【同人エロゲ論考】ゲームである必要性について
はじめに(エロRPGについて)
RPGは同人エロゲのメジャーなジャンルの一つです。ドラクエ風味の、町やフィールドを自由に探索し、敵と戦ったり(戦わない作品もある)Hイベんとを集めたりする形式の作品が多いです。
多くのエロRPGをプレイしてきた筆者の経験で、ゲームである必要性を疑う作品を何度もプレイしたことがあります。そういったゲームは、エロとゲームが水と油の関係になっているか、エロのためにゲーム性を殺した作品のどちらかです。どちらにしても、クオリティの劣るゲームをプレイしたご褒美としてエロCGを見ることができるという点では同じです。
同人エロゲ製作について
(この項は、製作側に立ったことがない素人の意見であることをご了承ください)
エロゲームの製作に求められる能力は多岐にわたります。プログラミングとCGをはじめとして、ボイスを挿入したりエロゲーム特有の要素も組み込む必要があります。エロゲームの本分は「エロ」にあるというのは衆目の一致するところであるので、そこに力を入れてゲームが疎かになってしまうというのは優先順位としては間違っていないです。
しかし、エロゲームにおける「エロ」と「ゲーム」の概念は一体化していなければいけないと私は考えます。アイスクリームの「アイス(氷)」と「クリーム」は、それぞれで見たときに好む人は少ないでしょう。二つの概念が融合して「アイスクリーム」になることで大きな価値をもたらすのです。一方で、「エロ」と「ゲーム」はどちらも大きなジャンルです。この二つが上手くはまったときの効果は絶大です。大手のサークルの作品を見れば、その意匠の深さが分かると思います。「エロ」と「ゲーム」の相乗効果を活かしきれていないというのは、非常にもったいないことなのです。
エロステについて
エロステとは「エロステータス」の略称で、ヒロインの性遍歴を意味します。自由度が高いRPGにおいて、エロステは「エロ」と「ゲーム」をつなげる鎹としての役割を担っています。
しかし、ストーリー上の目標以外の行動を禁止され、実質的に、エロステがハリボテと化しているエロRPGは少なくないです。そこまでではないとしても、町中にHイベントが発生するスポットが複数あり、それらのスポットをひたすら周回してエロシーンを集める、というゲームもあります。戦闘がないRPGはこの形式が多いです。
エロステータスは漫画や動画にはない、エロゲが持つ個性の一つです。エロステータスに表示されるヒロインの性遍歴は、言い換えれば、プレイヤーの性癖といっても過言ではありません。とりあえず処女クリアや、道端にエロイベが落ちていれば回収済みでも拾うというプレイヤーもいます。ゲームクリア時の性遍歴は千差万別、一つとして同じものはないでしょう。エロステが形骸化しているゲームはそれだけでゲームとしての価値を損ないます。エロステが絶対というわけではありませんが、わざわざエロステを実装しておいて、それを上手く活かせていない作品に名作はありません。
エロステがない名作は多数ありますが、それらの「エロ」と「ゲーム」を上手く組み合わせる意匠はどれも感嘆に値するものであり、容易に真似できるものでもありません。エロステは「エロ」と「ゲーム」を結びつける一つの形として、これ以上単純明快なものはないでしょう。しかし、単純明快だからこそ軽視しがちであり、奥が深いものです。凝ったエロステというのは、それだけでプレイ欲を掻き立てる非常に有用な要素になります。
おわりに
「エロゲーム」はただエロいゲームで終わってはいけません。「エロゲ―ム」は「エロ」と「ゲーム」が融合した全く新しい概念です。
同人エロゲ市場はコロナ以降急激に拡大し、今後も好調を維持するでしょう。新規参入が増えて競争が活発になることで、製作者も消費者も、「エロゲ―ム」の意味を再認識しなければならない日は来るのではないでしょうか。その時に備え、「エロゲーム」という概念やその価値について考えることは荒唐無稽ではないはずです。