【2025 J1リーグ】2/16 第1節 vs東京ヴェルディ【清水エスパルス】
2025シーズンのJリーグが開幕しました。我らが清水エスパルスは3シーズンぶりのJ1リーグということで、並々ならぬ闘志を持って開幕を迎えた方も多いのではないでしょうか。
シーズン開幕にあたり、何かしら記録を残してシーズンが終わったときに1年を振り返ることができたら面白そうだなと思ったので、気になったポイントに絞って試合の感想を書いていきます。継続力のある人間ではないので吐き出したいことがある試合だけ書くつもりです。
では早速本題に入ります。開幕戦、アウェイでの東京ヴェルディ戦は以下のような結果でした。(出典 : FotMob)
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ゴールシーンは高木の完璧な裏抜けに対し、これまた完璧なフィードを通した蓮川のプレーが素晴らしかったです。しっかり決めた北川も流石。あんな感じで内と外のレーンそれぞれでボールを受けに降りる動きと裏に抜ける動きを組み合わせて、相手DFにギャップを作ろうとするシーンが増えればいいなと思います。
以下気になったポイント。
1. 時間帯で変化した3段階の非保持形態
今回の試合では前半45分まで、後半頭から終盤以前、終盤で非保持の形態がそれぞれ変化したように思います。
・前半45分まで
前半は大体添付した画像のまま、ヴェルディが3-2-5の形でビルドアップしてくるのに対し、エスパルスは4-4-2のブロックを組んで対峙しました。
磐田とのTMでも感じましたが、昨シーズンよりもラインを低めに設定し、相手DFラインへプレスをかける頻度も少ない印象でした。同格以上の相手との試合が続くJ1での戦いを想定した変更なのでしょうかね。
こちらの2トップが相手のボランチを監視しながらCBに寄せて、ウイングは中を締めつつ相手のWBと同サイドのCBを中間位置で見る形でした。枚数的にこちらの2トップに対して相手CBのいずれか1人が余るので、そこから前進されることが多かったです。前進してきた相手CBに対してウイングが次の門番として一応立ち塞がるのですが、WBへのパスコースと中央へのパスコースを同時に切るのは無理なので芋づる式に突破されてしまいます。また中盤を省略した形でも、ヴェルディの10番木村にボールが入ると蓮川はパワーで上回れず、起点を作られてしまうシーンがいくつかありました。
そんな感じでヴェルディに支配される時間が長かったもののファイナルサードでは体を張った守備で決定機はなかなか作らせず、一瞬の隙をついて先制という形で前半を終えました。
・後半頭から終盤以前
後半に入ると少し非保持の形をいじってきました。片方のウイングが前に出て、2トップとともに相手3バックを数的同数で嵌めに行く形になったのです。ウイングが前に出ていくことで空いてくる相手WBに対してはSBが縦スライドでチェックに行き、ボランチも相手の中盤を敵陣まで捕まえに行くようになって全体的にラインが高くなりました。
その結果、ヴェルディはビルドアップで詰まるようになり、前に蹴り出されたボールもエスパルスの強靭なCBとボランチによってほとんど回収することができるようになりました。相手が自由にボールを持てなくなったことでパスコースが読みやすくなり、こちらのCBが積極的に前へ出てインターセプトするシーンが増えたような気がします。
こうして終盤まで試合を支配して進めることができました。
・終盤
終盤は昨シーズンも見られた5バックでの逃げ切りにシフトしました。正直私はこの5バックが好きではありません。そこそこ深い位置まで侵入されたときにもボールホルダーへのプレスがあまり強くかからなく、簡単にクロスをあげられるのでゴール前の混戦で事故が起きて失点するリスクが高いように思います。またボールを奪ってクリアしたあともWBは押し下げられているのでFWが一人孤立しており、簡単に回収されてサンドバッグ状態となります。
