永住と帰化③
行政書士の橋岡です。皆さんに「毎週木曜日に更新します!」と宣言してから今回で3週目。なんとか木曜日更新をキープできています!このブログを始めてからはさらに月日が経つの早く感じるようになりました(笑)。さて、アイドリングトークはこのくらいにして、本題を進めていきます。今回は永住申請をするメリットとデメリットについて簡単にですが書きたいと思います。永住申請にデメリットなんてあるの?と思うかもしれません。実際にあんまり思いつきませんが、僕が実務で永住申請を受任するにあたって、「これはデメリットになるかもしれないな」と思うことが何個かあるので紹介していきます。まずはメリットから。
メリット①許可を受ければ金輪際在留審査がなくなる。
まずはなんと言ってもこれではないでしょうか。永住許可を受けると在留期間の更新許可申請をする必要がなくなります。そのため、更新許可時に審査されるといった手続きがなくなります。永住者証自体は5年に1度更新しますが、永住者証の写真やデータが古くなっているから更新するという運転免許証の書き換えに近い手続きのみになります。
メリット②就労制限がなくなる
こちらもかなりの魅力です。職業の選択を自由に行うことができるようになります。現在、日本の在留制度における在留資格は一部の在留資格を除きすべてに活動の該当性(在留資格に沿った活動しかできないということ)が求められます。当然ですが、本来行うべき活動(例えば在留資格「日本人の配偶者等」で在留中の在留外国人が日本人と離婚した等)を6か月以上行っていない場合は在留資格の該当性が失われたとされ、取り消しの対象となります。実際には直ちに取り消しになって収容、退去強制とはならないことがほとんどですが、在留資格の該当性がないままでは同一資格での次回の更新は不可能です。しかし、永住許可を得ることでこのような在留資格の該当性に縛られることはなくなるのでいっきに活動の幅が広がります。長らく日本人の配偶者にDVを受けて耐えてきた外国人配偶者は離婚しても日本にいられます(離婚定住という道もなくはないがハードルが高い)。再婚も自由です。また、転職も自由に行うことができるようになりますし、掛け持ちでアルバイトをすることも可能です。資格外活動許可も必要ありません。
メリット③社会的信用が爆上がり
永住申請における要件及び審査は非常に厳しく、許可の取得には困難を極めます。そのため、この審査をクリアすると社会的信用が爆上がりします。具体的な例でいうと金融機関です。永住以外の在留資格は在留期限があります。現行制度で最長5年です。この在留期限の更新許可を受けなくては日本にぃられなくなります。したがって、金融機関は5年を超えるローンを組むことが難しく、特に住宅ローンはほぼどこでも断られます。一部金融機関では外国人の取扱いがあるようですが大体は不動産屋も含めて嫌がられます。しかし、永住許可を取ることで住宅ローンの申し込みができるようになりますので、この事からも社会的信用が上昇すると言えるでしょう。
以上3つが永住許可における主なメリットです。個々の事情によってはもっとたくさんメリットがあったりすると思いますが、申請する外国人全員に共通する、日本でずっと暮らしていきたいと考える在留外国人からすると非常に魅力的な項目ではないでしょうか。逆を言えば在留外国人にとっては非常に住みずらい国でもあるということかもしれません。
つづいてデメリットの紹介です。冒頭でも申し上げたようにあまりでデメリットらしいものはありませんが、、思いつくものを列挙します。
デメリット①要件と審査が厳しい
こちらは許可を受ける前の話になりますが、要件と審査が非常に厳しく、現在は本人申請で永住許可が下りることは稀です。行政書士に依頼をしても確実に許可が取れる保証はありません(どの在留資格もそうですが)。本人申請で不許可になってしまい、当事務所へご相談いただくケースが非常に多いです。そのため、精神的・金銭的負担も大きくなってしまいます。
デメリット②選挙権がない
こちらは帰化申請後と比較していますが、帰化は日本国籍を取得し日本人になる手続きなのに対し、永住は国籍は変わりません。したがって日本人として認められているわけではないので、どれだけ高額な納税をしても選挙には参加できませんし、当然ですが取り消しの対象にもなります。
以上2つが思いつくデメリットです。デメリットと言えるかどうか(笑)。いずれに
しても永住の要件を満たしているようであれば(前回の記事をご覧ください)、永住申請は不許可になったとしても現在お持ちの在留資格に影響はないので積極的にチャレンジしていくのがいいのではないかなと個人的には思ってます。永住申請をお考えの際は一人で抱え込まずに僕でも僕でなくてもいいので行政書士に相談することをお勧めします。僕にご相談いただけたら嬉しいですけど(笑)。今回はここまで。次回は帰化について解説していきます。ではまた。