ハロウィンが始まった
バスを降り、歩き出した視線の先に大きな悪魔帽子を被った金髪のお兄さんが立っているのが目に留まった。大きな紙袋を両手に2個ずつぶら下げて、携帯で何やら連絡をとっている。俯き加減に携帯に熱中しているようにも見えるけれど、コスプレが恥ずかしいのかもしれない。落ち着かないようすで一心に携帯画面を見つめている。
目を上げると、その先の交差点付近を小さな白人の子供たちの一団が歩いてくる。みんなそれぞれ仮装していた。妖精の子もいれば悪魔も魔女もいる。先導しているのは魔女の衣装がよく似合うスラリとした女の先生だ。
そうか、今日はハロウィンなんだ!
そこでようやく気がついた。
悪魔のお兄さんの紙袋の中には子どもたちに渡すお菓子がぎっしり入っているんだろう。整体の予約時間が迫っていたので写真も撮れずに通り過ぎたけど、可愛かったな。
整体後、田町の駅まで歩いたが、そこでもハロウィンのイベントが開かれていた。シンデレラや白雪姫の衣装で何やら工作みたいなことをしている子供たちがいる。ハロウィンのお菓子やキャンドルを売る出店もいくつも出ていた。
ハロウィンが定着してもう10年いや20年くらいは経つのだろうか。
私にとってはすっかり大人になってから流行り出した行事なので、いつも忘れていて乗り遅れてしまうのだが、子どもたちにとっては思い思いに仮装して、お菓子をもらって歩く楽しい行事になっているらしい。
そういえば去年は歯医者の待合室で待っていたら「trick or treat」と叫んで飛び込んできた女の子がいたな。大きな黒い羽を背中につけて、満足げだった。
今年も渋谷はハロウィンご遠慮くださいモード。楽しく盛り上がっているうちは良いけれど、エスカレートし始めると際限がなくなるのはどういうわけだろう。なぜ途中で歯止めが効かないんだろう。
私はお祭りが大好きだから残念でならない。日常を超えてはしゃげるのがお祭りの良いところのはずなのに。
歯止めが効かず、エスカレートしてしまう若者たちの事件が多発している。闇バイトの実行犯しかり、友人同士の暴行事件しかり、、、。
嫌な世の中になったと、また呟いてしまう。