私の2024大相撲ベスト取組
お題に沿って。
個人的な2024年大相撲ベスト取組五番をご紹介します。直近の場所の印象が強いためどうしても九州に偏りがちな点はご容赦いただきたいと思います。
第5位
九州場所12日目○霧島－隆の勝●
初日の若隆景戦でどうも手首を痛めたらしい霧島関。この日までに既に6敗という･･･（泣）対する隆の勝関は10勝という好調ぶり。しかも霧島関は霧馬山の頃から隆の勝関がどうも苦手なのです。そんなこんなで喉輪を警戒しながら片目をつぶって見ておりましたが、この日の霧島はひと味違いました。激しい張り手をくらわせる闘志むき出しの相撲！ちょっとびっくり。隆の勝の後ろに素早く回り込み、相手を土俵下に落とす押し出しで見事白星を挙げたのでした。素早い動きはいつも通り。逆に隆の勝は冷静さを失ってしまい、残念な結果に。霧島という関取は時間いっぱいになっても琴櫻や豊昇龍のように鬼の形相にならず、いつもあんな感じで飄々としていてあんまりギラギラしたところを見せない関取なので、非常に珍しいと思いました。
第4位
九州場所11日目○宇良－平戸海●
2度の同体取り直しがあり、3度目の取組で宇良関に軍配が上がりました。さすがに3番も相撲を取って宇良関も平戸海関も大変だったと思います。宇良関は劣勢でも滞空して粘ります。空を飛ぶんですね。写真を見るとよくわかります。ご当所の平戸海は15日間とても頑張っているけれど、なぜか星が付いてこないという感じでした。巡業ではいつも境川親方が土俵下で見守る中、とても熱心に稽古をしているので、報われない感じがして悲しくなりましたが･･･良い時もあれば悪い時もある、ということですね。
第3位
三月場所14日目 ●尊富士ー朝乃山○
勝てば14日目で初優勝の尊富士関に対し、朝乃山関が壁になれるかという大一番でした。立ち合い、尊富士の鋭い当たりを朝乃山ががっちり組み止めたので、これは！と思って見ておりましたが、やはり朝乃山が非常に力強い相撲を見せ完勝。富山の人間山脈・朝乃山ここにあり、でした。この取組で足を痛めた尊富士ですが、気合と横綱の一言で千秋楽に強行出場。見事優勝を決めました。その後、名古屋場所で膝を大怪我した朝乃山は次の三月場所で復帰予定とのこと。朝乃山はコロナ禍の休場以来、次から次へと試練に見舞われていますが、もう一度頑張ってほしいとの願いも込めて3位にランクイン。
第2位
初場所2日目 ●照ノ富士ー若元春○
若元春関、初の金星。これは手に汗握るすごい相撲でした。得意の左を差した若元春、何度も何度も力いっぱい寄っていきます。しかしさすが横綱、そうはさせじとものすごい圧力をかけます。まわしも伸びてくるのですが、それでも若元春ががむしゃらに、力の限り攻め立てる姿に胸が震え、涙で前が見えませんでした。このお二人は以前に待ったが聞こえず…というモヤモヤした取組があったので、余計に、若元春良かったね、金星おめでとう、ナイスファイト！という思いでした。とにかく飛び交う座布団がすごかった…若元春関にも当たってた。
第1位
九月場所12日目 ○若隆景ー大の里●
やっぱり1位はこれですね。
ここまで負けなしの大の里関。いったい誰がこの若武者を止められるのか…と思っていましたが、そうですよ、この方ですよ。殿ですよ！これはもう本当にすごかった。若隆景関の足腰どうなってんだと思いました。強靭が過ぎる！鍛え方が半端ない。膝が心配になりました。大の里に上から思いっきり頭を押さえつけられてもあの体勢で残すんですから。最後うっちゃり気味に体を入れ替えて相手を土俵の外へ。若隆景、渾身のドヤァでした。取組後の「土俵の中にいる限り諦めることはない」のコメントに痺れたのは言うまでもありません。土俵下で腰に手を当てて呆然とする大の里の姿も、控えの豊昇龍関と霧島関の腕組みブラザーズが見せる「……」という何とも言えない表情も、全部含めてとても好きです。協会公式YouTubeで見られます。とにもかくにも、若隆景の復活に拍手！
以上の五番でした。
力士の皆さま、ことしも1年間、素晴らしい取組を見せていただき、本当にありがとうございました。