蒼穹の見聞録-Lagra myth-4 hecto
神総司令本部の岩山から流れ落ちる膨大な滝。
そこには本部の行水清め処がある。
「禊」と呼ばれ、穢れを清め、神格を上げる儀式。
次々と交代される巨大な物体が並ぶ。
巨大な物体は大きさが様々だが、特に目を引く
一段とデカい物体が禊に手間取っていた。
「フィー!何してる。第3班のアカトリエル行水が完了していないぞ」
フィー「すまない。まだ慣れない作業で」
「手を抜いている訳ではないな」
フィー「迅速に対応する。少し待ってくれ」
「元遊撃部隊長のお前が、何故此処を志願した?」
フィーが止まる。
思考回路が乱れる
大事な任務
失敗が許されない一度きりの…
彼女は納屋に立っていた。
時間に狂いのない予定。
天に召します我らが、と言う綺麗事を嘲笑う
そこで彼女が見開いた眼に映る惨劇…
フィー「パンを盗まれた」
「?」
フィー「半分は取り返す事ができたが、
もう半分は…奴の腹の中だ」
「それは間抜けだな」
フィーが落胆する。
観念した様に静かに呟いた。
フィー「ああ、全くだ」
目に映る巨大なアカトリエルの行水が完了した。
ゆっくりと浮き上がり、大量の水を滴らせ、
真っ白に輝き、上昇する。
フィー「しかし‥デカいな」
「?あ、ああ」