タクシードライバー

タクシードライバーの話

俺はその日の深夜も車を忙しく走らせていた。俺はタクシードライバー。このタクシーの運転手という仕事を始めたのも、なりたくてなった訳ではなく、自分は運転免許証を持っていて、手軽で稼げる仕事は何かないかと探している時にたまたま目に止まったのがタクシーのドライバーだったからだ。始めた頃は慣れない道にメチャクチャ戸惑っていたが、一年も経つとすっかり道にも慣れて卒なく仕事をこなせるようになっていた。その雨の日の深夜も俺は国道沿いに忙しく車を走らせていた。すると雨の中だというのに、傘もささずに立って車を待っている男が手を上げて来たので、俺はその男の前で車を止めた。お客の男は車に入ってくるなり「目的地はどこでもいい。とにかく車を出してくれ。」と言って来た。俺は「目的地も言わずに車を出してくれとは一体どうゆうことだ？」とは思ったものの何分お客さんが言うことなので、車を走らせた。俺は「お客さん、おっしゃる通りに車を走らせましたけど、目的地って無いんですか？言ってもらわないと何処をどう走っていいものか全然分かりませんよ。」と言うと、お客の男は「目的地か、、。」と腕組みしながら考え込み「そうだ海だ。海にでも行ってくれ。」と言った。そこで俺は海へ向かって走り始めた。俺は割と人好きのする性格で、知らないお客さんと会話することをタクシードライバーの唯一の楽しみにしていた。そこでその日もお客に話しかけた。「お客さん、この寒い冬の日に海へ行くなんて珍しいですね。何か船に乗る予定でもあるんですか？」と尋ねると、男は「船か。船で海の真ん中まで行けば入水して死ねるかもな、、。」とつぶやいた。俺は焦って「まさか自殺するために海へ行ってくれって言っている訳じゃないでしょうね！」と聞くと、男は「ああ、実は俺には多額の借金があってな。その借金のせいでどうにもこうにも首が「回らなくなってしまったので、もう死んでもいいんだ。」と言った。そこで俺は「死ぬなんて物騒なこと言わないで下さいよ！人間死んでしまったら、そこで何もかも終わりですよ。借金があるというだけで人生終わらせてしまうなんて絶対に勿体ないですよ！」と言うと、男は「君は借金した事が無いからそんな風に言っていられるんだろう。借金取りが毎日家にやって来て暴れ回る、そんな地獄のような生活を味わったなら誰でも死にたくもなるよ。」と言った。俺はそのお客の口調から、この人は本気で死ぬつもりでこのタクシーを拾ったんだということを悟った。俺は目的地の海へ着いてしまう前になんとかこの男が死のうと考えることを止めなければ、と思ってあせった。そこで考え付いたのが、最近ＹＯＵＴＵＢＥで発見した、「引き寄せの法則」について話してやることだった。「引き寄せの法則」を使えば、誰でも人の役に立つことで大金を得て豊になり、幸せになれると言っていた。僕は脳みそをフル回転させて、そのYOUTUBEのスピリチュアルチャンネルで言っていた「引き寄せの法則」を知っている限りその男に話して聞かせた。目に見える現象は全て人の心が作っているという。だから幸せでないというのも今の心の在り方に原因があるのだ。人は「引き寄せの法則「を使って誰でも幸せになれる。そういう力があるのだ。俺は知っている限りの知識をその男に言って聞かせた。「僕も今は自分に何の才能があるか分からないのでタクシーの運転手という仕事をしているが、近い将来きっと大金を得て豊かで幸せに」なれるはずだ。だから今の僕には希望しかないんだ。と話した。すると男は「引き寄せの法則？」何だそれ？初めて聞くな。人は誰でも大金を得て幸せになれるはずだというのは本当か？」と尋ねて来たので、YOUTUBEのスピリチュアルチャンネルで検索すると、「引き寄せの法則」というのが出てくるか
らあなたも一度帰って見てみるといいですよ。きっと人生に希望が「持てますよ。」と話した。すると男は「そうか、確かに死ぬことはいつでもできる。だから何も今死のうとする必要は無いんだ。その「引き寄せの法則」とやらで本当に幸せになれるとしたら、それを試さない手はないな。」と言って、俺に元居た場所に引き返すように指示した。男は帰りのタクシーの中でずっと携帯でYOUTUBEを見ていた。そして彼は「引き寄せの法則」について詳しく知り、「なんだ、こんな良いものがあるのか。こんな良いものがあるのなら、僕は死ぬ必要なんて全然ないじゃないか。」と男は行きしなとは全く違った様子で彼を乗せた商店街の前で降りて行った。俺は一人の男の自殺を止めることができたことを心から嬉しく思い、タクシードライバーになって良かったと思った。そしてある日俺が会社で洗車していると、借金で苦しんで死にたいと言っていた男が訪ねて来た。彼は俺の姿を見るなり、「ありがとう！本当にありがとう！」と言いながら抱きついて来た。俺が戸惑っていると、男は「ありがとう、あの時「引き寄せの法則」があることを教えてくれて。」あの後家に帰ってから自分は何に向いているのかについて真剣に考えたんだよ。結果僕には以前から小説を書くという趣味があってね。それを思い切ってかなり大手の出版社へ送ってみたんだよ。すると即返事が来て、うちの出版社から本を出しませんか？という内容だった。勿論二つ返事でＯＫしたよ。するとその本が当たってね。借金していたお金なんて印税であっという間に払えちゃったんだ。本当にありがとう！あの日君が「引き寄せの法則」について教えてくれなかったら僕は死んでいるところだったよ。」と彼は何度も何度も僕にお礼を言った。僕は彼が訪ねて来てくれたことで、「引き寄せの法則」が本物であることの確信を得る事が出来てすごく嬉しかった。僕は自分にどんな才能があるのかまだ気づいてないのでタクシーの運転手を続けているだけで、僕が自分の才能に気づくことができたら人の役に立つことでお金は自然と入ってくるようになるはうだぞ。と思うと、今からそのことが楽しみで仕方がない・

僕は普段漫画の原作を多く書いているものです。僕の漫画を連載させてもいいというディレクターの人をさがしています。興味もある人はメールアドレス　mukaiyouji@gmail.com　までよろしくお願いします。他にも物語はピノキオの話、大学生と一家、サンセットスーパーマン、動物の物語などがあります。