見出し画像

父親とバンドの話  第2話

第2話

 僕はこうして会社へ行く羽目となった。会社に着くとお掃除のおばちゃんがにこやかに挨拶してきてくれた。僕は「ああ、おはよう」と少しぶっきらぼうな感じで返した。僕は「父親の顔を潰す訳にはいかない。」と、指示された通りにできるよう父親から預かったノートを何度も見返しながら、必死で仕事に打ち込んだ。仕事はそのノートの言っている通りにやれば良いのだが、僕が一番困ったのは人との接し方だ。得意先の人が来る度に父親はいつもこの人とどうゆう距離感でつきあっているのだろう?と考えながら手探りで話を進めていくので、正直それであっているのかどうかとても心配だった。特に親しくしていた人に「先日のゴルフの件なんだけど。」と持ち出されでもしたらたまったものじゃ無い。バレてしまうんじゃないかとドギマギしながらその日一日を何とかやり過ごした。僕は帰ったらどの人とどれ位の距離間でどういう風にしてつきあっているのか。知らない話題に対してはどう対応すればいいのかなどを詳しく父親に聞かなければと思った。

ここから先は

441字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?