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ドラの翼で3 hecto
天守閣から望む大富士。
無言で見つめる家康公。
参謀の男が跪き、
静かに頬を吊り上がらせる。
「簡単に釣れましたな、殿」
無言の家康公が口を開く。
家康「御用艇の増員を配備」
参謀「経過は順調です」
家康「スミスよ」
スミス「ハッ」
家康「秀忠(ヒデタダ)‥力丸は
何をしておる。
姿も見せぬ」
参謀スミスが苦い顔を見せる。
スミス「それが‥禁忌の文献を
漁って御出で‥」
家康「また地下の蔵に
籠っておるのか‥」
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提灯一つの暗がりの中、
埃に紛れ、城の若、力丸は
一本の巻物に注目していた。
看守に見張り代行をさせ、
禁忌の詳細を調べ上げて
いた最中であった。
力丸「この文献‥双竜伝説と記述がある‼︎」
双竜が1つの輪を模る文献。
禁忌の炎に狂れん
力丸「父上は、この文献をご存知の筈
このまま鎖国を続ければ、
禁忌が起きると‥大変だ‥」
力丸「けど、父上は頑なに開国を
拒み続けている‥何故だ⁈」
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その頃、大江戸城にて増員された
御用艇と浮遊砲が隊列を組み、
集結‥やがて各自散開した。
スミスの姿は既になく、
家康公ただ一人が
展望の眼差しで呟く。
家康「長い夜になるであろう
泣かぬなら
泣かせて見せよう
‥とな」
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