ネットワークビジネスに誘われた話(前編)
割と前の話。
大学時代に仲が良かった友人から久しぶりに連絡が来た。就職してからお互い離れた場所に住んだので疎遠になってしまっていたのだが、今は色々あってたまたま近くに住んでいるのだという。
共通の友人を介して今私が住んでいる地域を聞いたとのことで、わざわざ連絡をくれたのは素直に嬉しかった。
タイトルから不穏な未来しか見えない人も多いと思うのだけど、この時はまさかそんな話になるとは思わなかった。
そんなわけでその友人と飲みに行くことになった。店も手配してくれていて少しおしゃれな肉バルみたいな店だった。そういうところに行く印象がない友人だったので仕事とかで環境が変わったんだな、と思ったことは今でも覚えている。
久しぶりの再会でも話は割と盛り上がった。
その友人はあまり覚えていなかったのだが、たまたま知り合いがいない講義を取った際に、隣に座っていて話しかけてきてくれたのが彼なのだ。
その講義は割と難しいと評判で1人くらい知り合いがいるだろうと安易な気持ちで取ったのだが誰もいないし、内容も予想より大変だった。面と向かっては言わなかったが、割と心細かったのでその時のことをとても彼に感謝していた。
さて、話を聞くと今は仕事を辞めてフリーターをしながら仕事を探しているとのことだった。
私も当時は仕事が合わずに転職をしたばかりだったのでその経緯には共感し話も弾んだ。その日は彼の家が近いということもあったし、土曜日だったので泊らせてもらいにお邪魔した。大学時代はこうやってよく色々な友人の家に泊まったりしたなと当時が懐かしくなった。
その日はそのまま翌朝に解散した。その後も彼は何度かご飯に誘ってくれた、その時は特に怪しい話はでなかった。お店は毎回最初に行った肉バルだったことが少し気になったくらいだったが好きな店なのだと思って特に聞かなかった。
風向きが変わったのは何回目か会った時のことだった。彼がボソリと言ったのだ。
「最近仕事がいい感じなんだよね」
あまり仕事の話をしなかったので特に進展はないのかと思っていたので驚いた。そこから彼の話をいろいろ聞いて要約すると
副業でビジネスみたいなことをやっている。最近成果が出ている。このままいけば幹部?になれる。仲間を増やして頑張っている。無料セミナーがあるから良かったら聞きに来て評価して欲しい。もちろん途中で帰ってもいい。
という感じだった。私もそこまで鈍い人間ではないので、すぐに彼の言いたいことはわかったし、マルチかネットワークだなということは嗅ぎ取れた。話を聞いたところカルトみたいな感じではないようだが、断定はできなかった。
私の答えはもちろんこれだ
「面白そう!セミナーだけなら行くよ!」
後半に続く