やっと桜が咲いてきましたね。
以前の記事で遺言書の書き方をご説明しました。
遺言書は遺言者の意思でいつでも撤回ができ、また相続人全員の遺産分割協議で無効にすることができます。
確実に財産を一定の者に相続させることができる法律行為は「死因贈与」です。
「死因贈与」は贈与者の死亡によって贈与の効力が生じる契約です。
その方式は自筆、公正証書等の遺言書による遺贈の規定は準用されないので、口約束による死因贈与契約も可能です。
しかし撤回権は遺贈と同様に贈与者の最終意思が尊重されますので、受贈者の請求権を保全するには、書面にして始期付所有権移転を仮登記します。
登記原因は「令和〇年〇月〇日始期付贈与(始期〇〇〇〇の死亡)」です。日付は契約日です。
仮登記の申請は贈与者と受贈者が共同で申請しなければなりませんが、贈与者の承諾があれば受贈者が単独で申請できます。
その場合は贈与者の印鑑証明書付きの実印承諾書を添付します。
仮登記申請の承諾がある公正証書があれば印鑑証明書は不要です。
贈与者が死亡した後は本登記ができますが、相続人全員と受贈者が本登記を申請しなければなりません。
相続人全員の印鑑証明書も必要となります。
相続人の一人でも非協力者がいれば本登記ができません。
これを回避するには死因贈与執行者を公正証書で指定しておきます。
指定すると死因贈与執行者と受贈者のみで所有権移転の本登記が申請できます。
このように死因贈与契約は遺贈と違って家庭裁判所の検認の必要もないので、確実に受贈者に引継ぎができます。
死因贈与は相続税の対象になり、遺贈の場合は不動産取得税は非課税扱いになりますが、死因贈与は課税されます。
死因贈与が各相続人の遺留分を侵害していないかに注意しましょう。