ヴィッセル神戸マッチレビュー│J1第6節vs鳥栖(2024/4/3)
鳥栖とのawayゲームは0-0のドロー。決定機の多さを考えれば勝ちが欲しかったゲームですが、いくつかの誤算が結果に影響しました。
【レビュー】
1つ目の誤算は天候。この日は雨、風ともにころころと表情を変え、選手達からはプレーしづらそうな印象を受けました。とくに難しかったのがロングボールの扱い。
大迫や武藤をはじめ、競り合いに強い選手が前線にいるのは神戸の強みです。同時に、GKと最終ラインから精度の高いボールが供給されるのも、現在の戦術では重要な意味を持ちます。この日は風の影響でロングボールが流され、前節札幌戦のような競り合いでの強さが発揮できませんでした。
では地上戦で戦えばどうかというと、こちらは雨の影響でボールが走らず。縦に早い攻めを志向する神戸としては、精度は落ちてもいつも通りにロングボールを多用する選択はベターだったといえます。ただ、選手が目測を誤るシーンが幾度もあったことからも、この日の天候は神戸にとって誤算だったと言えます。
もう1つの誤算が広瀬の負傷交代。ここ数試合スタメン起用され攻守に活躍していた広瀬ですが、特に宮代の攻撃力を発揮させるバランサーとしての役割は特筆すべきものでした。気を利かせたポジション取りで宮代がストレスなくプレーできる状況を作り、彼のリミッターを解除。得点に結びつける目に見えない好アシストが随所に見られました。
広瀬の負傷交代後、宮代はあきらかに窮屈そうにプレーしていました。これは広瀬に代わってLWGに入った武藤とのバランスを気にしたため(途中から投入された飯野が武藤が務めていたRWGに入る)。
前節広瀬だけでなく大迫との連携の良さも見せた宮代でしたが、この日のプレーを見る限り武藤との関係性はまだ構築途中の様子。武藤も宮代同様積極的にゴールへ向かうタイプで、プレーエリアが重なり両者の強みが相殺されてしまいました。
例えば、飯野ではなくよりバランス能力に長けた佐々木を入れていれば流れは違ったかもしれません。しかし佐々木はこの日が負傷からの復帰ゲームで、プレー時間には45分の「縛り」があったと推察します。後半に高さと強さを残しておきたいとなると、前半に切るカードはやはり飯野。ただ、その飯野も負傷による交代と、プランが二転三転してしまいました。
こうして状況を振り返っていくと、勝ち点1を「持ち帰った」とポジティブに受け止めるのが妥当かもしれません。ベースとなる堅守は維持しているだけに、今後も大崩れする心配はありません。あとは昨季のような勢いのある勝ち方が増えればよいのですが、今は我慢の時期といったところでしょうか。
では勢いを与える存在は誰か。
この日復帰した佐々木はその筆頭です。コンディションさえ万全なら、負傷した広瀬に代わりLWGに入ると予想されます。それから、菊池も候補に挙げたい名前です。試合終盤にはCBとしてプレーし、今のチームにやや不足している「熱」を感じさせました。例えば昨年まで神戸でプレーしていた大﨑玲央のように、チームを鼓舞するような役目を彼ができれば頼もしい。
前節からベンチにGKの新井を入れているのも、今のチームにやや「熱」が足りないと吉田さんは感じているのでは。昨季に比べ競争を煽るようなメンバー選考をしているのも、先々を見据えて「薪を焚べている」と、個人的には読んでいます。今季はそれが可能な陣容ですし、そうやって変化を起こさないと停滞してしまう。Jリーグタイトルを獲得したとはいえ、立ち止まることは許されません。
ふと思い出すと、昨季も胃をキリキリと痛めるようにして、勝ち点を積み上げていきました。タイトルを制したからといって、そのやり方に近道があるはずがない。
いま一度気持ちを整理して、次節のマリノス戦に挑みたいと思います。
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