オリビア・ハッセーさん、安らかに
生まれて初めて劇場で観た洋画は、レナード・ホワイティング&オリビア・ハッセー主演の『ロミオとジュリエット』だった。
当時、わたしは中学生2年生。
友だち同士誘いあって電車に乗って松本まで行き、当時、縄手通りにあった洋画専門の映画館『中劇』でロードショー映画を観る。ワクワクどきどきの大人体験だ。
黒髪に黒い瞳のエキゾチックなオリビアさんはこの世のものとも思えない美しさ。シェイクスピアの名作でラブストーリーの王道でもあり、映画は大ヒット。当時の中学生(田舎の?)はこぞって観に行ったものだった。
ダスティン・ホフマン主演の『卒業』との二本立てだったが、中学2年生に大学生と大人の女性との不倫物語など理解できるわけもなく、とにもかくにもロミオとジュリエット。ロミオも素敵だったが、さほど年齢も違わないオリビア・ジュリエットの美しさに、わたしはすっかり魅了された。
ちなみにその後、初めて買ったサイモン&ガーファンクルの2枚組アルバムに収められた曲は『卒業』で使われている。映画の中で聴いていたことなどすっかり忘れていたものの、スカボロフェアとミセス・ロビンソンがいつまでも耳から離れずに記憶に残っていて、従兄弟のギター本の楽譜で発見したときは震えるほど感激したものだ。
わたし的には、オリビアさんの無垢な美しさとスカボロフェアがセットになって記憶されていたように思う。
繊細で美しく物悲しく郷愁を誘うメロディだった。
スクリーンの向こう側の遠い遠い存在だったオリビアさんが、いきなり目の前に現れた。それから6〜7年後のロサンゼルス空港でのことである。
その夏、わたしはロスの叔母の家を拠点に約1ヶ月ほどアメリカ各地を旅していた。
叔母(正確には父の従姉妹)は、上京したてのわたしに週刊誌のアルバイトを紹介してくれたひとで、彼女もかつてはカメラマン兼記者として雑誌の仕事をしていたようだ。
その後、ハワイでユダヤ系の富豪と出会って結婚し、ロスで優雅な結婚生活を送っていた。
その叔母に、編集部から電話が入ったらしい。日本では人気歌手の布施明とオリビアとの熱愛報道が流れていて、どうもロスで会っているらしい、その現場をおさえてくれというようなことだった。
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