「カラオケ行こ!」感想🎤
※ネタバレあり
この映画ではずっと底の部分に怖さ、寂しさ、孤独があって、その上に2人が親密になることへの(´∀`*)ウフフな視線と笑いがあった。
おとなとこども、岡くんの生きている「普通」の世界と狂児の生きているヤクザの世界が明確に線引きされていると感じた。
ヤクザの世界がキレイに描かれていることもなく。
組長は残忍だし、カラオケにきた組員たちは未成年に普通に酒を勧めたり、序列がはっきりとしていて一般的な価値観との乖離を感じたし、小指なくなった人はめちゃめちゃ暴力的だし(←狂児と親しいっぽかったし)。そういうシーンが要所要所に散りばめられていることでヤクザは悪であることを明確に描いていたし、狂児がそういう世界で生きているということもわかった。
でも、岡くんに合唱部の部長としての顔、映画部の友達といるときの顔、家族といるときの顔、そして狂児といるときの顔があるように、狂児にもヤクザとしての顔、岡くんといるときの顔があり、最初から悪だったわけではなく、「普通」の世界に生きていて、偶然のきっかけでヤクザになったというのが描かれていて良かった。
ヤクザは悪であり、関わるとヤバいと明確に描かれているが、「普通の世界」とも地続きである。狂児を「非」人間化するわけでもなく、親しみのある人間とするわけでもない。この距離感がうまいなぁと思った。
狂児がついた2つの嘘は最低すぎてびっくりした。ヤクザと私とでは、死に対しての重みが違うんだろうなと思った。特に2つ目の嘘を信じて岡くんが「紅」を歌ってるときは心臓が痛すぎて吐きそうになるくらい泣いたけど、あとで嘘だとわかって「なん、それ、、、」となった。私は「こいつ許せん😡」と怒り心頭だったけど、岡くんは呆然としながら笑っている感じで、まあ、そうなるかと思った。とにかく、なによりも生きててくれたのが嬉しいよな~。あの必死な岡くんを見て、ゆるい感じで登場した狂児とそれを笑える組員たち。あの場面は価値観の違いを大きく感じて、ここのおとなたちは信用してはいけないなと思った。彼らには人をだますことが日常だから軽い遊びで人をだますことができるのではないかと思う。暴力的な行為や人をだますことが彼らの日常にあるのだと感じた。
岡くんは狂児に対して恋と呼べるかわかんないけど、親密さ以上の特別な気持ちを持っていて、狂児の中で岡くんは「岡くんの中での映画部の友達」的な位置づけなのではないかと思った。
登場人物たちも個性的でおもしろかった。ただただ前向きで何もわかっていないももちゃん先生、なんかずれてて責められてシュン😞となっちゃうお父さん、めっちゃ頼りになっておもしろ強い副部長、映画を愛す映画部の友達、そして「やらしい!学校でやらしい!」という名言を残した和田くん。めちゃ爆笑。最高🔥
映画には3種類の「紅」出てきたけど、どれも良かったな~。
1つ目は狂児の「紅」。1番最初に「紅」が流れたときは「それかよ!っ」ってめっちゃ笑った。
2つ目は岡くんの「紅」。泣いた😭😭岡くんの歌声はここで初めて聴いて、めちゃめちゃうまかった。高音は出しづらそうだったけど、必死に歌っている姿をみて「うっ、うぐっ」と心臓が締めつけられ、ももちゃん先生が言っていた「愛」めっちゃ感じたわ~。
歌は「愛」なんや!!
3つ目はエンディングで流れたリトグリの「紅」。これも良かった。透明感があって少し切ない感じがぴったりだった。
「カラオケ行こ」は音楽の使い方も最高だったし、ストーリーもおもしろかったし、ヤクザと中学生でギャグ的なおもしろさを描く、野木亜紀子さんの手腕が光る映画でした! サイコー✨
でも、エンドロール後のシーンで狂児と岡くんが電話してるっぽかったけど、狂児はヤクザから足を洗ったのか、ヤクザのままなのかどっちなんだろう🙄
ヤクザのままだった場合、関係はきっぱりと絶った方がいいよね、、、悲しいけど(( ;∀;)
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