蒼穹の見聞録-Lagra myth-2 hecto

「義体」

私の体を成す質量の構成。
肉体ではない特殊な体。
私が此処に留まる事が叶う体。

先生が言う「義体」に慣れてもらう事の意味。

私だけに当てがれた体ではない。
私は蒼穹と対極にして一つの存在。

引き裂かれた私の魂の半分を補う「人」と「神」の結合体。

つまり、私が人間で、蒼穹が神。

固有結界が開く。

蒼穹と顔を見合わせる。
眩しさに慣れた固有結界の外は

私の知らない、広大な蒼穹の砦が広がっていた。


先生と空中庭園を歩く。

肉体と変わらない「義体」
先生が蒼穹と交代を求めてきた。

先生 「では、始めよう。エノク、蒼穹と交代してくれるか?」
エノク「はい」

私の体を成す「義体」の姿で、もう一つ人間の姿と異なる部分。
それは、私の足元には、常にリングが輝いている事。
直径1、5m程のリングが輝いて回る。

私の足元のリングが輝きを増し、光の帯が螺旋状に伸びると、
一瞬でリングがが高速回転、舞い上がる。

頭上まで上昇したリングが止まる頃には、私の体は蒼穹の姿へと
入れ替わり、現れる。

「バイタルリング」の上下移動が、交代の仕組みとなっていた。

蒼穹 「は?」
エノク「は、じゃないわよ。
    アンタ何で仮面被ってるのよ⁉︎」

素顔を見せず、パーマ◯の様な仮面を被った蒼穹が
首を傾げる。
自分でも良くわかってないらしい。

蒼穹 「あ、えっと・・・消し方わかんなくて」
エノク「 」

ケタケタ笑う蒼穹。
何なのこの子?

後で先生が教えてくれたのだけど、彼ら「神」と言う存在は、
各々の戦闘態勢に備える際、
自動装着されるアグレッシブモードの
武装装備が展開され、癒着される様になっている。

蒼穹はいつの間にか武装装備を展開して
装備したまま交代していた。

ど天然の結合体。
急に不安になる。

私は交代している間は、直径50cmの輝くリングの中で収まっている。
蒼穹が私に興味津々に顔を近づけ、頼んでくる。
顔が近い。

蒼穹 「お互いシャバの空気吸って解放されて何だけどさ」
エノク「何よ?」
蒼穹 「前が見えません」
エノク「蒼穹、目があるでしょう」
蒼穹 「だからその目が仮面で見えんのっス」
エノク「アンタのスキルは36万5千の眼が
    あるんだから見えるわよ」
先生 「蒼穹、エノクの剣であり、盾の存在となる
    お前がそんなんでどうする?しっかりせんか」
蒼穹 「( ゚д゚)」
エノク「( ゚д゚)じゃないでしょ!?」


こんな片割れで、私は生きていけるのだろうか・・・

続く‥

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