やるのであればもう少し陣形をコンパクトにしたうえでスライドを徹底し、相手がDFラインより前にボールを入れるときは絶対に前向きでプレーさせないようプレスをかけてほしいです。今の5バックはシャドーとボランチがそれぞれ2枚ずつで横のスライドが間に合っていないので、5-3-2ないし5-4-1で中盤の横スライドを楽にしたほうがいい気がします。(この手のローブロックはラ・リーガ下位チームがとても洗練されているので教材としておすすめ)
2. 素早いカウンタープレスのネガトラ
試合全体を通して、ネガトラの局面での素早いカウンタープレスが目を引きました。特にカピシャーバ、宇野辺りの出足の鋭さは単純に迫力があって見てて感嘆しました。キャンプでもきついフィジカルメニューをこなしていたみたいですし、シーズンを通して継続できたら秋葉清水がJ1で戦ううえで強みの一つになりそうですね。
ビルドアップは昨シーズンにつづき繋ごうとすると詰まるシーンが多そうなので、この強度を高めるやり方を活かす意味でも割り切って前線へロングボールを送り込み、そのこぼれ球を拾って前進する方法も良いかなと思いました。
3. 攻守で大活躍の3人
戦術面ではなく、個人にフォーカスを当てると特に3人の選手が素晴らしかったと感じました。
・カピシャーバ
とにかく走りまくってくれる献身性が素晴らしかったです。
攻撃面ではスピードとパワーを活かして複数人のDFがいてもゴリゴリ突破していきますし、後ろ向きでボールを受けてもプレッシャーをものともせずにキープしてくれます。ビルドアップが詰まって後ろ向きのウイングにボールを渡すことの多いエスパルスにおいて、このキープ力はかなり重宝されると思います。
守備でも前述の通りカウンタープレスのの急先鋒となったり、前半のピンチの場面では自陣深い位置で全力スプリントからのブロックでオレンジサポーターを沸かせるシーンも有りました。
・宇野禅斗
ピッチを縦横無尽に駆け回っており、コンディションがすこぶる良さそうに映りました。
持ち味のフィルター性能はもちろん、攻撃面でも中央で配給役をしっかりこなしたかと思えば巧みなターンで前進、エリア内へ飛び込んでフィニッシュにも絡みました。ボランチは選択肢が比較的豊富なポジションですが絶対的な地位を築けるようにこのまま活躍してほしいところです。
・マテウス・ブエノ
宇野の相方を務めたこの人も素晴らしかったです。試合開始前はキャンプ途中合流のブエノがスタメンに入るとは思っていなかったので、メンバーリストを見たときは驚きましたがプレーを見るとスタメン入りに納得しかありませんでした。
動的な宇野に対してブエノは静的な役割をこなしていましたが、とにかく落ち着いていて気が利く選手だなと思いました。オンザボールでは相手に囲まれてもボールを動かして相手に触らせず、そのまま狭いところにパスを通してしまいますし、守備ではボールが出てきそうなところ、こぼれそうなところにいち早くポジションを取っては強靭なフィジカルを活かしてボール奪取していました。
まだまだコンディションの上がる余地はあるでしょうし、今後が本当に楽しみな選手です。
ここに挙げた選手以外でも、高木はオンザボールでの迷いやズレこそあったもののSBとしての実践経験を積めばどんどんよくなりそうですし、嶋本はデビュー戦で途中出場、少ないプレータイムという自分の印象を高めるプレーに走りそうな状況のなか、カウンターでボールをキープして時間を作るなど勝つためのプレーをこなしていて好印象でした。フィジカル、テクニック面も通用しそうな雰囲気はあったのでどこかのタイミングで長い時間プレーしてほしいです。
以上、第1節東京ヴェルディ戦で気になったポイントです。
とりあえず開幕戦で勝利することができてよかったです。不安な部分はありますが、J1定着、上位進出への足掛かりのシーズンとなることを願ってここから応援をしていきたいと思います。