへ飛んで行った。少し山なりの軌道で。
3回ゲップをして飲み終えた僕はコンビニへ向かった。
キャップをひねりミネラルウォーターを彼女のうなじに注ぎ終わり、彼女の横に座る。
彼女は僕のミネラルウォーター奪い取り、一口含むと僕の顔へ吐き出した。冷気の残った液体が皮膚に浸み込んでいった。
「で、どうする?」
「どうしたい?」
つぶやくように言った彼女の視線は向かいのベンチに座る老人に向いていた。
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