孤独死と相続財産清算人
日本では65歳以上の単身高齢者の数は男女ともに増加しており、令和2年には男性が15.0%、女性が22.1%が人口に占める割合となっています。令和32年には男性26.1%、女性29.3%になると見込まれているそうです。
単身高齢者が賃貸住まいの場合、お亡くなりになったときは、民法の原則では賃貸借契約は終了せず相続人に継承されます。
相続人がいない、もしくは不明の場合は賃貸借契約がそのまま存続するので大家さんは困ったことになりますよね。
まずは家賃の支払いがストップします。また遺品である残置物は大家さんが勝手に処分はできません。
賃貸借契約の終了及び残置物の処分をするには、大家さんが利害関係人(債権者)として「相続財産清算人の選任」を申立しなければなりません。
相続財産清算人の選任は被相続人の住所を管轄する家庭裁判所に申立します。
申立は申立人が予納金を納付する必要があります。
相続財産清算人選任の申立ができる人は・利害関係人(債権者や特別縁故者など)・検察官です。
但し被相続人の戸籍謄本や住民票除票、預貯金通帳のコピーなどの書類を提出する必要があるため、弁護士や司法書士に相談するのがよいでしょう。
相続財産清算人が選任されると
①家庭裁判所が相続財産清算人の選任及び相続人の捜索を官報等で6ヶ月以上公告します。それと同時に
②相続財産清算人が相続債権者・受遺者に対して遺産請求の申出するように2ヶ月以上公告します。
6ヶ月間に相続人の申出がなければ相続人がいないことが確定します。
これでやっと賃貸借契約の終了と残置物の処分の作業に取り掛かれます。
しかし被相続人に財産がなければ、滞納した家賃を回収できるとは限りません。
また債権者への支払いや相続財産清算人の報酬などがあれば納付した予納金が戻らないケースもあります。
このように相続人がいない単身高齢者との賃貸借契約のトラブルを回避するために、賃貸人と賃借人の知人やイトコまたは居住支援法人とで、契約解除と残置物処理に関する委任契約書を取り交わす「モデル契約条項」を国土交通省が作成しています。
現に賃借人に単身高齢者がいらっしゃて不安に思っていいる大家さんは是非活用してください。
・東京都の居住支援法人の紹介
ご不明な点があれば相続対策専門士の吉田までご連絡くださいね。